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山椒の実

SF超入門 (冬木糸一)

基本読書の人が書いた、SFを使って現代や将来を見ていく本。書評だけど、テーマが良くて面白かった。文章も読みやすく、次々に興味をかきたててくれる。すでに現代は総SF時代。現実になったものも多いし、これから現実になるものも多い。横浜駅SF(全国版も)なんかももう、ほぼほぼ現実だからな。

なんて思いながら読み進めた。この分野は全く、飽きることがない。あとがきを見ると、私の読書の傾向は著者とだいぶ似てるなあ。質と量はだいぶ違うけど、傾向が。時代小説、古代中国、ミステリ、SF…私も流れはほぼ同じだ。神林長平、ハマるとヤバいっすよね。わかります。

こうして彼は屋上を燃やすことにした (カミツキレイニー)

ティーンズ向けの本をオッサンが読む。共感できる可能性はいかに? あのオズがベースになっているということで、読んだわけだが。

まあ本家でMoM級の活躍を見せたカカシは派手さはないものの、要所を締めて物語を進めた。今作のMoMはライオンだね。ほんとにほんとにほんとにほんとにライオンだー! ブリキは木こり要素が少なくて物足りない。最後は刃物を出して木こりとしての誇りを取り戻したのは良かった。ヘタレのオズの出番をなくしたのは著者の英断とも言える。出てきたところで、って感じだもんなアイツ。

身の回りにあるノーベル賞がよくわかる本 (かきもち)

ノーベル賞を受賞した科学技術の研究をサラッと解説して紹介する本。解説も分かりやすいし、どんな内容かの他に、どう役立ったかの説明が多い。軽く読むにはいいんじゃなかろうか。

紹介されているのは有名どころなので、全く聞いたことがない、というようなものはない。なので、あんなこともあった、こんなこともあったと回想する感じ。

暗黒星雲のかなたに (アイザック・アシモフ)

駄作と言われているらしいが、どんなものか。

まあ普通に楽しく読めたよ。昔のSFベースの推理小説としてはいい方と言えるのではないか。大作家は水準が高すぎるんじゃないのかな。絶賛すべき傑作かと問われるとちょっと推しにくいものはあるが。深みとか凄みとかは、ないからなー。

ヤバい決算書 (長谷川正人)

不祥事や社会情勢の変化など、大きなイベントが起きたとき、会社の財務諸表ではどのような影響が見られるのか、分析を加える本。財務諸表をちゃんと読めば、表に出る前にヤバい会社が分かることもある。

割と面白かったかな。キャッシュフロー計算書って重要とは言うけど、あんまり見てなかったんだよねーこれまで。今後の株式投資の参考にできるかな。まー勤めてる会社がヤバいかどうかの判定は、できるようになるのかもね。

仕事休んでうつ地獄に行ってきた (丸岡いずみ)

ハイパフォーマーの強者が鬱を患った、そして夫への惚気を交えた記録。文章の勢いがいい。ここまで勢いのいいやつでもなるんだな、鬱って。なるほど、そういうものなのか。トム・ハンクスの小説のMダッシュシリーズに出てきた女友達がそうなったようなものか。

かく言う自分も、精神的な不安定さはあるんですが、とりたてて不安定でなくても、なるもんなんですねえ。人体の不思議よ。まるで宇宙だ。

それを薬で軽減することができる、というのも割とすごい話ではあるよね。人類、どこまで行ってしまうのか? 置いてかないで〜

夜来たる (アイザック・アシモフ)

古典SFの短編集。名作と言われている。実際凄いな。今読んでも、普通に優秀なSFとして読める。これが1941年に書かれたという事実。戦前!? かろうじて江戸時代ではない…それは言い過ぎとしても、真珠湾攻撃の年だよねえ。なんとも驚異的だ。

今宵は百万年に一度おお、と歌い出すあの曲も、この古典名作がベースにあるんだねえ。

この作品は名作だけあっていろんな短編集に含まれていたり長編に書き直されたりしているようだが、私が読んだのはグーテンベルク21のやつで、クリスマスとタイムマシンの短編も含まれていた。タイムマシンのやつ(赤い女王のレース)はかなり良かった。王道叙述トリックホラー的な。

探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます/さらば南武線 (東川篤哉)

溝の口推理小説三部作の2-3作目。

キャンプや運動会を経て、ついに川崎駅にまで進出した2作目、栃木だか茨城だかの別荘まで行った3作目。活動範囲を広げてますが、これ溝の口系ですよねえ。その原点を忘れちゃいけないと思います。まー終盤はだいぶ溝の口でしたが。凶悪犯罪都市…おそろしや〜

あとは、ラストのそのあとのことなんだけどさ、この溝の口の豪邸はどうなるのかな。どうしても気になってしまう。帰ってくる気があるなら、便利屋に頼んで手入れしつつ維持するという手もあるんだけど、常識的に考えれば、何らかの処分をするのではないか。

あなたが誰かを殺した (東野圭吾)

これぞミステリ。加賀恭一郎シリーズ。いいねえ。作者もよく書けたと満足していることだろう。

登場人物は多かったけど、徐々にキャラも明確になっていって、それぞれの闇がそれぞれ明るみに出て、事件は解決する。榊刑事課長がいい味を出していた。そのラスト、関係者はそれぞれの道へ。なぜか読後感がいい。こんなに死んでるのに。特別ハッピーエンドでもないのに。

探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛を込めて (東川篤哉)

南武線ミステリ。そんなジャンルがあるんだ。設定はなかなか現実離れしているが。あの辺は豪邸ないよそんなに。中原や小杉の方が多い。

まーでも以前は中原の方が豪邸率は高かったけど、中原も代替わりで土地を分割して小さい分譲住宅に分けて売っちゃったり集合住宅にするケースが増えて、豪邸少なくなっちゃったよね最近は。だから小杉や中原も豪邸率に関しては溝ノ口や新城とどっこいどっこいになったかもしれないな。

それはそうと、内容は割と楽しかった。殺人事件は起きるけど、気楽に読めていいだろう。しかし、ノクチ違いのトリックはありえないよな…他もそうかw いろいろとありえないネタが。それも含めて楽しめたよ。