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山椒の実

Category: Biography

開業から3年以内に8割が潰れるラーメン屋を失敗を重ねながら10年も続けてきたプロレスラーが伝える「してはいけない」逆説ビジネス学 (川田利明)

タイトルなげーな。伝説のプロレスラー川田利明が郊外のラーメン屋を10年続けて、俺たち後輩にその経験を語る。

うーん、まあ、俺はラーメン屋やる気なかったけど、今後も思わないようにしとこう。文章はすごく面白かった。庶民向けの飲食業って、全般的に茨の道ですよね。単価が安すぎて割に合わないんだろう。コロナがない頃でも厳しかった。コロナで持ち帰り専門の業態にしたら逆に楽になったとか、あるのかな。ラーメンみたいな食品だと持ち帰りも対応しづらいだろうけど。

ホームレス中学生 (田村裕)

以前にかなり話題になっていた芸人本。家族解散後の少年の成長を記述する自伝。テンポも良くて、楽しめた。苦労した人は多い業界だと思うけど、その中でもかなりのレベル。いい奴だったんだろうね。助けを受けて生き続けた先に、ブレイクした後のことは読者の知識と想像に任せて…周囲の人への感謝がほとばしる。芸人本の中ではいい本の部類に入るんじゃないかな。純粋に文学としての評価は別になるだろう。

いい話にまとめようとしすぎてねーか? とか、もっとねっとりじっくり書けたんじゃないのか? とかあるけど、タレント本としてはダイレクトな言葉の流れがあってちょうどいいのかも。専業作家が書いてたら、凄い気持ち悪いことになってたかもしれない。飾らずに、事実を曲げずに書いてるんだろうと想像できる。

南雄太 型やぶりなゴールキーパー (野上伸悟)

あの南雄太のキャリア序盤までの軌跡をたどった書。子供向けですね。桁外れな身体能力、並外れた強心臓。どうしても我々はキャリア中盤のあの事件を知っているから、それを意識して読まざるをえないっていうね。田代まさしがもう薬やらないって本を書いたのを、そのあとまた捕まった事実を知りつつ読むのと似ている? ただ好GKだったのは間違いないよねえ。

「かたやぶり」というと最近ではドリュウズかな。ポケモンの。あと私は最近iriっていう女性シンガーの曲を盛んに聞いてるんだけど、この人がよく「かたやぶり」という単語を歌詞に使う。まあ、単なる余談ですが。

わいたこら。 人生を超ポジティブに生きる僕の方法 (新庄剛志)

新庄の自伝。なかなか振れ幅の大きい人生を送っている。ポジティブに書いている…というか口述している。ちょっと無理してんじゃないの、とハラハラする気分にもなりながら読み進めた。

計算し尽くされた野球人生の終わりに、信頼していた人に騙されて20億円を失ったが、それをも楽しむというね。私はあの清原本を読んだ後にこの本を読んだんだけれども、考えてしまうのは「どうしてこうなった清原…」になってしまう。幼少期の境遇はそう変わらんぞ。薬物の有無の問題なのか? 甲子園の有無の問題なのか?? ドラフト1位と5位の差なのか??? 阪神と西武の違い????

清原和博 告白 (清原 和博)

清原のアレね。

ページをめくるたびに気が滅入るのだが、読まずにはいられない。あの清原へのインタビューを長期に渡って重ねた、そういう本。ただ遠くにボールを打ちたかっただけの少年が、どうしてこうなった。

アンサー本を先に読んだのだけども、そこでは対戦相手を太陽のように照らした清原の現在地。今は傷つき弱って、そこからこれまでの人生を振り返る。それは当然のことながら美しいだけの人生ではなく、歪まされ、暗さが支配する洞窟の中にいるかのような。英雄のその後、みたいなね。

知られざる皇室外交 (西川 恵)

天皇が皇太子時代から含めて外国に赴いたり、あるいは客人をもてなしたりする。その中でどのように振る舞ってきたのか、ということを記した本。

まあこれ、すごい話ではあるよね。一人(皇后もだから二人か)の人間にそれをさせて、その上で成り立つものがある。常人にはとても真似できない。

あと、自分も節目節目で短歌でも作ろうって気になるよね。これからスポーツ観戦の感想とか本の感想を書くたびに短歌作るようにしようかな。

心ある人の心を知らぬまま これまで僕は生きてきた

「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか (丹 道夫)

誰もが知る「富士そば」の創業者が半生と経営哲学と演歌を語る。

今の会社の最寄駅にも2軒ほどありまして、カツ丼が特に旨いので時たま食べに行っております。もう少し歩くと安いカツ丼屋さんがあったりもするし、新潟系のソースカツ丼と「へぎそば」を食える店があったりもしますが、それでも安くて、勝るとも劣らない出来の富士そばは偉大だと感じている。入りやすいしね。カツ丼オススメですが、今度天ぷらも食うかな、という気になった。

組長の妻、はじめます。女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録 (廣末 登)

関西の女ギャングの半生をつづった本。まあテンポも良くて読みやすい本だったと思うよ。なんというか…GTAな人生って言えばいいのかな。

組長の妻、を前面に押し出したタイトルは内容とは乖離がある。これは組長の妻の話などではない。確かに最終的には旦那が組長になったんだけど、一人の女ギャングの話。悪事としては覚醒剤と車泥棒がメインで、多くの手下を使って手広くやっていたような記述。社会にとっては迷惑な話ではあるが、それなりに、一定の役割があったんではないだろうか。

私がベアリングス銀行をつぶした (ニック・リーソン)

デリバティブ取引に莫大な額を突っ込んだ不死身のギャンブラー、あの伝説のニック・リーソンがその一部始終を書いた本。たった一人で200年以上続いた名門銀行を潰す! この人はシンガポールから日経平均に突っ込んだという変わり種? 途中からは市場規模に対してポジションが大きくなりすぎて破綻。大和銀行でやっぱり同じようなことに陥った人もいましたね。

しかしこの銀行には無責任の塊のような奴らが集まっていたんですねー。この人自身も相当なものだ。なんせ、願望だけで莫大な資金を賭け続けるんだから。しかも酔っ払いながらね。そこはもうちょっと勉強しようよ。最初は部下の失敗を誤魔化してあげていたという事情らしいが。

三流 (長嶋一茂)

言わずと知れた長嶋茂雄、その人の息子である一茂へのインタビューを本にしたもの。こういうのの著者を一茂の名前にしてしまうのはちょっとどうかと思うよ。まあスポーツ選手の本は多くがそうなんだけどね。

で、一茂だ。親があの人で、恵まれた体格と筋力。イージーモード設定の人生なんだけど、彼は親父を目指してしまった。本人がいみじくも言うように、父親のようになりたい、という平凡な夢はまるで太陽に挑むようなものだったワケで、これは流石にハードモードでしょう。どんな神がかった素質があったところで、長嶋茂雄を超えられるなんてことは…