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山椒の実

空飛ぶタイヤ (池井戸潤)

三菱自動車のあの事件をベースにした小説。実際はだいぶフィクションが入ってますが、迫力もあるし、財閥系の描写はいかにもそれっぽい。「沈まぬ太陽」ほどではないかな。まあでもさすがに池井戸潤。何者か実は知らないですが、奥さんに聞いたら「半沢直樹」の原作者だそうです。なるほどそう来たか…。

物語としては、理想的な人格者の運送会社の社長が単身財閥に挑み、打ち倒す、という話。家庭の問題とかも解決しつつ。

ただ、悪役にあまり華がないよなー。もうちょっと悩みながら悪を為してもよかったんじゃないかなー、とは思った。悪役にも感情移入したいじゃないですか。でも、分かりやすすぎるんで。

Skylight – A Window on Shingled Disk Operation (Abutalib Aghayev and Peter Desnoyers, Northeastern University)

これはShingled Diskの話。だいたいShingled Diskのすべてのことが書いてあるように見える。Best Paper受賞作。まあFASTのBest Paperという評価はアテにならないことがほとんどだが…

Shingled Diskは書き込みに制限をかけることで、ディスクの書き込み幅を狭くできるという目からウロコの技術。ずいぶん昔からあったはずだが、最近になってSSDの影響でファームの技術が上がってきたため、やっと実用化に至った。

日本インターネット書紀 (鈴木幸一)

日本書紀っつったら国生みとかヤマトタケル、だよねー。

この本は日本の最古参インターネット企業、IIJの創業者がつづる、日本のインターネットの歴史。まあ謎の規制との戦いですよね。

IIJが今まで生き残ってこれたのは、当時(1992年)インターネットで食っていけるなんて思ってる人は日本に他に誰もいなかったわけで、そこに着眼した時点で勝ちなわけです。企業を起こすには見通す目が必要。あとはタイミング。タイミング的にもベストに近かったはずだが、やはり規制との戦いがね。

Chronicle: Capture and Analysis of NFS Workloads at Line Rate (Ardalan Kangarlou, Sandip Shete, and John D. Strunk, NetApp, Inc.)

NetAppの論文。

ストレージの話ではなくて、NFSのキャプチャをするに当たって、性能を出すためにどう工夫したのか、という話。性能向けのプログラミング技術の参考になればと思う。一般論として、キャプチャの人はいろいろ頑張るからね。

libtaskでパイプライン処理。当然zero copy、dedup用にチェックサム計算も行う。使ったチェックサムは512Bごとに64bitのやつ。書き出しは圧縮してストレージを節約。

A Tale of Two Erasure Codes in HDFS (Mingyuan Xia, McGill University; Mohit Saxena, Mario Blaum, and David A. Pease, IBM Research Almaden)

読んだ感想を、ちょっと実況風に。

HACFS。Hadoop HDFSのErasure Codeの話。Erasure Codeってのは、知ってる人も多いと思うけど、高度なパリティみたいなもんですね。一部が壊れても復元できるようにしている。例えば身近なところだとQRコードとか、一部が読み取れなくても情報が伝わるようになってたりするでしょ? ああいう種類のコード化の名前がErasure Code。←これで説明になってる??

身の上話 (佐藤 正午)

宝くじの当選金を横領した人物の、なぜかヤケに詳しい身の上話を謎の男が語る。テレビドラマにもなったらしい。いろいろ事件が起きる。

この種の小説の常として、途中からもともと怪しかった人物はますます怪しく、全体的に雲行きが怪しくなり、起承転結、最後まで目が離せない。宝くじなんて最初からいらんかったんや!

こういう小説を読みたかった。この著者の他の作品も読んでみたいと思えた。

フロンターレあるある (いしかわごう)

俺達のフロンターレに肩入れするスポーツライター、いしかわごうがフロンターレ公認の本を出した。それがこの「フロンターレあるある」。

私はこの本を市内のとある本屋で平積みされているのを見かけ、子供を横目でマークしつつぱらぱら立ち読み。ジュニーニョが不動産屋をやってると書いてあるのを確認して、即座に購入した。それだけで購入の価値があります。他にもいろいろ楽しいネタがたくさん。

思ってたよりもずっと、いい本じゃないですか。読んで楽しい。人生が充実する。私はこの本がきっかけでバラ色の人生を送ることに…

FlashGraph: Processing Billion-Node Graphs on an Array of Commodity SSDs (Da Zheng, Disa Mhembere, Randal Burns, Joshua Vogelstein, Carey E. Priebe, and Alexander S. Szalay, Johns Hopkins University)

論文斜め読みの記事もここに乗っけてこうかな。斜め読みなんだけど、斜め読み以上のことはしないと思うので。

さて、これは先月やっていたFAST15の論文で、なんとなくタイトルに惹かれて最初に通勤電車で読んだもの。全部の論文をまとめてEPUBで配布してくれるのがありがたいですよね。まあ気になったものはもっと読んでこうと思ってはいますが、どこまで読めるかは分からない。

ひとことで言えば、グラフの処理をSSD Arrayをうまく使ってやった話。全体的には、さすがにFASTだけあってよく書けていると思った。文章も読みやすいと思う。

東大教授 (沖 大幹)

東大教授とはどのような職業であるのか、ということを論じた本。別に深い内容があるわけじゃない。ただ東大教授の生態を記した、それだけの著作。

とりあえず東大教授というのは悪くない職業であることは分かった。だけど、記述は退屈で、読む価値はなかったように思う。まあタイトルに偽りはない。おれは何を期待して読んだんだろう、って話でもあるんだが。

ピルグリム (テリー・ヘイズ)

図書館で借りるんじゃなくて買って読むのが正解だったな。私は図書館で借りたので、1巻を読んでからしばらくして2巻を読んで、3巻まではあまり空きはなかったんだけど、そういうわけで一気に読みたかったのに途切れ途切れになってしまったというのは後悔している。

中身は非常に面白い。この本はほぼ完璧な出来なんだけど、中盤の活劇の描写はそれほどうまくないようにも。そこ以外はまさにパーフェクトなスパイ小説。この著者は映画系の人で、小説は初めてらしい。無駄につなげちゃったな、と思うところもある。最後の武器はやっぱコレしかないよね、というのも。