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山椒の実

Category: Books

父の詫び状 (向田 邦子)

日本三大邦子の一人、向田邦子の代表作ともなったエッセイ集。文章の達人が、自分の子供時代を振り返る。昭和だよね。平成が終わりに近づいて、昭和を思う。そしてこの本を読めばそこに昭和がある。

昭和から平成にかけての時代は人類史にとっても激動の時代だと認識しているんだけど、どう捉えたら正しいのかまだ戸惑っている部分が自分にはある。昭和という時代を認識するにあたって読んでおきたい本ではあった。

暴力が終わる時代? という捉え方ができるかなと思った。今時はこんな風に子供に暴力を振るったら捕まるわけだよ。

堪忍箱 (宮部みゆき)

宮部みゆきの短編時代小説集。この人の時代小説は読んだことはなかったのだが、ひょんなことから(?)読むことに。テーマは推理小説作家らしく「秘密の暴露」かな。自分としてはこういう一般人の話は割と好きな方で、山本周五郎とか池波正太郎とか、昔よく読んでたなぁと思い出してしまった。

こういう小説を書く生きている人がいると分かってホッとしたという感じ。

そしてぼくは銃口を向けた (飯塚 真紀子)

アメリカの病んだスクールカースト下位者が銃火器武装し、学校で乱射する。ハイスクールシューティング。それを丹念に取材してまとめた本。

中にはまさに中二病としか思えない奴もいたり、クソ女に騙されて二股相手を殺したという趣の異なる事件もあり。それぞれ、いくつかの条件が重なって、学校で発砲するに及んだ。

平時に住人が銃を持てるのが悪い、という結論は簡単に出せていると思うのだが。まーアメリカも荒野部が多いからね、土地の広さに対して保安官が足りてないという事情もあるだろう。しかし都市部でも荒野と同じ制度でやることに合理性があるのかな? ないよねバーカ、と思ってしまう。どうしても。

Hit Refresh マイクロソフト再興とテクノロジーの未来 (サティア・ナデラ)

マイクロソフトの3代目CEO、ナデラによる本。当然忙しかろうから、共著の形。文章はライターが書いたんだろう。いいライターを雇ったね。とても良い読書体験(リーディングエクスペリエンス)だったと思う。

MSは彼の就任以降、技術的な対外姿勢においてかなりの改善を見せていて、カルチャーが良い方に振れたという印象がある。だからこの本にも説得力がある。自分の存在理由は何か。なんのために生まれ、生きるのか?

MSは「すべての人、すべてのデスクにパソコンを」という設立理念を早々と達成してしまった会社。我々計算機エンジニアにとってすでに自然物のような扱いになっている。では現在のMSの存在理由は? それをナデラは君に語りかける。ナデラの人生と、社員や顧客の人生。マインドセット。何が大切なことなのか。

「日本の伝統」の正体 (藤井 青銅)

日本の伝統と言われるものは数多いが、それほど長く続いている伝統ばかりではない、という事例を次々に紹介する本。雑学として多くの事例を知ることができて役に立つ感じ。

自分は伝統が長ければ尊いという思想はなく、むしろ新しいものの方が良いはずでしょ、という思想に近い。だけど歴史的なものを無視するつもりはなく、平均的な人よりは歴史が好きっていうのもある。というわけで楽しく読むことができた。

なるほどと思ったのは正座の項。正座が発明されて丁寧なものとされたのは、普段思っているよりも最近というね。普段から実に馬鹿馬鹿しい座り方だとは思っていたが。和式便器の座り方は足首の柔らかさとか脚力全般を鍛えるには悪くないと思うけど、正座はメリットが何もないよね。←実際はウォシュレットなしで生きていけないし、和式便器を好んでいるわけではないですが。

清原和博への告白 甲子園13本塁打の真実 (鈴木 忠平)

甲子園で清原が放った13本のホームラン。それを食らった投手へのインタビューを元に、それぞれの、そして著者の清原への思いを描写していく。清原ファンにとっては必読の書。純粋に、良い本だと思います。

大学や社会人野球に進んだ選手もいるし、野球を辞めた選手もいる。中にはプロになった選手も。その後の清原の30年はいろんな描写がされてきたけど、打たれた者にとっても30年の歳月が過ぎたわけだ。それぞれの30年が熱い。

失われた世界 (コナン・ドイル)

言わずと知れたシャーロックホームズのコナン・ドイルがSF小説を書いていて、しかも最近翻訳され直して読みやすくなっていた。これは読むしかない。ジュラシック・パークの原作これだったのかー。

100年前に書かれていたとは思えないですよねこれ。すごいです。まあ今の知見からすると細部のリアリティはもう少しイケるような気もするけど、今読んでも楽しめるよね。スイスイグイグイ読めた。流石に文章は上手い。当時の時事系の話題も多いが、脚注がしっかり書かれているところなんかは非常に親切。翻訳も上手いんじゃないかなこれ。

タイガー・マザー (エイミー・チュア)

中国式の凄まじいスーパースパルタ式子育て闘争を記した本。この母親のエナジーが相当すごいのは分かるけど、周りはたまったもんじゃないな。母親と子供2人の3人はいいとして、果たしてこれで夫は幸せなのかな? 最初のワンちゃんへの接し方は笑えたが。

2人にやらせたのはクラシックのピアノとバイオリン。まあ勉強もかなり良く出来るところまでやったみたいだけど。しかしクラシックか。才能の無駄遣いと言っては失礼なんだろうけど、実際のところ、私は現代のクラシックをあまり評価していないので。だって歴史をなぞり返すだけで人生の全てが終わってしまう人がほとんど…という分野でしょ、という認識。価値がないとは言わないよ。それなりに優れているし学ぶものはあるだろうとは思うけど、人生は短い。学ぶだけで終わるってのは厳しい。

マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦 (ベン・メズリック)

永久凍土の中で保存状態の良いケナガマンモスは数千年前に絶滅したにも関わらず、DNAのコードを読み取ることができる標本があったらしい。

そして、永久凍土が溶けると含まれている二酸化炭素やメタンが放出されて地球温暖化が止まらなくなるのだが、かつて生息していた生態系のように凍土の上に広がる草原をいじくる生物がのそのそ歩いてほじくり返し続けることで永久凍土を冷やすことができ、地球温暖化の暴走を防いで人類を救うことができる、と。その実験を酷寒のロシアの奥地で続けている変人研究者がいたと。

宇宙ビジネスの衝撃–21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ (大貫美鈴)

ライトな読み物として最近の宇宙のトレンドを紹介。要はアメリカの億万長者が次々に参戦し、アメリカ流にビジネスが入り込んでくることで発展が見込めるって話。次々に宇宙トレンド話をなぞって出して勢いよく見せている。いろんな話をバラ色っぽく書いているんだけど、記述内容は本当なのだろうか?

用語でいうとコンステレーションのところはついていけずググって理解しなければならなかった。多数の小さな人工衛星を使って人工衛星クラスタを組むって話ね。ホールスラスタの説明(推進剤を使わずに電気だけで推力を得る?)は疑わしいなと思ってググったら、やっぱ違うじゃん。物理法則ナメんな? こういう、表面だけなぞってポンポン出してくる話は疑ってかからなきゃいかんよね。表面はいいんだけど、この本は表面すぎた感じ? この本を元に知ったかぶりをしたら恥をかくだろうな。だが勢いだけは本物だぜ。