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山椒の実

Category: Books

私たちはどこから来て、どこへ行くのか (森達也)

現代日本でトップクラスにやばい奴の本。そういえばおれはAとA2は見たしA3も読んだんだよなー。下山事件のやつも。けっこうファンなんじゃん…あとプロレスのヒールの本もこの人のやつを読んだ気がするな(あるいは違う人の本だったかも?)。良い著者に特有の、醒めた狂気を感じさせてくれる。そういう雰囲気をまとう人物たちがいて、その中で森と名のつく3大人物が森勇介と森達也、あと一人は?(元首相とか?)

そんなことはどうでもいい。この本だよ。生命とは。人類とは。謎だらけの糸をたぐり寄せようとしてさまよう。一線級の研究者にインタビューを続けていく。

火星の虹 (ロバート・L・フォワード)

ハードSF。火星と地球を舞台にした、対照的な双子の兄弟の話。都合の良すぎる設定もあったが、なかなか良かった。30年前にこれが書かれているとは、すごいな。

ちょっとキャラクターが一方的に過ぎないかな、というのはあったが、ハードなSFとしてはかなり出来が良かった。しかし、この本が書かれた頃も私はSFは少し嗜んでいたはずで…若い頃に読みたかったな。

この部屋から東京タワーは永遠に見えない (麻布競馬場)

あの本ですね。Twitterのタワマン文学系というか、東京と慶應のすごい人ね。(←っていう紹介が合ってるかどうかはアレだけど)

熱心な読者でもないので、どれが書き下ろしかはよくわからない。前提知識がなくても楽しめるけど、紙の本にすると不自然さはあるかもね。段落の長さとか。

最後の方の東京の土地を毒舌で語り続けるところで唐突に自分の家の近所の話が出てきて笑ってしまった。慶應なら東急線で川崎市が出てきてもいいだろうと思ったんだけど、そこでオチに使うかな。俺たちのホームタウン、新丸子を。川向こうだと思ってバカにしやがってw

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 (日経コンピュータ)

当時たいへん話題になっていた、MINORIの本。魔境ですね。ハラハラドキドキ、ワクワクが止まりませんね。

みずほに送られてた人っていうエンジニアも見たことがありますけどね。規模を考えると、この業界でみずほのアレと関わったことがある人を一度も見ない、ってのが逆に珍しいのかもね。まあ、思い出したくないっていう雰囲気は感じましたが。みずほ帰りの男は自分からそうとは言わないもので。

なぜそこまで難易度の高い仕事になってしまうのか。コンウェイの法則を顧みるまでもなく、組織の編成がおかしいんじゃないか? という推測は当然出てくるわけだが…そしてその問題点が改善されたという記述はこの本にはなかった。

大日本帝国の銀河 (林譲治)

第2次世界大戦の直前に宇宙人がやってきたら? というSF。あの「星系出雲」を書いた人だから、凝った設定、手探りの理解、本格的な考察が続く。これも全5巻と長いが、飽きずに読める。

しかし5巻は急転直下だったな。宇宙という設定上、時間軸はバグっているが。

ただこれ、登場人物がちょっと覚えるのが難しいよね。シンプルに数と役割が多いのと、久しぶりの登場が多いので。

スルガ銀行 かぼちゃの馬車事件 440億円の借金帳消しを勝ち取った男たち (木下英治)

最近の話だけど、なかなかすごい話だったよ。

「悪の平行四辺形」…すごいなこの言葉を考えたやつは。四角形でも台形でも菱形でもなく、平行四辺形というセンスが良い。「不動産屋はたいがい悪人」つまり「悪そうなやつはだいたい不動産屋」?

この本は弁護士側のライターが書いたようだけど、主人公となるリーダーの人も自ら本を書いてるみたいですね。そっちを読めばよかったかな。

不動産投資は会社とかによく電話がかかってきてたやつの一味ですよね。都内のワンルームの話が多かったかな。私の頃は日本プロパティとかニッテイ(日経と聴き間違える)とかが多かった記憶が。私は不動産投資には興味がなかったなあ。自宅のためのローンなら組んだが。

看守の流儀 (城山真一)

刑務所を舞台にした推理小説。

刑務官の階級が分かりにくい。「ナントカ部長」はそれほど上じゃないの? 「部長」は結構上の役職だよなこの描写は…みたいな。難しいな。

この本自体は張り巡らされた大小の謎と伏線、その効果がズバッと決まっていくのが気持ち良いというか、すごくいい出来だった。続編があるらしいので、いずれ必ず読む。

狭小住宅 (新庄耕)

城南エリアの中小ブラック不動産屋に勤める若者の話。この物語がリアリティを持っているという事実こそが恐ろしい。この救いのなさは何だ。まさに現代の闇…

私もそれなりに人生経験を経て、優秀っぽい不動産屋に接したことはあるんだよねー。そしてあっさり「殺された」りもした。私は、基本的には一発勝負みたいに思っている。ぐだぐだ考えずに、序盤(というかほぼ「しょっぱな」)にいいと思ったものに決める。どうしても予算以上になりがちな価格については…どうにかなると信じる。自分の稼ぎで。

象は忘れない (柳広司)

2011年の震災と原発事故に関する短編集。なかなかシビれるものがあった。分断と孤立…なんつーか、あの時はいろんなものがぶっ壊れた。その時代の空気が、こういう小説の形で残されるんだなと思った。

同時期に読んだクリスティの同名の推理小説は全く関係なかった。まあ同じ諺を元にしたタイトルなんだろうけど。