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山椒の実

Category: Books

中の人などいない (NHK_PR1号)

元々は吉田戦車のかわうそのあいつだけど、着ぐるみ界の共通言語として使われるようになって久しいこの言葉。関係ないけど私は吉田戦車を輩出した小学校の隣の小学校に通っていたことがあります。名門! 久しぶりに懐かしくgoogle mapで周辺の様子を見たりしてました。4kmくらいあったと思っていた通学路も、マップで測定したら2.4kmでした。小学生には遠いけどね。いやー懐かしいな。この一面の田んぼ。遠くに見える山並み。

動乱星系 (アン・レッキー)

ラドチ世界の別物語。前三部作の後くらいの時系列で、かなり遠方という設定で起きた出来事について。この世界ってどこも血族のつながりを大事にするという設定なんだな。

殺人事件は起きるけど、推理小説成分は少なかったな。まあ、ブレクの物語とはだいぶ離れていて、設定だけそのまま使った別の物語だ。これはこういうものだと思えば、十分楽しめる内容ではある。

共通する登場人物の一人や二人、出て来てもいいと思ったんだけどなー。前作で旅の人みたいな扱いの人物がいなかったから、無理か。

残念な職場 (河合薫)

クソコンサルがダメな客をこき下ろすだけの趣味の悪い本だと思って、そういう趣味の悪さも実は嫌いじゃないんだよな、と思って借りたんだけど、意外と悪くない内容だったのでは。

まあでもフワフワしてる感じはしたなあ。あんまり内容が頭に入ってこなかった。SOC(Sense of Coherence)ってのが最近のメンタル系の流行り? なんですかねえ。

昨日と同じ今日がある。今日と同じ明日がある。

それじゃ向上心がないじゃないか! 毎日成長しろよ!! という考えがダメなのか。安心を感じないといかんのか。

叛逆航路/亡霊星域/星群艦隊 (アン・レッキー)

三部作。設定が生きる独特な描写。秩序から混沌へ。人称もそうだし、複数の視点がスムーズにつながっていく。最初のうちは読んでいてかなり混乱したけど、慣れてくると癖になる?

かなり広範囲にまたがり、文化的にも多種多様な人間という設定だけども、細かい仕草や礼節の扱い方、声色の違いで感情を伝えたり推測することができるという点は自然ではないんだよな。自然ではないんだけど、自然に感じるように文章が構成されている。そのへんも上手いんだろうな。

脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか (紺野大地・池谷裕二)

脳とAI。1+1は2ではなく、200。つまり10倍だな。

通信方法もいろいろあるみたいだし、ブレイクスルーはいくつか必要だとしても、これは確実にあるな。脳AIの未来が。かなりやばい。こういう分野もあるんだなぁ。

しかし必要なブレイクスルーが多すぎなんじゃないか、という気がしなくもない。自分の生きているうちに間に合うんだろうか。AIだけで突っ走ってシンギュラリティを突き抜けてしまい、人間の脳なんて必要ないよーん、というオチがすぐに思いついてしまう。

巨神計画/巨神覚醒/巨神降臨 (シルヴァン・ヌーヴェル)

いいSF。逆関節ロボ。ロマンの塊のような存在。その逆関節の問題を物理で解決するやつがいるとは思わなかったな。構造上は、つま先立ちの長さ調節で解決できると思うんだけどな。人類の適応能力は凄まじい。SFだけど。

衝撃の展開が続き、続編への期待を持たせる部ごとのラスト、適切な分量の3部作。

インタビュー記録という構成も凝っていて、謎も作り込まれている感じ。退場すべきでない人が思いがけず退場していき、しかし物語は動いていく。一気に読めて、良い週末を過ごせた。

普通の若者がなぜテロリストになったのか (カーラ・パワー)

なかなか、示唆に富んだ本だった。主観強めだが、読み取れることは多い。急進化って言うんですね。分断が悪い。奴らと俺たち。いろいろなものを分ければ分けるほど、危険が増える。悪者の多くは生粋の悪者ではないというわけか。あのジハーディ・ジョンもそうだったのだろう。

教育と希望が大事なんだろうな。若者が、自分の人生のロールモデルをどこに置くか。みたいな。

あの頃な (マンボウやしろ)

コロナ小説の頃な。短編集みたいな感じだけど、連続性も多少は…著者は主にラジオの人なのかな。まあ広く浅く、みたいな本だったな。

たとえばこれを10年後に読んだら2020年代前半の空気感が伝わるか、と思うとそんなでもないような。まあそんな感じ。文章は読みやすいけど。

しかしこの心肺停止シリーズ(?)は、どうなんだ。汎用性のあるオチ? 議論の余地がある。

美貌格差 生まれつき不平等の経済学 (ダニエル・S・ ハマーメッシュ)

何気なく書いたと思われる、「差別が社会に利益をもたらすことはない」という言葉が印象に残った。これはブサイクを差別することは許されんよなあ。

美しい人とブサイクな人に関して収入の差があるということを調べ上げて、その上でどうするのか、という本。いろんな要素を排除して、見た目の美しさの要素だけで結構な収入の差が出ているらしい。それで、障碍者を守る制度があるように、いずれブサイクも保護の対象になるのでは、と。

なかなか面白い本だった。文章はやたらに長い。もっと簡潔に伝えられると思う。さっきから何度も同じこと言ってない? って。

まとまらない言葉を生きる (荒井裕樹)

障害者の運動家に詳しい文学者が言葉の刃を語る? 悪いがウチではチクチク言葉は禁止されているんだ。

誰しも基本的人権は持つべき。でも実際は金次第という面はあるね。23区内に庭付き一戸建てが基本的人権だとすると、だとするなよ、という声が聞こえそうだが、その環境はまさに金次第なんだよね。人権をどのラインに設定するか。そこの齟齬があるから対立が起きるんだと思う。世の中のラインは低すぎる。私はハイプレスハイラインを志向する。我々の社会ではそれが許されるはず。