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山椒の実

Category: Books

容疑者xの献身 (東野圭吾)

容疑者が健診? それで、どんな生活習慣病が見つかったの?? 再検査の結果は???

という話ではない。物理学者探偵シリーズの長編。これまでとは打って変わってオカルト要素なし、本物のサスペンス劇場。

数学者と物理学者。怪獣同士の、とんでもない決戦。好敵手とのミラーゲームみたいな? 一歩、若かりし頃の偶然の選択を間違えば湯川と石神の立場は逆だったかもしれず、そこに悲しさがある。

しっかし、オカルトないのかー。残念だなあ。まー、長編をオカルトのみで押し通すのは無理だと思うけどね。

予知夢 (東野圭吾)

物理学者のシリーズの2作目。オカルトに科学で対応する、短編集。仮面ライダーゴーストの不可思議現象研究所みたいな感じ?? ではないが。

割と好きだよ、こういうの。まあ物理よりも心理寄りになってしまっているのが玉に瑕? とも言えるが。でも、最初の森崎レミの話はちょっと無理があるんじゃなかろうか。いかに無理でも、ありそうと思わせるだけの筆力は、あったと思うが。続く4編はとても良かった。

オーバーロードの街 (神林長平)

著者らしさを前面に出してくる話だった。今回の小道具はパワーローダー。それを使った、世界的親子喧嘩。

主人公、早死にするんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、なかなかしぶとかった。すごすぎる名前のせいで、フルネーム呼びが続いた。面白がってるのか? 挙げ句の景太とは。

しかし、これってどこで世界が変わったんだろう。最初からか? 自分にとっては、いつの間にか変わっていた。

世界で一番すばらしい俺 (工藤吉生)

短歌集。割と話題になっていた(宣伝?)ので買ってしまった。まあじっくり読んだほうがいいんだろうけど、サラサラっと読んでいき。

自分としては仙スタを描いたと思われる「スタジアムを漏れる光の…」と、続く「傘を振り落ちないしずくと…」の2首が良かった。むろん表題作も良いのだが。あと「キスをする距離のふたりが…」の歌も良かったな。

でもこれ、長文本人解説みたいなの、ないんすかね。あとがきだけ? なんか長文早口で語りたそうな歌が多いんだけどな〜

探偵ガリレオ (東野圭吾)

物理学探偵ミステリ。映像化もされていて、割と有名らしい。短編集ですね。提示される自然な謎を自然に解いていく。推理小説ってのはこう、現実感のない設定じゃなくてさ、こういうのがいいんだよ。と思ってしまった。ほどよい。

登場人物もそれぞれ深さ広さがあって、魅力的ですね。結構長いシリーズのようで、今後も長く楽しめそうな気がするよ。

猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数 (北川猛邦)

孤島ミステリで針の穴を通すような凝ったトリック。無理のある設定。めちゃくちゃな名前。どうなんだこのベタな…

という印象もあるが、文章の軽重もちょうど良く、探偵の特性もあって、割と楽しめた。映像化したら面白そう? だけど。まあもうちょっと違う読書路線にしようかなと思ってたところだからなー。

嘘をもうひとつだけ (東野圭吾)

加賀恭一郎シリーズの短編集。練馬署の。以前に何冊か読んだことがあるなー。バレリーナのやつとか。この本にも冒頭の短編はバレエ関係で。当時の登場人物が出てくるかと思ったが出てこなかった。おそらく加賀が確認をとったという有識者があの人なんじゃないか、程度な感じかな。

「嘘」というテーマのある短編集ということで、かなり秀逸だった。変に不自然な舞台設定で凝るよりも、こういうのがいいんだよな。

蜜柑花子の栄光 (市川哲也)

3部作のラスト。

なんかフラフラしたミステリだったなーというのが印象。主人公に人物性がないというか…無理矢理つけたしたけど、そのまま行っていいんだっけ、みたいな感じで。

ちょっと自分の好みとは趣向が違うかな、という気がした。4件目は、犯人にとってはとんでもなくアンフェアで、可哀想すぎた。最後は少しだけ救いを残す結末になったのは良かったが。全体のプロットとしては、小さな謎と大きな謎、という構図はシリーズを通して変わらなかったね。

透明人間は密室に潜む (阿津川辰海)

少し捻ったミステリの短編集。SFチックな設定が多いのが特徴かなー。いきなり透明人間になる病気と来るわけだからね。SF的設定ってトリックの仕掛けに使うには、悪くないものですけど「あーこの本はそう来るのね、了解」みたいな受け止め方をしてしまう。

でも私としては、途中の、オタクのやつが良かったな。なんつーか、優劣ではなくて、その辺は単に好みでしかないが。