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山椒の実

Category: Aozora

雨月物語 (上田秋成)

江戸時代の文才のある侍が、昔の怪談話を集めて物語にしたもの。怪談というか、本格的な物の怪の話か。いわゆる短編集に当たるものだが、それぞれ、なかなか読ませる話。

今回読んだのは青空文庫にある現代語版ですが、興味深い業な話が多かった。時代とテーマの必然で、僧侶や神官がかなり活躍する。

フランケンシュタイン (メアリー・シェリー)

これ青空文庫にあるんすね。それもそうか。派生物も多く、その後の人類に多大な影響を与えたホラーSF長編。

物語のスジはもともとは知らなかったのだが、そしてSF超入門を読んであらすじを知ったのだが、なかなかの良さがあった。鳥山明が同じ物語を書けばそれは人造人間とドクター・ゲロになったんだろうし、仮面ライダーとかもその系譜かな。

創造主と創造物。それぞれの苦悩、というテーマは十分に深いから、その大きな流れを伝える一作、という評価になるんだろうねえ。後世の作品はそれなりに縒れるけど、このフランケンシュタインと怪物はどうか。

普通に出来が良くて、現代人が読んでも充分に楽しめる内容だった。読んで良かった。身勝手な天才にふりまさわれた犠牲者と、犠牲者の犠牲者を思うと、悲しくてしょうがなかった。つまりこれ、主人公だけが群を抜いてクソ。

パンドラの匣 (太宰治)

病棟の文通物語。結核で隔離かー。元は新聞小説だったのかな。長い在宅が明けて通勤生活が始まったから、電車でこういうものも読んでいる。

いろいろすったもんだがありつつ、まとめた感じ。分量もちょうどいいし、普通に悪くないのではと。終盤の高速展開は小説っぽい。まあ、小説そのものなんだけどね。人の心の動き。

文通相手の友人が聖人でしたな。

美しい日本の歴史 (吉川英治)

歴史漫談みたいなエッセイ集。著者自体がすでに歴史の中にある。なかなか楽しく読めたな。

しかし吉川英治の作品が無限に無料で読めちゃう時代。なかなかすげーよな。三国志あたり、行きたいところよ。ただあんまり長いのは時間の溶け方がやばすぎるかもなあ。まあ適度な分量のやつから行こうかな。

孤島の鬼 (江戸川乱歩)

子供の頃に読んでかなり強烈な印象を受けた怪奇的な小説。青空文庫であったので改めて読んでみた。

子供に読ませていい内容じゃないな。印象に残るのも頷けるくらいには、面白かったけどさ。まー当時、子供向けに少し改変があったのかも。

あとどうでもいいけど、先祖から受け継いだような、結婚前からの資産は共有財産にはならないんじゃないかな。戦前の制度は知らないが。まー妾腹の子の扱いは違ったんだろうな。

もし現代の話だったなら、どう書くだろうか。障碍者の描きかたからして、無理だけど。

上田秋成の晩年 (岡本かの子)

関西の文人の晩年を綴った文章。青空文庫で読める。彼は雨月物語が代表作ですね。妙にリアルな記述で、妙に引き寄せられるのは著者の力量か。

なんでこの作品を読もうとしたのか。たまたま読んだ新聞の記事に出てたので、雨月物語を読もうと思ったんですね。だけど青空文庫になかったので、検索で引っかかったこれを。かなり毛色の違った読書体験になりました。そもそも怪談話じゃないじゃん。怪談読もうとして、まさか頑固老人の晩年の日常を読まされるとは。

花も刀も (山本周五郎)

幸薄い剣士の話。

こういうのを書かせるとうまいんだな、という典型的な。割と好きだった分野。青空文庫で公開されていたのでiPadで読んだ。こういう休日も悪くないね。

これは天保水滸伝という古典(講談?)がベースになっているらしい。検索したら、この主人公は天保水滸伝で人気を得ていろんな小説や映画などに出てくるような、割と有名な人物だったのね。そういう教養があれば、さらに楽しめたんだろうなー。そりゃアナザーストーリーものを読むのに本ストーリーを知ってた方が面白いはず。

上杉謙信 (吉川英治)

青空文庫シリーズ。吉川英治がラインナップに加わり、俄然強力になった青空文庫ね。三国志に行く前にいくつか読んどこうと思っている。

この本を読んでまず驚くのは読めない/意味の分からない熟語があることだ。最近だとこういう経験は少ない。日本語なら難しそうな熟語でもなんとなく意味が分かるものだが…「各二の字点」? 「かくにの…」? どーゆー意味なの?? ただしこれはビューワの問題だった。「二の字点」は「々」の旧字か何かかな。Unicodeにありそうだけど…「〻」これか?? 読み終わったあとまで分からなくて、乱されてしまった。各々(おのおの)と読むべきだったのだ。まさかね。

神楽坂 (矢田津世子)

神楽坂のケチな金貸し。奥さんの死に関連するあれこれを描いた小説。青空文庫で読めます。

彼の人生の意味って何なんだろうね。充分なカネを稼いだのなら、引退して南の島でのんびり暮らせばいいのに。…と、自分が同じ立場になることはなさそうなので適当なことを言いだしてますが、特に感動があるわけでもなく、大きな驚きがあるわけでもない物語が淡々と続くこの感じね。好きな人は好きなんだろうな。この小説を読んで、時刻表のトリックくらいは使っても良かったんじゃないかなんて思ってしまう自分の人生は一体なんなんだ??

少年探偵団 (江戸川乱歩)

またも青空文庫で少年向け古典小説。

しかしまあ、子供向けとはわかっていてもグイグイ引き込まれるストーリーテリング、そのテクニック。凄い。今でも色褪せない。永遠とはこういうことを言うための表現なのかもしれないね。

まあ言葉狩りが進んで最近だと許されない表現もチラホラ。それも含めての古典、だよねー。まさかまさかで最後の爆発オチも今後に期待を持たせてくれて熱く、良い。やっぱ江戸川乱歩は凄かったんだな。