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山椒の実

Category: Business

申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。 (カレン・フェラン)

メソッド全盛のコンサル業界で対人オバケ最強説を唱える。なるほど。

そもそもメソッドが生み出されたのは、対人スキルは育てることが難しいということから来ていたのではないのかな、と思ったが。この本では対人スキルが天与のものであり、まるで対人スキルを鍛えるメソッドがないかのような言いようであって、そこはちょっと引っかかったね。

実は私も対人スキルはゼロに等しい。まあ管理職をやるつもりがないのでどうでもいいこと? そんなことはないけど、そこはストロングポイントではないと認識しつつ前に進むことでどうにか誤魔化しているわけだが。ただメソッドも信用してなかったりする。結局優秀な奴が集まったらメチャクチャやってもどうにでもなるし、ダメな奴を集めたらどんなメソッドも効かない。ミもフタもない話。

大東建託の内幕 (三宅 勝久)

悪どい企業に迫る本。やばいやつだね。こういう本、割と好きなんですよねー。

むかしネットで読んでた記事もあるんだけど、本になってたのね。

いろんな立場の見方をしながら記述が進んでいくんだけど、全体的に見れば会社のシステムを設計する上で賞罰のバランスを間違えるとこうなる。社員の立場ならそういう場所からは早く逃げたほうがいいだろう。顧客の立場なら? 社員とは近づきすぎないほうがいいだろうな。

まあこの会社の事業を通じて利益を受けた顧客や顧客の顧客も多いから成長した企業なんだろう。

半年だけ働く。 (村上アシシ)

日本三大「村上さん」の一人、村上アシシ氏による、生き方解説。

実際のところこの人はプロの札幌サポ…という認識しかなかったが、本業はコンサルタントらしい。そしてフリーランスのコンサルタントの単価をもってすると、半年だけ働いて半年は完全自由に旅人をやって暮らせるらしい。そのノウハウを記した本がこれ。

まあ熱心なサポとか、どうやってるんだろうということは思っていた。学生とかなら分かるけど、いい大人がアウェイに行きまくったりオリンピックだワールドカップだと長期間チームに付き合って応援するわけよ。なあ、どうしてんだ? と。その答えの一つがこれだったというわけか。引退した金持ち・時間だけはある貧乏学生、だけの集まりじゃなかったんだね。

「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか (丹 道夫)

誰もが知る「富士そば」の創業者が半生と経営哲学と演歌を語る。

今の会社の最寄駅にも2軒ほどありまして、カツ丼が特に旨いので時たま食べに行っております。もう少し歩くと安いカツ丼屋さんがあったりもするし、新潟系のソースカツ丼と「へぎそば」を食える店があったりもしますが、それでも安くて、勝るとも劣らない出来の富士そばは偉大だと感じている。入りやすいしね。カツ丼オススメですが、今度天ぷらも食うかな、という気になった。

東芝 粉飾の原点 内部告発が暴いた闇 (小笠原 啓)

東芝の没落を日経ビジネスが記録していく。WHの赤字のスクープを出したのが日経ビジネスで、当時内部告発の窓口を作って、色々情報を集めたようだ。かなり臨場感のある書籍になっている。なかなか興味深かった。無論こんな本だから、読後感は良くないよ。

東芝問題の戦犯はまあWH買った奴なんだろうけど、そのあとは色々あって、それぞれの人物の動機は割と納得の行く合理的なものなんだな、というのは感じたね。

東芝没落の経緯というのは学習しがいがあると思う。ビジネススクールとかではこういう本を元にロールプレイして味わい尽くしてるんだろうなぁ。WHを買った後に社長に就任したとして、会社を潰さないためにどういう決断をして行くか、みたいな。

私がベアリングス銀行をつぶした (ニック・リーソン)

デリバティブ取引に莫大な額を突っ込んだ不死身のギャンブラー、あの伝説のニック・リーソンがその一部始終を書いた本。たった一人で200年以上続いた名門銀行を潰す! この人はシンガポールから日経平均に突っ込んだという変わり種? 途中からは市場規模に対してポジションが大きくなりすぎて破綻。大和銀行でやっぱり同じようなことに陥った人もいましたね。

しかしこの銀行には無責任の塊のような奴らが集まっていたんですねー。この人自身も相当なものだ。なんせ、願望だけで莫大な資金を賭け続けるんだから。しかも酔っ払いながらね。そこはもうちょっと勉強しようよ。最初は部下の失敗を誤魔化してあげていたという事情らしいが。

東芝 原子力敗戦 (大西 康之)

江戸時代のからくり人形師から始まった、140年の歴史を持つ東芝。まあご存知の通り潰れようとしていますけども、何が起きたのか。

WHの買収で下手を打ってそれを誤魔化そうと奮闘してたんだろう、という話なんだけど、自分としては売上高5-6兆円の企業が6000億? くらいの買い物をして潰れるほどの問題になるというのがちょっと納得いってないんですよね。値段の問題ではなく、つけていた条件がおかしかったという話なんだろうなぁ。

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か (エリヤフ・ゴールドラット)

小説じたての教科書、みたいなものか。工場の最適化問題を解く話。長いけど、一気に読めた。かなり面白い。

全体的に見て非常によく考えられているし理論が練られていると感じる。ボトルネックを探す。ボトルネック以外はゴミなので暇になったらちゃんと休ませる。ボトルネック部分は必ずフル稼働。なるほどね。

問題解決が一本道なのは教科書だからか。現実は失敗も多いと思うし、そう都合よくボーイスカウトで事件が起きたりはしない。夫が息子のボーイスカウトに付き合って出かけている間に妻が幼い子を捨てて出て行ってしまうなんてことも、たぶん多くないだろう。子供連れて出てっちゃう、ならあるのかもしれないね。

しんがり 山一證券 最後の12人 (清武 英利)

巨人でコップの中の嵐を起こしてクビになった、あの清武さんが、山一證券の自主廃業と残務処理をした人たちを描いた本。さすがジャーナリスト、こういう本を書くこともできるんですね。

山一證券の廃業はまあ私にとっては歴史上の物語です。1997年に廃業ですから、まだ株式投資が私の身近に来るずっと前の話です。私はネットの時代になってから始めたクチですから。最初はDLJ Direct SFGだったかな。いったん足を洗ったあと、すぐに楽天証券になっちゃったけどね。楽天証券になってからはほとんど取引をしていなかった。口座残ってるのかな?? その後、最近になって現物株を再開して、あの証券会社とあの証券会社を併用する現在の体制に。

ファーストペンギンの会社—デジタルガレージの20年とこれから

デジタルガレージの社史みたいな本、ということだが、インターネットビジネスにおける日本のエース、伊藤穰一(Joi)とその仲間たちの昔話や座談会記録みたいな本。前半部がデジタルガレージの社史っぽい文章で、後半部が座談会。

ファーストペンギンというのはよく言われる言葉で、海に飛び込む1羽目のペンギンの勇気を褒め称える言葉。餌を得るために恐怖を振り切る。ためらいなく先陣を切る勇敢さを評する表現。

前半部はさらっとしたものだったけど、それなりに楽しく読めた。IT業界らしく、めまぐるしい。栄枯盛衰。カカクコムや食べログは一線で続けてるけど、infoseekは楽天に移ってからはさっぱり? テクノラティは以前は私もよく使ってたけど(日本版は)今はサービスしてない。ブログ検索はGoogleのやつもほとんど死んだも同然になってるし、流行らないんだろうな。kakaku.comがビジネスになって買収された流れは当時けっこう衝撃あったよね。