カラスっているじゃないですか。私ともなると幼少期の記憶がかなり曖昧で、存在する記憶はスパースで断片的なものなんですが、鮮明に覚えていることが1つあって、それがカラスにまつわる物語なんです。まあ、存在しない記憶かもしれないけれども。そのあたりの判断はこれを読んでいる君たちに任せる。
たぶん幼稚園時代だと思うんですけど、カラスの歌を教えてもらってきて。「カーラースー、なぜ哭くの〜、カラスの勝手でしょー!」ってやつですね。そう教えてもらったのでそう歌う日々を送っていた人がいるとしましょう。幼少期の私なんですが。
そこに現れた自分より小さい近所の子がですね、一緒に遊んでいたんだと思いますけど、突然にして「カーラースー、なぜなくのー、カラスはやーまーにー、かーわいーいー、なーなーつーの、子がいるかーらーよー」とフルコーラスを決めやがったんです。何の前触れもなく。何その歌。戦慄しましたよマジで。周りの大人は「まあなんてお利口な子なんでしょう」みたいな扱いをするし、幼心に恐怖でした。天才児出現か!? あふれるクリエイティブが作曲したのか、それとも豊富な知識で殴りに来たのか。はたまた。震えたね。ホントにね。モノが違う。