Skip to main content

山椒の実

Category: Mystery

月の満ち欠け (佐藤正午)

オカルト話に終始した…という見方もあるんだろうが、私は楽しめたよ。

セレクテッド・リザレクション現象? まー書く人が書けばそれはニンジャソウルの憑依となるし、佐藤正午が書けばこの小説のようになる。個性! いずれも達人ではあるが。

推理小説でもないのに人が死にすぎな点はどうだろう。しかも殺人が一件もなく、不注意が過ぎるのでは。子供じゃない。千年の時を生きるヤツにしてはリスク管理がなっとらんよ。

あとは…登場人物の名前で、北斗の拳のミスミの爺さんを思わせる人物がいたなと。そのミスミの爺さんも、出生の話からしてソウルの憑依のかのうせいが…のうりょくがはつげんしてないだけなのかも!? まあミスミの爺さんを憑依者にしなかったのは、それをしないことでいわゆる女の情念的な感じを出すという狙いがあるのかもしれないねえ。

美濃牛 (殊能 将之)

鏡の中は日曜日ハサミ男に続いて、同作家の長編を。まあ楽しい。雰囲気も記述の重厚さも良く、登場人物も多いけど個性的で、非常に快適に読めた。

内容に比べて文章が長い、という批判はあったらしい。殺人事件が起きるはずなのに、なかなか一人目が死なないというのはその通りだけど、自分は気にならなかったな。それだけの内容もあったと思うし。

ロング・グッドバイ (レイモンド・チャンドラー)

言わずと知れたハードボイルドの古典的名作を村上春樹というハードボイルドファンの著名作家が翻訳し直した。元の翻訳をほとんどの読者が知っているだけに、どういう変化があるのか、その変化には必然性があるのか否かというのがどうしても気になってしまい、ストーリーに入って行けるのか自信がない…というのが読む前の心配事。

強引に例えれば…今の「君が代」を現代語っぽい「てにをは」の歌詞に微妙に変更して、それが新しい国歌だと教えられている気分?

検察側の罪人 (雫井 脩介)

流石にこの著者の作品だけあってテーマも面白いし展開のスピードも適切で、良いですね。しかも途中で散らかることなくラストまでうまいこと進んだ。話題作になるだけのことはある。映画化されたんですね。公開はこれからか。

まぁでも、麻雀牌の話はちょっと現実感が薄かったが。

ウォッチメイカー (ジェフリー・ディーヴァー)

シリーズものなんですねこれ。どういう経緯で読むことにしたのか思い出せないんだけど、とにかく読んだ。

途中までは良かった。途中からはちょっと都合の良すぎる展開かと。しかもあんまり事件が解決している気がしないので後味もそれほど良くないんだが。まあ続編があるということなんだろうね。しかも最後の方の「セミコロン」関連の推理なんて日本語訳では通用してない気がする…これは仕方ないか。序盤から中盤までは非常に読ませるし、変態クズ野郎物語の最後のあたりなんてかなりいい感じだった。

刑事ファビアン・リスク 顔のない男 (ステファン アーンヘム)

北欧系のミステリ。まあちょっと後味も良くなかったし、中身もちょっと緻密さに欠ける部分があったように思う。そしてこの無意味な設定はなんなんだ。その設定いる? みたいなのが目立つんだよね。

まあでも文章量も多く、しっかり書き込まれているし、雑さも気にならないレベルなのかも。シリーズ物っぽくもある書き方だけど、これがデビュー作なんだってね。まあ今後に期待できるかもしれないが…読まないだろうね次は。

犯人に告ぐ2 闇の蜃気楼 (雫井脩介)

あの巻島が帰ってきた! このシリーズいいですね。

今回は振り込め詐欺+営利誘拐。振り込め詐欺をする奴らが誘拐にも手をつけるとどうなるか。両者は水と油みたいな感じで導入に苦労している感じがあるけど、さすがにこの著者の序盤は素晴らしく引きつけられる。

さらにこの本に限っては結末も綺麗で、読み応えもあって悪くない。犯人側の描写がかなり多く、それも良い。どっちも頑張れーと応援してしまうんだよね。設定的にもなかなかありふれた悲劇の人物で、感情移入してしまう人は多いのでは。「自分も一歩間違ったらこの犯人と同じ境遇になっていたとしてもおかしくない」感が非常に強く感じられる設定なのよね。

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 (ダヴィド・ラーゲルクランツ)

あのシリーズの最新作。著者死亡で終わったと思っていたが、出版社が新たな著者を見つけてきた。ビジネス。

まず疑問に思うのが、楕円曲線でRSAの素因数分解を解けるものなのか? という話。私もこのへん詳しくないんだけど、楕円曲線暗号とRSAは互換性ないと思っていたので、楕円曲線を頑張って素因数分解の暗号を解けるとは思えなかった。まあ割と調べているっぽい著者ではあるから、問題ない記述なのかもしれないが。あとNSAの描写はダン・ブラウンの問題作「パズル・パレス」を彷彿とさせる。こういう人々の描くテクノロジーの記述に関しては割とトンチキな感じもするんだよねぇ。こんなやついねーよ。前著者のスティーグ・ラーソンはコンピュータに関してはここまで破綻せずに書けてたと思うんだが。