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山椒の実

Category: Mystery

アンダークラス (相場英雄)

外国人実習生の問題とか、戦後の貧困とか、いろいろな世代が絡みつつ、人が死んで、事件を解決していく。かなり読み応えがある展開にはなったが、一気に読めた。

ジャンル的には社会派ミステリっていうのかな? まあパッと分かるモデル企業はいいとして、そのリアリティがなかなか凄い。実際にそういう世界があるっていう現実の怖さがある。人間の尊厳とは。

殺人都市川崎 (浦賀和宏)

川崎を舞台にしたミステリ。この本だけは絶対に許さん!!

違和感だらけのパートと、少し現実っぽいパートが織り交ぜられて物語は進む…んだけど、やっぱりこの本はどうしても許せないw 『ルポ川崎』の時は現実だから良かったけど、これはさすがに、ないなと思った。

どう収拾つけるのか不安を感じながらの読書だったけど、このオチもどうなんだ…よく出版したなこんなの。

月の満ち欠け (佐藤正午)

オカルト話に終始した…という見方もあるんだろうが、私は楽しめたよ。

セレクテッド・リザレクション現象? まー書く人が書けばそれはニンジャソウルの憑依となるし、佐藤正午が書けばこの小説のようになる。個性! いずれも達人ではあるが。

推理小説でもないのに人が死にすぎな点はどうだろう。しかも殺人が一件もなく、不注意が過ぎるのでは。子供じゃない。千年の時を生きるヤツにしてはリスク管理がなっとらんよ。

あとは…登場人物の名前で、北斗の拳のミスミの爺さんを思わせる人物がいたなと。そのミスミの爺さんも、出生の話からしてソウルの憑依のかのうせいが…のうりょくがはつげんしてないだけなのかも!? まあミスミの爺さんを憑依者にしなかったのは、それをしないことでいわゆる女の情念的な感じを出すという狙いがあるのかもしれないねえ。

美濃牛 (殊能 将之)

鏡の中は日曜日ハサミ男に続いて、同作家の長編を。まあ楽しい。雰囲気も記述の重厚さも良く、登場人物も多いけど個性的で、非常に快適に読めた。

内容に比べて文章が長い、という批判はあったらしい。殺人事件が起きるはずなのに、なかなか一人目が死なないというのはその通りだけど、自分は気にならなかったな。それだけの内容もあったと思うし。

ロング・グッドバイ (レイモンド・チャンドラー)

言わずと知れたハードボイルドの古典的名作を村上春樹というハードボイルドファンの著名作家が翻訳し直した。元の翻訳をほとんどの読者が知っているだけに、どういう変化があるのか、その変化には必然性があるのか否かというのがどうしても気になってしまい、ストーリーに入って行けるのか自信がない…というのが読む前の心配事。

強引に例えれば…今の「君が代」を現代語っぽい「てにをは」の歌詞に微妙に変更して、それが新しい国歌だと教えられている気分?

検察側の罪人 (雫井 脩介)

流石にこの著者の作品だけあってテーマも面白いし展開のスピードも適切で、良いですね。しかも途中で散らかることなくラストまでうまいこと進んだ。話題作になるだけのことはある。映画化されたんですね。公開はこれからか。

まぁでも、麻雀牌の話はちょっと現実感が薄かったが。

ウォッチメイカー (ジェフリー・ディーヴァー)

シリーズものなんですねこれ。どういう経緯で読むことにしたのか思い出せないんだけど、とにかく読んだ。

途中までは良かった。途中からはちょっと都合の良すぎる展開かと。しかもあんまり事件が解決している気がしないので後味もそれほど良くないんだが。まあ続編があるということなんだろうね。しかも最後の方の「セミコロン」関連の推理なんて日本語訳では通用してない気がする…これは仕方ないか。序盤から中盤までは非常に読ませるし、変態クズ野郎物語の最後のあたりなんてかなりいい感じだった。

刑事ファビアン・リスク 顔のない男 (ステファン アーンヘム)

北欧系のミステリ。まあちょっと後味も良くなかったし、中身もちょっと緻密さに欠ける部分があったように思う。そしてこの無意味な設定はなんなんだ。その設定いる? みたいなのが目立つんだよね。

まあでも文章量も多く、しっかり書き込まれているし、雑さも気にならないレベルなのかも。シリーズ物っぽくもある書き方だけど、これがデビュー作なんだってね。まあ今後に期待できるかもしれないが…読まないだろうね次は。