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山椒の実

Category: Books

「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか (丹 道夫)

誰もが知る「富士そば」の創業者が半生と経営哲学と演歌を語る。

今の会社の最寄駅にも2軒ほどありまして、カツ丼が特に旨いので時たま食べに行っております。もう少し歩くと安いカツ丼屋さんがあったりもするし、新潟系のソースカツ丼と「へぎそば」を食える店があったりもしますが、それでも安くて、勝るとも劣らない出来の富士そばは偉大だと感じている。入りやすいしね。カツ丼オススメですが、今度天ぷらも食うかな、という気になった。

森は怪しいワンダーランド (田中 淳夫)

森林ジャーナリストという職業…があるのかどうかは知らなかったが、そういう人が書いた、森の本。面白い話もあり、真面目な話もあり、森にまつわるいろんなエッセイが並ぶ。

結構楽しめたよ。探検部出身の人はやはり面白いよね。真面目方面の話はまぁ…よく分からないというのが正直なところ。正解が…この人の言うことが正しい方向なのかどうか判定できるだけの知識がないんで。

個人的な話をすれば、私の祖父は林野庁に勤めていた人で、街や公園を歩いていてもあれはナラだクヌギだなんちゃらだと教えてくれたのだが、今に至っても私は全く判別できない森音痴です。まーでもツツジとツバキくらいは判別できるかな。

事実の考え方 (柳田邦男)

日本三大「やなぎだくにお」の一人。「くにおくんシリーズ」の主人公の姓は柳田だと思っている(←私が勝手にそういう印象を持っているだけです)。名前で損してるよなぁ。初見では別人だとは思わんもんな。まあ有名な人ではあるけれども。

この本はいろんなところに書いたエッセイをまとめたもの、という感じ。航空機の事故に関する調査から、医療関連の話まで。割と臨場感のある書きっぷりなので退屈せずに読めると思う。後半は書評みたいなものも多かったので、気になったものは機会があれば読んでみようと思った。

イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち (澤宮 優)

スポーツ選手を襲う魔病。医学用語ではなくゴルフ用語らしいね。思ってたよりも広くある症状だと。原因もはっきりしているわけではないし、治療法も確立されていない。

興味深かったのは、最後のあたりに出てきた1万時間理論のあたりか。どんなものでも上達するのは練習時間にして1万時間くらいで、それ以上はやっても効果がない。それで練習は上達のためでなくコンディション調整に徹することでイップスのようなものを避けると。

ゲーマーとかもイップスなるのかな? マリカーでドリフトできなくなるとか…スプラでハイプレ打てなくなるとか。私もコード書きイップスになっても不思議はないな。突然printf書けなくなるの。まじで恐怖でしかない。防ぐには、いろんな環境、いろんな言語でコードを書くと。あーでも、コードよりも、こういう駄文を書けなくなるのが一番つらいかも。

期待の科学 悪い予感はなぜ当たるのか (クリス・バーディック)

プラシーボみたいな現象を説明する書。心理の生み出す魔をどう使えば人類の幸福につながるのかな?

サッカーのPK戦やバスケのFTから始まって、様々な実験、検証について紹介しながら話は進む。こないだの幻肢の話も出てくる。なかなか興味深い話だ。なかなかの力作と感じられる。

現在華やかなりしAI分野も、こういった心理の魔といった類の分野に手を出すようになるまであと何年かかるかな? 現実の脳の働きというのは思ったよりも複雑だな、という印象は強くなった。

動物になって生きてみた (チャールズ・フォスター)

イグノーベル賞受賞。奇書の一つだろうなこれは。動物になって生きてみた、タイトルそのまんまの話。のっけからアナグマになってミミズ食べてるし。

比喩的な叙述が多すぎて読むのが疲れたよ。こんな話、ここまで字数を稼ぐ必要があるんだろうか。外国文学に特有のアレですね。あっちでは単語数でギャラが決まるため、良い作家は無駄に多くの単語を費やす傾向がある、とかいう与太話だか本当の話なんだか分からない説もあるよね。

とりあえず、キツネの「もしもし」の話が印象に残った。日本人が電話で「もしもし」と発声するのは、キツネは「もしもし」とは発音できないため、キツネに騙されないようにしている…という話ね。なるほど! そうだったのか。

組長の妻、はじめます。女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録 (廣末 登)

関西の女ギャングの半生をつづった本。まあテンポも良くて読みやすい本だったと思うよ。なんというか…GTAな人生って言えばいいのかな。

組長の妻、を前面に押し出したタイトルは内容とは乖離がある。これは組長の妻の話などではない。確かに最終的には旦那が組長になったんだけど、一人の女ギャングの話。悪事としては覚醒剤と車泥棒がメインで、多くの手下を使って手広くやっていたような記述。社会にとっては迷惑な話ではあるが、それなりに、一定の役割があったんではないだろうか。

上杉謙信 (吉川英治)

青空文庫シリーズ。吉川英治がラインナップに加わり、俄然強力になった青空文庫ね。三国志に行く前にいくつか読んどこうと思っている。

この本を読んでまず驚くのは読めない/意味の分からない熟語があることだ。最近だとこういう経験は少ない。日本語なら難しそうな熟語でもなんとなく意味が分かるものだが…「各二の字点」? 「かくにの…」? どーゆー意味なの?? ただしこれはビューワの問題だった。「二の字点」は「々」の旧字か何かかな。Unicodeにありそうだけど…「〻」これか?? 読み終わったあとまで分からなくて、乱されてしまった。各々(おのおの)と読むべきだったのだ。まさかね。

神楽坂 (矢田津世子)

神楽坂のケチな金貸し。奥さんの死に関連するあれこれを描いた小説。青空文庫で読めます。

彼の人生の意味って何なんだろうね。充分なカネを稼いだのなら、引退して南の島でのんびり暮らせばいいのに。…と、自分が同じ立場になることはなさそうなので適当なことを言いだしてますが、特に感動があるわけでもなく、大きな驚きがあるわけでもない物語が淡々と続くこの感じね。好きな人は好きなんだろうな。この小説を読んで、時刻表のトリックくらいは使っても良かったんじゃないかなんて思ってしまう自分の人生は一体なんなんだ??

東芝 粉飾の原点 内部告発が暴いた闇 (小笠原 啓)

東芝の没落を日経ビジネスが記録していく。WHの赤字のスクープを出したのが日経ビジネスで、当時内部告発の窓口を作って、色々情報を集めたようだ。かなり臨場感のある書籍になっている。なかなか興味深かった。無論こんな本だから、読後感は良くないよ。

東芝問題の戦犯はまあWH買った奴なんだろうけど、そのあとは色々あって、それぞれの人物の動機は割と納得の行く合理的なものなんだな、というのは感じたね。

東芝没落の経緯というのは学習しがいがあると思う。ビジネススクールとかではこういう本を元にロールプレイして味わい尽くしてるんだろうなぁ。WHを買った後に社長に就任したとして、会社を潰さないためにどういう決断をして行くか、みたいな。