国税の課税処分は適法 自社株購入権訴訟(yahoo.co.jp)。なんだか国税がおかしいと思っていたけど裁判所も。
米国の親会社から与えられたストックオプション(自社株購入権)で得た利益を、一時所得より税額の高い給与所得とみなして課税したのは違法だとして、日本法人の元会長ら4人が国税当局に課税処分取り消しを求めた訴訟の判決で、横浜地裁の川勝隆之裁判長は21日、4人の請求を棄却した。
ストックオプションが給与のように使われているのはわかるけど、給与であって給与でないというところに制度の妙があった。
ただ、法律上の根拠はない
という言い分も正しいのではないかと思う。この種の法律は知らないけど、確定した段階で出た利益への課税として給与の扱いにする根拠がわからない。権利が与えられた段階での時価を給与として課税するほうがまだマシだが、そのように しても筋が通っていないように思う。
ストックオプションは会計上も給与として扱う方向に向かっているけど、それは確定した段階での利益を給与と見做すわけではなくて権利を与えた段階での時価を給与と見做すということのように考えていた。違うのかな。
やはり国税がさしたる根拠もなくイイトコドリしてやがるぜコノヤロウ、という感想しか出てこない。
しょうがないなぁ…「ストックオプション税」の創設を! とか言ってもむなしいだけか(笑)。
(追記) 2004-01-21 11:58
読売新聞(yahoo.co.jp)の記事のほうが詳しく、わかりやすい。
ストックオプション制度は、1997年の商法改正で国内でも全面的に導入された。国税当局は解禁を機に、日本企業の場合、ストックオプション行使で得た利益は、98年分から「給与所得」と見ることを原則として税制を整備。導入以前の「一時所得」を容認していた時期までさかのぼって税務署が申告漏れを指摘したため、納税者の反発を招いた。
ということだった。なるほど。
(追記) 2004-01-21 15:03
朝日(asahi.com)にも出てたよ。
ストックオプションをめぐって国税当局は当初、労務の対価ではない一時所得としていたが、99年ごろから給与所得とするとし、さかのぼって課税した。昨年末時点で計93件の訴訟が全国で係争中。これまでの12件の判決は東京地裁で言い渡され、「利益は株価変動の偶然の要素があるので労務の対価ではなく、一時所得だ」などと判断していた。
(追記) 2004-01-21 21:47
上記の読売朝日には正しく書かれていないように思える。本日の日経夕刊にはけっこうちゃんと書いてあるような感じはするけどWWW上では記事が見つからない。
国税側が悪い。と私は思う。
(追記) 2004-01-31 10:37
東京地裁でも(yahoo.co.jp)給与所得という判決が出た。2例目。
(追記) 2004-02-19 25:33
東京高裁でも(yahoo.co.jp)給与。さかのぼって(後出しジャンケン方式で)追徴課税まで、というのは残酷すぎるよねぇ。
今回の判決、がっかりした。やはり、裁判所(司法)と国税(行政)はぐるになっているんじゃないかと思えるほどの結果だ。だいたい個々によって、オプションの行使のやり方も金額も違うのだから、一概に給与所得だ、一時所得だと決めかねるようなところはある。だが、ストックオプションが給与だとなれば、転職する際にキャリアを評価する目安のひとつだったり、銀行に融資を受ける際の評価にもなる給料というひとつの指数が偶然による要素を多大にうけるものであり、信用がおけぬものであるといわんばかりではないだろうか。忘れてはならないのは、ただの平社員でさえ、時期がよければ億万長者になれたのが、ストックオプションという制度だったということだ。社会通念上、給与所得額というものは、その人のキャリアや能力を評価するものないのか。
コメントありがとうございます。
控訴するということですし、この論争はまだ続くのでしょう。はやく納得のいく結論が出てほしいものです。ストックオプション制度は悪い方向に作用したこともありましたが、功績も大きく、これを活用できる社会になってほしいと思ってます。—–