平成元年から終わりまで、1つの時代を通じて渋谷のスクランブル交差点で大晦日に行われたインタビューを並べた本。
…というテイのフィクションの小説。
着眼点はすごいし時代を映す鏡みたいな感じで、懐かしいと思われる出来事や何やらを感じさせてくれた。ただ出会い系で会った人に本を勧め続けたあの人ほどの狂気は感じなかったなー。平成ってこういう時代だったよな、というのを感じさせてくれたのはそうだが、良くも悪くも、平成が終わった時点での著者の興味の範囲の中に収まっているよね。言語表現としても著者の能力の範囲を超えられない。つまり意外性が欠けていて、そこはフィクションの限界かと思う。真実っていうのはもっと、意外なものなんだ。
そして平成が終わり、令和は令和ですごい過激なことが起きてる現実を知ってるからね。明らかに激しい事象もあれば、なんとなく生きづらい世の中になったなと思う出来事もあり。昭和を振り返るために向田邦子のエッセイを読んだ、それと同じ位置付けで平成を振り返る目的では読めないかなあ。