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山椒の実

Category: Books

ちいさい言語学者の冒険 (広瀬友紀)

言語の学習において、子どもや外国人みたいに未習得の人の反応を見て言語の特性に気づくという話。特異な部分があり、知識がない状態だと過度に一般化して理解してしまうので、そのギャップが露わになる。微調整済みなのが大人ということになる。

自分の子供も狭いコミュニティの中で言葉を違う意味で使うようになるとか、そういう経験があった。「強気」と「弱気」とか。というわけで私も子育ての記憶をたどりながら読んだわけだが、なかなか面白い話だった。

音楽が聴けなくなる日 (永田夏来・かがりはるき・宮台真司)

電気グルーヴの薬物逮捕→自粛に関連する、「そんな社会でいいのかい?」な話。今やデフォルト側が「自粛する」方になっていて、深く考えない限り自粛、という感じになっている。そんな社会に違和感を覚える。3人の著者がそれぞれ持ち味を出して論じた本。

もう30年以上? 前に読んだ問答集? エッセイ? みたいなものの中で、確か筒井康隆だったと思うが、著者の人となりがどうの…みたいな話を振られた際に「人に興味はない。作品に興味がある」みたいな返しをしていた。ぶっきらぼうな感じがカッコ良かった。それを読んで以来、私はずっとそう考えるのが正しいと思ってきた。だからクリエイターが犯罪者だから自粛、という風潮には抗いたいと思っている。薬物犯は患者or被害者という側面もあって、なおさらそう思う。思うけど、それができているのか? この本を読みながらの自問自答が続いた。

七つの棺 (折原一)

ライトなパロディ推理小説。密室殺人事件にフォーカス。だいたい無理があるのに、押し通しているこの感じ。

それぞれトリックと裏があって悪くないけど、元ネタを知らないので…知ってればもっと楽しめたかもしれないな、と思ってしまう。

こういう短編集のいいところは、寝る前に1編ずつ読んでくと1週間持つというところかなー。長編一気読みとかだと疲れちゃうケースに、ちょうどいい感じね。内容も文章も重厚じゃないので、軽い気持ちで読み始めて読み終われる…疲れないで済む。

紅蓮館の殺人 (阿津川辰海)

不自然な設定、張り巡らされた謎、名探偵、そして一筋縄では行かない謎めいた登場人物たち、最後のどんでん返し。これだよね。絵に描いたような現代日本の推理小説。楽しかったです。

まあ、それ以上語ることはあんまり、ないかなー。推理小説においては感想をネタバレなしで書くのが難しいわけよ。

TN君の伝記 (なだいなだ)

明治の自由民権運動の思想家の人の伝記。社会の教科書に出てくるような名前の人ではあるが、名前じゃなくて事績に注目して欲しいため、匿名になっている。ただし図書館によるタグづけは無慈悲だった。隠したいわけではなくて、邪魔になるから書かないことにした、という話なので、ネタバレと言うほどのことではないか。

文章は子供向けだが読み応えはある。濃い人生を送ってたんだなあ。

なかなかに興味深いものがあった。当時の空気みたいなのが感じられる。一筋縄では行かない、日本の民主主義の成り立ち。歴史の裏側みたいなね。表の歴史はなんとなく学習してきたんだけど、こういう人物の歴史の方が面白いもので。史記の列伝みたいな。

あたらしい無職 (丹野未雪)

フリーの編集者の日記。非正規雇用の末に転職、人生初の正社員となるも1年で辞めてまたフリーに。ツテも多くて仕事もやってて、普通にフリーの編集者まるだし! って感じで、あんまり無職って感じでもないんだけど。日記形式で淡々と必要最低限の言葉を無駄なく連ねている。まあ後半はバイトとか借金とかしたりして、生々しい話では、あるよね。

「無職って感じ」って何かと言われるとまあ…よく分からなくなっていくわけですね。この本を読んで、さらによく分からなくなっていく。この人のこの状態は果たして、無職なのか? 本の中の描写では「求職中」すなわち「無職」みたいな扱いをされた場面があったりした。「無職」は求職すらしてない、ニート寄りの意味が強まる印象がある言葉。

マジック・キングダムで落ちぶれて (コリィ・ドクトロウ)

不老不死の世の中におけるホーンテッドマンションの話…どうなんだこれは。技術によって人間が変わるところと、変わらないところがあるんだという感じなんだろうけど、不老不死でそれ気にする? とも思うし、気にする人もいるんだろう、とも思う。

自分はあっさり描かれた前妻のパーソナリティの方がスッキリと納得行くものに思えたなー。やっぱ不老不死ってのはああいう、超越感がないとね! と。

都々逸っていいなあ (小野圭之介)

俳句/川柳(575)や短歌(57577)と比べてマイナーな印象のある都々逸(7775)。現代都々逸の秀作を紹介していく本。愛だの恋だのシャレだのだけではなくて、現代都々逸はいろんな要素を入れてもいいらしいね。

こういうのに行く人はどうしても老人が多くなるようで、紹介されているのは非常にこう…ジジくさいものが多いんだけど、中にはいいものもあった。自分も作ってみようかな。

最近家族麻雀をやってるので、、、

リーチかけられツモられまして 待ちを見てみりゃドラ単騎

ノバク・ジョコビッチ伝 (クリス・バウワース)

ジョコビッチの伝記。まだトップ選手…それもトップオブトップな選手なので、伝記には早い気もしたが。

5歳の頃からプロフェッショナルで、空爆の下で命をつないで練習を重ねたピザ屋の息子にして小麦粉アレルギー保持者。食事を改善するまでキャリアの序盤では棄権や故障が多かったらしい。そういうあれこれを考えると、先日のオーストラリア入国におけるトラブルはまあ、しょうがなかったんだろうなと思える。科学的にも論理的にも、考えさせられるところのある事件だったと感じた。