Skip to main content

山椒の実

Category: Mystery

蠟人形館の殺人 (ディクスン・カー)

またホラーかー。ミステリのつもりだったのに…まあ蝋人形でホラー要素ナシはさすがに無理すよね。だって蝋人形で、なおかつ館だもんね。

しかしこの探偵、最初からいろいろ知りすぎじゃないか? こんだけ知ってて手こずるのか。

まあ推理自体は大したことがなく、凡庸な警察官が普通に捜査していればこの探偵よりも早く解決できたに違いないし、最後のカード対戦は何なんだ? 何がしたいのか。思わせぶりな悪役も、退場はあっさりというか、「ついで感」が強いというか…これはどうなんだか。もうちょっと主役を張ってもよかったんじゃなかろうか。

屍人荘の殺人 (今村昌弘)

うーん、設定が…そしてトリックが…割とお腹いっぱいになりがちなミステリ。かなりスリリングに読めた。

しかし、ゾンビねえ。っつーかそれはスプラッターじゃないか。ゾンビにミステリか。ソンビ自体が心の中のアイコンでもある。

次はなんだ、サメか。サメミステリか。それなら読みたい。

僧正殺人事件 (ヴァン・ダイン)

まだるっこしい人物紹介からのスタート。数え歌殺人のような事件をその人物が解決していく。弓矢かー。だからってハンガーゲームを思い出す必要はなかったが。

しかし容疑者が絞り込まれるのが、対象が死んで減っていくため、ってのがちょっと探偵どうなんだ。わかってるげで、分かってない。どうでもいい蘊蓄はいいから、仕事しろと。宇宙がなんだってんだよ。それ饒舌に話す必要ある? そして最後は50%を当てて終わりなんだが…

話としては面白かった。こういう古典もいいよねと思えた。

龍の耳を君に デフ・ヴォイス (丸山正樹)

スピンオフと知って、元のやつを読もうと。

しかし、シリーズの途中だったのね…なんか最初から前作のエピソードの続きっぽい記述があって焦った。前作も次作も読まないとな。宿題が増えていく。それが生きる楽しみでもある。

この作品は完成度は高いし、何森も出てくる。言うことなしだね。手話の奥深さが物語によく溶け込んでいた。

嘘の木 (フランシス・ハーディング)

hideの曲にあったなー。花はいつしか毒を吐き出し、嘘を語るだろう。いや、調べるとだいぶ違う歌詞だったな…そんな、視界ゼロの海に出るかのような冒頭から、引き込まれてゆく。騙し合い、推理、各階層での生存を賭けた戦い、そしてド迫力アクション。まるで映画だ。

時代設定に影響されながらの進行で、いろいろな思いの渦巻きを感じさせてくれる。

そして、問題の木ですよ、木。こいつヤバいね。おどろおどろしい。こんな植物、どうやって繁殖するんだ、という謎はどうなるんだろう。

大はずれ殺人事件 (クレイグ・ライス)

マローン弁護士のシリーズ。っつっても今まで読んだことがなかったのだが。酒ばかり飲んでいる、メチャクチャ感のある登場人物群。それなりに謎があって、マローンがしっかり謎を解いていくのだが、ひねりも効いていていい感じ。古典的な秀作と言えるだろう。というわけで割と楽しめた。

登場人物の名前が分かりにくいけどまあ、この種の推理小説として仕方ないのは常のことか。

しかし新婚の奥さんは運転しすぎだ。やめてあげて…

陸橋殺人事件 (ロナルド・A.ノックス)

「10戒」のノックスですね。古典的名作ということで、読んでみようと思った。今まで読んでこなかった、著名作家。読んでみると、割とふざけた話なんですね。ノックスってこういうのが好きなのか。とにかくセリフが長い。

冒険あり、勘違いあり、時刻表のトリックあり、暗黒日記あり、カーチェイスあり、ドロドロの愛憎劇あり、宗教論ありと多くの要素をはらんだ作品だった。登場人物も多すぎず、程よい謎、現代的でもあり、古典的でもある。改めて並べ上げていくと側面が多いな。

日本庭園殺人事件 (エラリー・クイーン)

異国情緒にあふれたニューヨークの日本で起きた事件を解決していく推理小説。日本っぽさがあらわれている。なかなかの解像度だ。途中で評価がガタ落ちする人物が悲しいな。途中まですごくいい人が…化け物扱いかよ。少ない手がかりであやふやな推理を当てていくクイーン氏。

ヒロインは幸せでありながら、かわいそうな感じになったよねえ。その辺の二面性も読む人と感傷的にさせてくれる。

刑事何森 孤高の相貌 (丸山正樹)

これはスピンオフなんですね。ワケアリげな背景が語られながら、ハードボイルドな刑事が事件を解決する。それぞれの事件では障碍を得た人が大きな役割を担う。

キャラクターの魅力とプロットがちゃんとしているから安心して読める推理小説になっている。質は高いし、空気感がいいよね。この人のシリーズ、これから読んでいこうかな。そう思った。

臨床探偵と消えた脳病変 (浅ノ宮遼)

医療ミステリ? という区分でいいのかな。診断をつけて事件を解決していく。主人公の視点がなくて、周囲の医師が謎を解こうとしていい線いくんだけど、最終的には主人公が解決してしまうという。

専門用語は分からないながらも、練られている感がしっかりあって、論理も理解できる。だから読む楽しさがある。かなりの良作だった。