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山椒の実

Category: History

織田信忠 天下人の嫡男 (和田裕弘)

割と学術寄りの、織田信長の後継ぎの人物に関する本。若死にしたが、家督も受けているし、軍功も多い。この年でここまでの経験と実績を持つ武将もいねえな、という著者の感覚ももっとも、と思えた。

本能寺の変での死を避けられるルートが実際あったが、それを選べなかった…というのも事後諸葛亮と言うべき指摘。あの時点で味方の時は有能だったはずの明智が実は無能…というのは分からないよ。無理からぬことだし、その後の展開を知らずに低く評価することはできまい。

美しい日本の歴史 (吉川英治)

歴史漫談みたいなエッセイ集。著者自体がすでに歴史の中にある。なかなか楽しく読めたな。

しかし吉川英治の作品が無限に無料で読めちゃう時代。なかなかすげーよな。三国志あたり、行きたいところよ。ただあんまり長いのは時間の溶け方がやばすぎるかもなあ。まあ適度な分量のやつから行こうかな。

ワニと龍 (青木良輔)

龍は実はワニのことだった、という歴史考察をフックにして、ワニについてとんでもない知識量を持ったワニマニアが語り続ける。絶え間なく。恐竜との関係とその考察とか、かなり深いものがある。なかなかすごい本だった。学術的な面をしっかり出しつつも、テンポも良い。

わーにの、おとうさん、わーにの、おとうさん、おっくちっをあっけってー♪

寄生虫館物語 (亀谷了)

目黒の寄生虫館の創始者が平易な文章で語りかける。

寄生虫館、こないだ行ったんだよね。もう1年くらい経つか。なかなかユニークでそそられる施設。実際、かなり面白かった。コロナもあってあんまり人はいなかったし、私設の博物館で研究所だから、こじんまりしていた。ただ面白さはあった。そういえば、来日したビル・ゲイツもここを訪れて楽しんだらしいというニュースも見たな。

この本はそんな寄生虫館がどうやってできたのか、寄生虫とはどんな存在なのかを示してくれる、いい本だった。読んでよかった。とりあえず今後できることは…野菜は洗うし肉は加熱して食べよう。そしてキタキツネには触らない。

奴隷船の世界史 (布留川正博)

奴隷に関する歴史を記した本。すごい内容だった。

昔のヨーロッパのキリスト教エリアから見た世界(四方をイスラム教徒に囲まれている感じ)とか、割と「そう思って見てなかったな」と思わせるような記述も多い。そして奴隷船だよ。すごいなこれ。まず数がすごい。扱いも酷い。酷くない部分がない。奴隷船で調達するために現地で内戦を起こさせておいて、戦争捕虜の奴隷を引き取っていくとかね。連れて行かれる航海中の死亡率も高い。人間ってなんでこうなんだろう。

中先代の乱 北条時行、鎌倉幕府再興の夢 (鈴木由美)

後醍醐天皇の建武の頃に暴れ回った、北条氏の残党のヒーロー。若かったんですね。というか子供じゃないですか。

この頃の話ってややこしいから好まれていないのかとも思ったけど、戦国時代とかと比べるとややこしさは少ないんじゃないかって気がした。あとは、単純に史料があまり残ってないから、真相があやふやである、という説も。

結論としては、足利氏の戦力が強すぎたのかなあ…

九月、東京の路上で (加藤直樹)

大正期の大災害、関東大震災のときに起きた流言飛語によって引き起こされた朝鮮人虐殺を記した本。どういうメカニズムでそれが起きたのか、どうすることで防げるのかに興味があったわけだ。まーしかし読み進めるのも辛い、憂鬱ですごい話だった。しかし大正期か。あの頃で、こんな事実が許されるのか? 警察や軍も率先してやってたなんて。最終的には自警団が勝手にやったことにして全部なすりつけたの? 酷さ醜さが凝縮されている。

阪神淡路でも東日本大震災でも悲劇はあったと思うけど、関東大震災の時のようなことはだいぶ防げたんじゃないかと思った。自国民に退避を呼びかけていた国もあったよね。そういうのともリンクした。力のある国の人だと、だいぶ守られてるんだろうな。実際のところは技術…耐震設備の向上によって救われた命も多かったろうけど、人間の意識も進歩している。我々の子供の世代にはもっと進歩が進んでいるだろうか。

歴代天皇総覧 皇位はどう継承されたか 増補版 (笠原英彦)

なんかすごい本。歴代の全天皇とその皇位継承がどうなされたのか、全部やっていく。その血塗られた(?)歴史。自分は南北朝とかよく分からなかったんだけど、理解できてきた。結末は謎だが…南朝が勝ったと思いきや、統一した時に北朝が勝ったの? まあ結局両方とも武家に負けた形になったという感じか。戦争で決着をつけようとすれば、そうなるよね。

外戚と院政についてはなんというか、すごいなという他ない。このパワーバランスがためらいもなく続けられるというのはちょっと理解できなかった。今の価値観だと、ネガティブな印象しか残らないな。

椿井文書 日本最大級の偽文書 (馬部隆弘)

椿井政隆という江戸末期の人騒がせな関西の武士が偽書を量産していたらしい。それにだまくらかされた後人が巻き起こす騒動を書いた本。かなり学術寄りの書き方になっているが、非常に興味深いものがあった。原因や結果について、いろんな分析があって面白い。

神社の縁起も地元の歴史の記述も、割といい加減だったりするんですね。行った先に石碑とかがあると、私なんかはいちいちありがたがってましたが、信じた嘘が書いてあることがあるなんて。

トロイ

神話と歴史をベースにした映画。なかなかいい映像で、楽しめた。トロイの木馬、アキレスと亀…ワクワクさせるキーワード群。

観た後でWikipediaの項目を見たら、この映画は史実や神話と違うという点で批判を受けたらしいw アホか。神の怒りやカカト弱点即死なんてあってたまるかよ。カートゥーンじゃねーんだ。

とりあえずヘクトルだけはただ一人、常識人だった。