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山椒の実

Category: Mystery

あなたが誰かを殺した (東野圭吾)

これぞミステリ。加賀恭一郎シリーズ。いいねえ。作者もよく書けたと満足していることだろう。

登場人物は多かったけど、徐々にキャラも明確になっていって、それぞれの闇がそれぞれ明るみに出て、事件は解決する。榊刑事課長がいい味を出していた。そのラスト、関係者はそれぞれの道へ。なぜか読後感がいい。こんなに死んでるのに。特別ハッピーエンドでもないのに。

探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛を込めて (東川篤哉)

南武線ミステリ。そんなジャンルがあるんだ。設定はなかなか現実離れしているが。あの辺は豪邸ないよそんなに。中原や小杉の方が多い。

まーでも以前は中原の方が豪邸率は高かったけど、中原も代替わりで土地を分割して小さい分譲住宅に分けて売っちゃったり集合住宅にするケースが増えて、豪邸少なくなっちゃったよね最近は。だから小杉や中原も豪邸率に関しては溝ノ口や新城とどっこいどっこいになったかもしれないな。

それはそうと、内容は割と楽しかった。殺人事件は起きるけど、気楽に読めていいだろう。しかし、ノクチ違いのトリックはありえないよな…他もそうかw いろいろとありえないネタが。それも含めて楽しめたよ。

消え失せた密画 (エーリヒ・ケストナー)

ドイツの肉屋がデンマークで戦う。少年向けのような内容だが、主人公が間の抜けた肉屋のオヤジだからなあ。登場人物それぞれキャラは立っているし話は面白かったが、チグハグさは否めないな。ラストの展開も怒涛。

小道具の密画というのも良かった。高価っぽくて取り回しが良い。偽物の準備も万端で、物語もテンポが良くて引き込まれるし、電車の中の暇つぶしに読むのには手頃だった。

と言ったように、全体的には楽しく読めた、良い作品だった。

蠟人形館の殺人 (ディクスン・カー)

またホラーかー。ミステリのつもりだったのに…まあ蝋人形でホラー要素ナシはさすがに無理すよね。だって蝋人形で、なおかつ館だもんね。

しかしこの探偵、最初からいろいろ知りすぎじゃないか? こんだけ知ってて手こずるのか。

まあ推理自体は大したことがなく、凡庸な警察官が普通に捜査していればこの探偵よりも早く解決できたに違いないし、最後のカード対戦は何なんだ? 何がしたいのか。思わせぶりな悪役も、退場はあっさりというか、「ついで感」が強いというか…これはどうなんだか。もうちょっと主役を張ってもよかったんじゃなかろうか。

屍人荘の殺人 (今村昌弘)

うーん、設定が…そしてトリックが…割とお腹いっぱいになりがちなミステリ。かなりスリリングに読めた。

しかし、ゾンビねえ。っつーかそれはスプラッターじゃないか。ゾンビにミステリか。ソンビ自体が心の中のアイコンでもある。

次はなんだ、サメか。サメミステリか。それなら読みたい。

僧正殺人事件 (ヴァン・ダイン)

まだるっこしい人物紹介からのスタート。数え歌殺人のような事件をその人物が解決していく。弓矢かー。だからってハンガーゲームを思い出す必要はなかったが。

しかし容疑者が絞り込まれるのが、対象が死んで減っていくため、ってのがちょっと探偵どうなんだ。わかってるげで、分かってない。どうでもいい蘊蓄はいいから、仕事しろと。宇宙がなんだってんだよ。それ饒舌に話す必要ある? そして最後は50%を当てて終わりなんだが…

話としては面白かった。こういう古典もいいよねと思えた。

龍の耳を君に デフ・ヴォイス (丸山正樹)

スピンオフと知って、元のやつを読もうと。

しかし、シリーズの途中だったのね…なんか最初から前作のエピソードの続きっぽい記述があって焦った。前作も次作も読まないとな。宿題が増えていく。それが生きる楽しみでもある。

この作品は完成度は高いし、何森も出てくる。言うことなしだね。手話の奥深さが物語によく溶け込んでいた。

嘘の木 (フランシス・ハーディング)

hideの曲にあったなー。花はいつしか毒を吐き出し、嘘を語るだろう。いや、調べるとだいぶ違う歌詞だったな…そんな、視界ゼロの海に出るかのような冒頭から、引き込まれてゆく。騙し合い、推理、各階層での生存を賭けた戦い、そしてド迫力アクション。まるで映画だ。

時代設定に影響されながらの進行で、いろいろな思いの渦巻きを感じさせてくれる。

そして、問題の木ですよ、木。こいつヤバいね。おどろおどろしい。こんな植物、どうやって繁殖するんだ、という謎はどうなるんだろう。

大はずれ殺人事件 (クレイグ・ライス)

マローン弁護士のシリーズ。っつっても今まで読んだことがなかったのだが。酒ばかり飲んでいる、メチャクチャ感のある登場人物群。それなりに謎があって、マローンがしっかり謎を解いていくのだが、ひねりも効いていていい感じ。古典的な秀作と言えるだろう。というわけで割と楽しめた。

登場人物の名前が分かりにくいけどまあ、この種の推理小説として仕方ないのは常のことか。

しかし新婚の奥さんは運転しすぎだ。やめてあげて…

陸橋殺人事件 (ロナルド・A.ノックス)

「10戒」のノックスですね。古典的名作ということで、読んでみようと思った。今まで読んでこなかった、著名作家。読んでみると、割とふざけた話なんですね。ノックスってこういうのが好きなのか。とにかくセリフが長い。

冒険あり、勘違いあり、時刻表のトリックあり、暗黒日記あり、カーチェイスあり、ドロドロの愛憎劇あり、宗教論ありと多くの要素をはらんだ作品だった。登場人物も多すぎず、程よい謎、現代的でもあり、古典的でもある。改めて並べ上げていくと側面が多いな。