Skip to main content

山椒の実

Category: Books

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで (市谷聡啓, 新井剛)

ソフトウェア開発の現場の物語。物語というか、スクラム開発の紹介を物語風にやっていく。ゴールドラットのザ・ゴールのような、と言えばわかりやすいかな。

私も開発者で、スクラム風なやりかたで仕事をしている。スクラムそのものではない。スクラムマスターとプロダクトオーナーがいて。全体的にはなかなかいいものだ。ただ立場としては内製システム開発なので、この本のような受託開発の事例とは異なる面が多いかな。

実際のスクラムマスターは優秀な開発者でもあったが、この本のように会社を離れてしまった。この本のように、と書いたが無論、喧嘩別れではない。スクラムマスターというのはどうしても、そういう習性になるのかもしれないね。

今日ヤバイ屋台に行ってきた (坪和寛久)

YouTubeの人気チャンネルで、私もよく見ていた『今日ヤバイ奴に会った』の人の初の著書。動画やインドや自分の人生の一部についての文章がある。

実際コロナで世界がヤバいことになってから見る頻度が減っていたんだが、本が出たらまあ、買うよね。カーンさんのこととか、あの謎のドジっ子お姉さんの店とかも載っている。ただこの本は動画の面白さには勝てないかなー。一応チャンネルの説明をしておくと、インドの屋台の動画を出してくれているチャンネルね。まあ、料理動画の一種よ。パンを自作してた頃は、このBGMを頭の中で鳴り響かせながらこねていたなー。

地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団 (森功)

積水ハウス事件で有名になった地面師の世界を追った話。

すげー世界もあったもんだな。他人の土地を勝手に売って儲けてしまう。まあ詐欺の一種なんだけど、死にそうで身寄りがない土地持ちの土地が狙われやすいのかな。相続人がいなければ競売にかけられて国庫に入るべきお金が詐欺師たちの懐に入るという感じ?

いろんな手口がありつつ、なぜか捕まらないし、捕まってもすぐに釈放されたり、割と微罪なのよね。金額は大きいんだけどな。おそらく詐欺師も普段は普通の不動産ブローカーみたいな人間なんだろうな。それで合法に行けないけどやれそうな時にやっちゃう、みたいな?

麻薬の運び屋にされて (長野智子)

メルボルン事件を追ったテレビ屋さんが書いた本。真実は謎めいている。

メルボルン事件って知らなかったんですが、事件名から言っても割と大きな事件だった。特に日本人にとっては。

初の海外旅行でマレーシア人にハメられてオーストラリアで懲役10年か。ずいぶん杜撰な捜査だったようだ。信頼を失っていたオーストラリアの警察が手柄欲しさに書いた絵だった、という推測が一番もっともらしいが、それも先入観によるものかもしれない。主人公格の女性は特に災難だった。災難の一言で片付けられないものがあると思うけれども。

書剣恩仇録 (金庸)

中国の武侠小説! なにこれ面白い!! 思えば中国のこういう小説は日本人にも馴染みはあって、三国志演義に水滸伝、それこそ古典というレベルの時代から、現代にも通じてるわけで。

日本でも時代小説、剣豪もの、ニンジャもの、そして特撮ヒーロー。あるよねえ。

この本は清朝の最盛期、乾隆帝の時代の話。群雄が大陸を飛び回り、滅満興漢の大業を企てる。そこに…

いやー楽しかった。バトルの描写も登場人物も中国らしさがある。ワクワクが止まんねーぞ。

正義を振りかざす「極端な人」の正体 (山口真一)

高校から大学にかけての時代、私は中庸でありたいと思っていた。今でもそう思ってる。この単語は「凡庸」と混同している人も多いのだが。本来の意味は、偏らないこと、そして変わらないこと。それを保てなくなることをこそ、私は恐れるのだ。自らの老いにより判断力は日に日に鈍り、ネットの気を利かせたお節介なパーソナライズにより受け取る情報は偏っていく。それに抗うために、この本から何らかの示唆が得られるかどうか。

別に応援してるスポーツのチームの情報をパーソナライズしてくれるのはいいんですよ。今は競技で括るような雑なカテゴライズじゃなくて、チームで見てくれるし。ただ、時事問題みたいなものはもっと広く知っておきたいわけよ。いろんな意見と対立軸、論点を押さえておきたいと。

11の国のアメリカ史 分断と相克の400年 (コリン・ウッダード)

アメリカの建国神話の新説? 新説なのかどうかはよくわからないが…割と楽しく(?)読めた。

高校生の頃に(子供向けの)アメリカの歴史の本を読むという英語の授業があった。自分にとっては割と難しかったんだけど、そこで大体どういう建国のされ方をしたかというのを知った。だいたいね。なぜかピンポイントで「プエブロ」という単語を覚えているのはそのせいだ。逆に世界史の一部でアメリカ史を習った記憶はないんだよね。まー私立の付属校だったから、カリキュラムが標準からは外れてたみたいで。

ワン・モア・ヌーク (藤井太洋)

狂人の天才が集まって悪いことをする話…? まあその表現は表現として、面白い話ではあった。主要登場人物がそれぞれ別の思惑を持っているのがいい。それぞれ主役を張れるくらい中身がある。騙し合い、腹の探り合い。その果てにあるものは?

この本を読もうと思ったのは、勤めている会社の近くの地理が出てくるという話を聞いたから。のっけからアラブではあるんだけど、確かに出てきた。なるほどあのへんか。

しかし、事実は小説よりさらに先を行き、東京オリンピック2020はコロナで延期…まるでSFの世界なんだな、我々が生きているのは。

電話をしてるふり (バイク川崎バイク)

BKBの人の書いた、ショートショート集。なかなか良くできていて、ファンの人以外の人の鑑賞にも余裕で耐えられるクオリティ。本のタイトルにもなっている一編は抜群に良かったが、それ以外もなかなかの腕前だった。

小学生の息子も読んでましたが、後から自分も読んでみたら、ちょっと小学生が読むには早いかなーと思う、夜の街が舞台になっている内容が多かったかな。

中高年ひきこもり (斎藤環)

ひきこもりに関する本。

目立たないけど、割と多いんですね。今回のコロナのおかげで私も外に出ることは少なく、家族以外の人間との接点はなくなってしまいました。まあ会社の人とは通話もあるしたまに会社に行くこともありますけど。だから、自分の場所からは、「ひきこもり」という生活は薄い壁の向こうにあるという感覚がある。紙一重とまでは言わないが、岩盤が我々を隔てているとは言い難い。

この本はいろいろ書いてあって参考になった。人間の脳ってへんてこりんな反応をするようにできてるんだろうなと想像する。依存症に関してもそうだけど、刺激の与え方一つで簡単にバグるんだ。神ですらない、狭い世間の匙加減ひとつで人生が変わる。その柔軟性が種としては強みであるのかもしれないね。