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山椒の実

Category: Development

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで (市谷聡啓, 新井剛)

ソフトウェア開発の現場の物語。物語というか、スクラム開発の紹介を物語風にやっていく。ゴールドラットのザ・ゴールのような、と言えばわかりやすいかな。

私も開発者で、スクラム風なやりかたで仕事をしている。スクラムそのものではない。スクラムマスターとプロダクトオーナーがいて。全体的にはなかなかいいものだ。ただ立場としては内製システム開発なので、この本のような受託開発の事例とは異なる面が多いかな。

実際のスクラムマスターは優秀な開発者でもあったが、この本のように会社を離れてしまった。この本のように、と書いたが無論、喧嘩別れではない。スクラムマスターというのはどうしても、そういう習性になるのかもしれないね。

大東建託の内幕 (三宅 勝久)

悪どい企業に迫る本。やばいやつだね。こういう本、割と好きなんですよねー。

むかしネットで読んでた記事もあるんだけど、本になってたのね。

いろんな立場の見方をしながら記述が進んでいくんだけど、全体的に見れば会社のシステムを設計する上で賞罰のバランスを間違えるとこうなる。社員の立場ならそういう場所からは早く逃げたほうがいいだろう。顧客の立場なら? 社員とは近づきすぎないほうがいいだろうな。

まあこの会社の事業を通じて利益を受けた顧客や顧客の顧客も多いから成長した企業なんだろう。

平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世 (桃崎 有一郎)

平安京というものに関する研究結果と考察。平安京なんて最初からいらんかったんや!

サイズもおかしいしデザインもおかしく使いにくい。フルに完成させることもできず捨てられて今に至る。いろいろとおかしなところはあるみたいですね。朱雀大路の話とか知らなかったな。何も考えずに模倣でデザインすると痛い目に遭うって話だよね。これはもしや、ソフトウェア開発のエンジニアにとっても耳に痛い話?

自分はあまり知識がないもので、二条城が昔は内裏だった土地ってことなのかな? 今の御所とか祇園とかはどういうところなんだ…

青函トンネルから英仏海峡トンネルへ―地質・気質・文化の壁をこえて (持田 豊)

国鉄で青函トンネルを掘り、英仏海峡トンネルのアドバイザーも務めたトンネルの第一人者、持田さんが書いたトンネルの本。あまりに淡々と技術的な話を次々に書いていくのだが、それだけでも迫力はあるね。読ませる文章ではないが、中身が純粋に事実の積み重ねだからね。真実は伝説を超える。

前半は就職以来ずっと関わっていた青函トンネルの話。オヤジがお手製で作った潜水艦を使って調査する話とか、水平ボーリングの話とか、いろいろある。技術的な要素が次から次へと語られていくのは爽快感も感じる。値段が3倍になるセメントの話なんかはとても実感がこもっていた。まあ語り口はあまりにも淡々としすぎていて主張という部分に欠けるんだけどね。正直な感想を言えば…「無茶したね」という感じ。