Skip to main content

山椒の実

Category: Mystery

新堂冬樹「無間地獄」「鬼子」

エロ/グロ/バイオレンスの描写力でいけ好かない登場人物を地獄に落とす話。

立て続けに2作品を読んでみたが、どちらの作品も見事に誰も救われない。すべての登場人物が信じがたいほど呪われる。まあでも文章が良くて描写が凄いのでどうしても引き込まれる。

そしていけ好かない主人公的人物。これが凄くしょうもない奴らなんですよ。背中で語れない男たち。風間令也にしろ、玉城慎二にしろ、ほんと薄っぺらくて気取り屋でいけ好かない。しかし憎めないのですよね。風間はフランスかぶれの小市民で、ウェイターを呼ぶのに「ギャハッソ〜ン」ですからね。それで客から一目置かれたと思い込んで悦に入っているわけです。玉城もカモを引っ掛けて美容製品にカネをつぎ込ませるだけで、別に悪いことはしてないんですよね。1度ならず2度も金貸しに騙されて。自分のルックスやセンスに酔っている描写にしても、あくまで自称ってだけですからね。遠之山になってからでもそんなにひどくない顔なんじゃないかって気がしますよね。

犯罪小説家 (雫井 脩介)

この人の小説は終盤があまり上手くなくて100%の出来にはならないのは分かっていた。最初に読んだ「火の粉」はそれでもかなり良かったが「栄光一途」の終盤のとっ散らかりっぷりの後なので正直読むのをためらった。しかしこちらはだいぶ良かった。これなら次も読める。

中身はまさに多摩沢文学。なかなか凄いが、やはり終盤にはもうちょっと救いがある展開にしても良かったんじゃないかと思う。たぶん、そのへんを考慮しないから終盤が上手くないという印象を受けてしまうんだろうね。序盤から中盤はいつも他に類を見ないほど良いのに。