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山椒の実

探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛を込めて (東川篤哉)

南武線ミステリ。そんなジャンルがあるんだ。設定はなかなか現実離れしているが。あの辺は豪邸ないよそんなに。中原や小杉の方が多い。

まーでも以前は中原の方が豪邸率は高かったけど、中原も代替わりで土地を分割して小さい分譲住宅に分けて売っちゃったり集合住宅にするケースが増えて、豪邸少なくなっちゃったよね最近は。だから小杉や中原も豪邸率に関しては溝ノ口や新城とどっこいどっこいになったかもしれないな。

それはそうと、内容は割と楽しかった。殺人事件は起きるけど、気楽に読めていいだろう。しかし、ノクチ違いのトリックはありえないよな…他もそうかw いろいろとありえないネタが。それも含めて楽しめたよ。

変わったタイプ (トム・ハンクス)

トム・ハンクスが著者じゃなければ手に取らなかっただろうし、トム・ハンクスが著者じゃなければ読んだとしても「読んだ」くらいの感想しか書けなかったかもしれない。

とにかく、短編小説集だ。出来は悪くない。特別ではないが、凡庸でもないな。こういうのが困るんだよな。トム・ハンクスなら、もっと下手でも許されるのに。必要以上に著名な人物で、無駄に上手いというのが。なんていうんだろう、むかし米津玄師がLoserを出したときに、なにこれダンスが無駄に上手い…みたいな感じ。君はそこまで上手い必要はないだろう。

今こそ「スポーツとは何か?」を考えてみよう! (玉木正之)

スポーツに関するコラムを集めて本にしたもの。いろんなところからかき集めてきた感じかな? 系統だっているわけではなく、内容もあんまり統一感はないかなあ。同じ話が何度も出てくるのはちょっとイラッとするよね。あちこちで同じコラム書いたのはわかるけど…編集しろ。

書評が続くところは良かったな。時代性もあって、東京オリンピックが延期になる前に本になったみたいで、そういう感じの話題も多かった。

全体的には、スポーツは文化である、というそれだけの話で、現代では常識とも言える内容。序盤は語源がどうの…とかいう話が続いたので、そういう言葉遊びから成り立ちを論じ続けるのかなと思って期待したけど、あんまりそういう感じでもなかったんだよな。

朝ごはん (川上健一)

朝が好きな女性が主人公の小説。こんな現実感がない浮世離れしたやつにどうやったら感情移入できるんだろうか。

不意に始まる早朝から人数の読めない食事会、しかも薪や炭で作るなんて地獄のようなシチュエーションで無邪気に楽しむ描写を見て、私は何を思えばいいのか…これシャケ足りるわけねーじゃん? コメは、パンはこの人数に足りるくらい持参したのか? まさに化け物級だ。しかも、そこからは怒涛の展開。殺人事件も起きるし!

つまりこれ「読んだ」くらいの感想しか書けねえ…異様な世界の異様なセリフがひたすら続いて、恐怖をも覚えた。もしかして、これが異世界転生ものってやつか? そう考えると、結構怖かったな。

歴史の本棚 (加藤陽子)

新聞の連載で近現代史に関する名著を紹介したものを本にまとめたもの。のっけから全5巻だか6巻だかの長編従軍小説を出してくるのはもう、読ませる気ないだろこの人。そんな時間は残されていないなあ。いや、もっとヒマになればあるいは?

本体の論ではなく書評で、しかも新聞連載でおそらく字数も決まっていたんだろう。1つ1つの紹介は短くまとまっていて、すっきり頭に入ってくる。そこは良かった。

まあ、軽そうなやつはいくつか読んでみるよ。読みたいリストには、何冊か追加された。はける間もなく追加され続けてきた、長大なリストに。

さかなクンの一魚一会 (さかなクン)

昨年、館山に行ったときにさかなクンの展示があったんです。無料だったので入って鑑賞させてもらいまして、なかなか楽しかった。いいモノを見せていただいたと。それでこの本を読むことにした。館山在住なんですね。いいところだ。

しかし魚屋とか寿司屋、水族館とか魚に関する職業も一通り試して向いてなかったなんて、意外だったな。魚に関してはスーパー高校生だったのに、魚のことにしか興味を持たず勉強してなかったから魚系の大学も行けなかったなんていう話も。

宇宙に花火を。 (松井尚斗)

YouTuberの、YouTuberによる、YouTuberのための小説。まーそれだけなんだけど、なんで見たこともないYouTuberの本をオレは読んでいるのか…視聴者でない一般人中年男性が読むに耐える内容なのか。

…と思っていたけど、読んでみると、なかなかいい小説を書くじゃないですか。すごい。普通に引き込まれて眠れずに一気に読んでしまった。思った以上に心が動かされた。こういう本を読むのは気分がいい。

それにしても、GWなのに、読み急いだなー。ペース配分をちょっと反省するくらいに読んでしまった。残り時間は何を読めばよいのやら。

思考のトラップ (デイヴィッド・マクレイニー)

31,32,33のカタルシス、誤情報効果、同調あたりが印象的だった。

フラストレーションは無理に発散させないほうが消えやすい。そうだったのねー。台パンして何かが収まるわけではない。無意識に嘘の記憶を作ったり、権威に良心が負けたりする。

…というように、心理学上のいろいろな意外な挙動を説明していくのだが、似たような話も多くて、けっこう重複してるんじゃないかと思った。48は分類にしては多かった。しかし、自分の心ほど信用できないものもないね。

司政官 全短編 (眉村卓)

短編集ですよ。時系列で並んでいる感じで、作中世界の変遷が感じられる。楽しくも、物悲しい。それぞれの話の長さが、ちょうどいいように思った。

最初の方の話が良かったな。後半はだんだんキツくなってくので。

無理を押し通して、それを続けることはできないんだよねぇ。

消滅の光輪 (眉村卓)

司政官シリーズの長編。少ないイベント、長い独白、限られた人々との会話。

このシリーズ初めて読みましたが、面白さはありました。設定も魅力がある。ただ、思考をたどる文体がどうも気にかかるという面があるかな。短編の方が楽しめるんじゃないかと思う。