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山椒の実

Category: History

中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢 (鈴木由美)

後醍醐天皇の建武の頃に暴れ回った、北条氏の残党のヒーロー。若かったんですね。というか子供じゃないですか。

この頃の話ってややこしいから好まれていないのかとも思ったけど、戦国時代とかと比べるとややこしさは少ないんじゃないかって気がした。あとは、単純に史料があまり残ってないから、真相があやふやである、という説も。

結論としては、足利氏の戦力が強すぎたのかなあ…

九月、東京の路上で (加藤直樹)

大正期の大災害、関東大震災のときに起きた流言飛語によって引き起こされた朝鮮人虐殺を記した本。どういうメカニズムでそれが起きたのか、どうすることで防げるのかに興味があったわけだ。まーしかし読み進めるのも辛い、憂鬱ですごい話だった。しかし大正期か。あの頃で、こんな事実が許されるのか? 警察や軍も率先してやってたなんて。最終的には自警団が勝手にやったことにして全部なすりつけたの? 酷さ醜さが凝縮されている。

阪神淡路でも東日本大震災でも悲劇はあったと思うけど、関東大震災の時のようなことはだいぶ防げたんじゃないかと思った。自国民に退避を呼びかけていた国もあったよね。そういうのともリンクした。力のある国の人だと、だいぶ守られてるんだろうな。実際のところは技術…耐震設備の向上によって救われた命も多かったろうけど、人間の意識も進歩している。我々の子供の世代にはもっと進歩が進んでいるだろうか。

歴代天皇総覧 皇位はどう継承されたか 増補版 (笠原英彦)

なんかすごい本。歴代の全天皇とその皇位継承がどうなされたのか、全部やっていく。その血塗られた(?)歴史。自分は南北朝とかよく分からなかったんだけど、理解できてきた。結末は謎だが…南朝が勝ったと思いきや、統一した時に北朝が勝ったの? まあ結局両方とも武家に負けた形になったという感じか。戦争で決着をつけようとすれば、そうなるよね。

外戚と院政についてはなんというか、すごいなという他ない。このパワーバランスがためらいもなく続けられるというのはちょっと理解できなかった。今の価値観だと、ネガティブな印象しか残らないな。

絶滅できない動物たち (M・R・オコナー)

絶滅危惧種の保護や、絶滅した動物の復活の話。答えのない課題。

動物側にも文化的な側面があるというのは、なるほどと思った。カラスの話で出てきたが。絶滅寸前のカラスのDNAを保存、復活させたとして、そうやって復活したカラスはもはや元のカラスではないと。鳴き方や飛び方など、親から子へ、群れの仲間から教えられることは多い。それがゼロから生まれるわけではない。人間で同じことをしたらどうなるか考えれば分かる。人類が絶滅したとして、日本人のDNAから1人再生したらいきなり日本語を喋って行列に並び始めるかっていうと、そんなわけはない。

椿井文書 日本最大級の偽文書 (馬部隆弘)

椿井政隆という江戸末期の人騒がせな関西の武士が偽書を量産していたらしい。それにだまくらかされた後人が巻き起こす騒動を書いた本。かなり学術寄りの書き方になっているが、非常に興味深いものがあった。原因や結果について、いろんな分析があって面白い。

神社の縁起も地元の歴史の記述も、割といい加減だったりするんですね。行った先に石碑とかがあると、私なんかはいちいちありがたがってましたが、信じた嘘が書いてあることがあるなんて。

トロイ

神話と歴史をベースにした映画。なかなかいい映像で、楽しめた。トロイの木馬、アキレスと亀…ワクワクさせるキーワード群。

観た後でWikipediaの項目を見たら、この映画は史実や神話と違うという点で批判を受けたらしいw アホか。神の怒りやカカト弱点即死なんてあってたまるかよ。カートゥーンじゃねーんだ。

とりあえずヘクトルだけはただ一人、常識人だった。

GOEMON

いやー面白かった。中世歴史改変SF? というジャンルでいいのかな?? その辺はよくわからないけども、アクションもいいし。ちょっと安っぽいと感じる風景もあったが、十分にかっこいい。

問題があるとしたら、「人が死にすぎ」という点かなー。登場人物もほぼ全員死亡、モブも大量死…挙句、最後にあんなこと言うのかよと。

TN君の伝記 (なだいなだ)

明治の自由民権運動の思想家の人の伝記。社会の教科書に出てくるような名前の人ではあるが、名前じゃなくて事績に注目して欲しいため、匿名になっている。ただし図書館によるタグづけは無慈悲だった。隠したいわけではなくて、邪魔になるから書かないことにした、という話なので、ネタバレと言うほどのことではないか。

文章は子供向けだが読み応えはある。濃い人生を送ってたんだなあ。

なかなかに興味深いものがあった。当時の空気みたいなのが感じられる。一筋縄では行かない、日本の民主主義の成り立ち。歴史の裏側みたいなね。表の歴史はなんとなく学習してきたんだけど、こういう人物の歴史の方が面白いもので。史記の列伝みたいな。

5つの戦争から読みとく日本近現代史 (山崎雅弘)

日本の明治以降の戦争の背景について解説した本。日本側の視点と、世界からの視点を比べた総合的な解説で、学生時代の教育の過程で蔑ろにされてきた近代史について教養を貯めるにはちょうどいい感じがするな。この種の本の1冊目に読む本としては悪くない選択になるだろう。

衝撃的な内容があるわけでもなく淡々とした解説が続くので、眠くなるかもね。自分は正直、中盤は眠くなった。しかしまあ、日本ってのはこの頃はまったく戦闘民族だったんだな。チャンスさえあれば誰にでも噛み付くっていうね。

大名格差 江戸三百藩のリアル (安藤優一郎)

江戸時代の大名間の格差についての解説本。ランクがかなりはっきりしていたらしい。ふーん…と、実感なしに豆知識が増えていく。非常にこう、なんというか、、、めんどくさい世界だったんだな。

長く続けていくことばかりが目的化すると、こういう儀礼みたいなものが重視されてしまうんだろうな。現代は実利が全ての世の中になっているので、儀礼は貶められ、どんどんなくなっていく。それに抗うことはできないのだ。