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山椒の実

ルポ 中高年引きこもり 親亡き後の現実 (NHKスペシャル取材班)

いわゆる8050問題。50代の引きこもりの面倒を80代の親が見ているという、ある種の地獄を観察する。一種の共依存みたいなもんなのかなぁ。そして親もしくは子…そのいずれかが死ぬ。どうなるのか。能天気でもあり、しかし壮絶な話が続いた。

思ったのは、「人に迷惑をかけたくない」という意識は危険だなと。人は単独で生きていく種族ではなく、迷惑をかける/迷惑をかけられる範囲がその人物にとっての「世界の広さ」でもある。引きこもって家族にしか迷惑をかけていないなら、その人物にとっての世界は家族しかなくて、それ以外の社会との縁がなくなってしまうっていう仕組みと捉えることができるんじゃないかな。誰しも迷惑くらいかけるよ。私がこの文章を書いているのも、読まされる方にとっては迷惑の一種ではあるだろう。

楽園とは探偵の不在なり (斜線堂有紀)

特殊な舞台設定で探偵が舞う。舞台設定はある種のグロテスクなもので、天使と称される不気味な存在が飛び回り、2人以上殺した人物を地獄の業火で焼き殺すというもの。そこで揺れ動く人々の心理と、起きるはずのない連続殺人事件。探偵が解決に走る。

なかなか良かった。ハードボイルド風に寄ることもありつつ、そこに青臭い正義感も絡んでいく。

ちいさい言語学者の冒険 (広瀬友紀)

言語の学習において、子どもや外国人みたいに未習得の人の反応を見て言語の特性に気づくという話。特異な部分があり、知識がない状態だと過度に一般化して理解してしまうので、そのギャップが露わになる。微調整済みなのが大人ということになる。

自分の子供も狭いコミュニティの中で言葉を違う意味で使うようになるとか、そういう経験があった。「強気」と「弱気」とか。というわけで私も子育ての記憶をたどりながら読んだわけだが、なかなか面白い話だった。

GOEMON

いやー面白かった。中世歴史改変SF? というジャンルでいいのかな?? その辺はよくわからないけども、アクションもいいし。ちょっと安っぽいと感じる風景もあったが、十分にかっこいい。

問題があるとしたら、「人が死にすぎ」という点かなー。登場人物もほぼ全員死亡、モブも大量死…挙句、最後にあんなこと言うのかよと。

音楽が聴けなくなる日 (永田夏来・かがりはるき・宮台真司)

電気グルーヴの薬物逮捕→自粛に関連する、「そんな社会でいいのかい?」な話。今やデフォルト側が「自粛する」方になっていて、深く考えない限り自粛、という感じになっている。そんな社会に違和感を覚える。3人の著者がそれぞれ持ち味を出して論じた本。

もう30年以上? 前に読んだ問答集? エッセイ? みたいなものの中で、確か筒井康隆だったと思うが、著者の人となりがどうの…みたいな話を振られた際に「人に興味はない。作品に興味がある」みたいな返しをしていた。ぶっきらぼうな感じがカッコ良かった。それを読んで以来、私はずっとそう考えるのが正しいと思ってきた。だからクリエイターが犯罪者だから自粛、という風潮には抗いたいと思っている。薬物犯は患者or被害者という側面もあって、なおさらそう思う。思うけど、それができているのか? この本を読みながらの自問自答が続いた。

女流闘牌伝 aki

二階堂亜樹の自伝? 的な映画。悪いおじさんも出てくる。元は漫画か何かなのかな? 本人もチョイ役のセリフありで出てましたね。最近はMリーグ見てるので、ちょうど二階堂姉妹の映画ということで、見てみたわけだ。

どうしても、競技のある映画だとこうなっちゃうんだよな、という感じだった。説明せずには流せないので。連続ドラマとかだったらもうちょっと…無理か。

私が雀荘に出入りしていたのは20年以上前の、学生時代です。まあ同級生とセットで入って遊んでいただけですが、当時はしばらく打ってるとタバコ臭くなってねえ。セットの4人は誰も吸わなくても、周りがどうしても煙いので。それで、吸わない人がタバコ臭くなって出てくるので、家に帰ったり大学戻ったりすると、麻雀やってたのがバレるっていうね。この映画でも雀荘ではみんなタバコ吸ってる描写。今は禁煙になってる店が多いのかな?

七つの棺 (折原一)

ライトなパロディ推理小説。密室殺人事件にフォーカス。だいたい無理があるのに、押し通しているこの感じ。

それぞれトリックと裏があって悪くないけど、元ネタを知らないので…知ってればもっと楽しめたかもしれないな、と思ってしまう。

こういう短編集のいいところは、寝る前に1編ずつ読んでくと1週間持つというところかなー。長編一気読みとかだと疲れちゃうケースに、ちょうどいい感じね。内容も文章も重厚じゃないので、軽い気持ちで読み始めて読み終われる…疲れないで済む。

スーサイド・スクワッド

悪人・狂人キャラの超人が悪い超人と戦う話。

なんというか、、、びっくり人間大集合、お前らなんでもいいから戦え、ってだけの映画だった。もうちょっと練られたストーリーってものが、あってもいいんじゃないかなー。これなら日本の戦隊モノの映画でも見てた方が楽しめたんじゃないか…

というわけで、つまらなかった。ならわざわざ感想書くなよって話? そうとも言える。

紅蓮館の殺人 (阿津川辰海)

不自然な設定、張り巡らされた謎、名探偵、そして一筋縄では行かない謎めいた登場人物たち、最後のどんでん返し。これだよね。絵に描いたような現代日本の推理小説。楽しかったです。

まあ、それ以上語ることはあんまり、ないかなー。推理小説においては感想をネタバレなしで書くのが難しいわけよ。