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山椒の実

真夏の方程式 (東野圭吾)

物理学者シリーズの長編。まるで孤島ミステリかよ…それでも、物理学者シリーズらしさをしっかり出せているのはさすがだなあ。

ただ、これまでの人物像と比べると、「らしからなさ」があって、意外性を重視したのか? 度重なる事件への取り組みを経て、丸くなったという…それで納得できるのかどうか。

聖女の救済 (東野圭吾)

物理学者シリーズの長編。このシリーズ、良いよね。

今回のトリックはかなり無茶ではあるが、説得力を持たせるには長編にするくらいの文章量が必要だったのかなあ。長編なのに、息をつかせぬ展開。何を疑い、何を信じるのか。楽しめた。しかし弁護士は何なんだ。顧問弁護士だと思ったら共同経営者だった、しかも…という。

(追記)

これ自分には通用しないトリックだよなあと思った。私はああするし、こうされる人生は歩めないし…思わずその辺のことを考えてしまった。それを「そんなアホなことする奴がいるはずがない」みたいに片付けられてしまうとねえ。

カップルズ (佐藤正午)

小説の達人による、噂がテーマの短編集。いやー外さないね。国宝級だ。

とにかく、いい読書体験だった。小説読むならこういうのを読みたいものだよね。空気までもが描かれている感じがする。不思議な現実感というか。まー虚構なんだろうけどさ。そのこと自体が信じ難い。

妻はサバイバー (永田豊隆)

新聞記者が、妻の精神障害に関して奮闘した記録。すげえ話。ウルトラハードモード? よくやったなあ。壮絶で、ホントよく仕事続けられたよなーと思った。休職もしているみたいだが。中学まで空手をやっていただけあって、その基礎メンタルもフィジカルも強く、能力は高い。その男が巻き込まれた形で適応障害になりながらも、妻をどうにか救おうとする。

とりあえず凄すぎて自分の理解をあっさり超えてしまった。こういう人生を送る人もいるんだな。しかも、出世街道を進む、日本の新聞記者が。救いの見えない道を歩き、黒より暗いその道の中に救いを見出していく。

ガリレオの苦悩 (東野圭吾)

また短編集に戻った。まあ実際は中編くらいの長さだけど、このくらいが安定すると思いました。こないだの長編は妙に趣向が変わりすぎて。

志向としては不可思議現象と人間心理戦の間の、ちょうどいいところを模索する感じ? この中では第4章の「指標す」が良かったかな。ダウジングのやつね。結末もキレイ。いろんな方面で、ちょっと可哀想なところはあったものの。

私たちは生きているのか? (森博嗣)

とりあえず「顳顬」が読めなかった。読めます? 通信装置の一種だそうですが。

ウォーカロンという人造人間のような存在がいて、日本の研究者が飛び回り、人間は生殖機能を失い、永遠の生を生きる…という舞台設定で村を訪れた研究者御一行。そこで出会った偽黄門様の出現に視聴者もビックリ。その印籠、タイポってますよ?(途中から嘘ですスミマセン)

やってしまったよ。多才多作の著者による、複数のシリーズに渡る長大な世界があって、そのうちの終盤のシリーズの、第5作目をいきなり読んでしまった。なんという迂闊。まあ嫌いじゃない内容ではあるので、これ最初から読もうか、どうなのか…最初ってどの最初? シリーズの最初か、インターシリーズの最初の最初?

飛騨高山からくり人形殺人事件 (和久峻三)

赤かぶ検事シリーズ。懐かしいなあ。中学生の頃にいくつか読んだ記憶がある。

今読むと、アクションシーンもないのに、ちょっと人が死にすぎるよね。トリックも無理があるのでは? と思った。さすがにねえ、柳の枝のトリックは、やりすぎだろうよと。

この作品自体は、時間関係が分かりづらい。辻褄合ってんのかなこれ。ちょっと不安になる。

小道具が古い(携帯電話がない)のはそれほど気にならなかった。オレも昭和の人間だからね。

キリングフィールド 極限戦線

2008年の南オセチア紛争を描いた映画。なかなかすごい話ではある。

Wikipediaを見ても事情がよく分からんのだけど、割と入り組んだ関係だということだけは分かった。死んだ兵士の携帯に残っていたという映像も使ってたりして、ある程度政治的な意図を持った映像作品、ということなんだろうけど。

それにしても主人公の一人である、あの太った村人はなんで死んだんだろう…

おっぱいマンション改修争議 (原田ひ香)

某カプセルタワーみたいなイメージのマンションがあって、その建て替え計画に関する小説。面白かったなー。

特にというなら、女優の話が凄かったな。この、非現実的な現実感というか。しかも意外にもかなり重要な役だった。結末もなかなか淡々と、すごい後味に。小説ってのはこうではなくては。まあ、素直なハッピーエンドでも、素直なバッドエンドでもいいんだけど、余韻という意味では秀逸な展開になった。

ただタイトルで損してる感はあるね。タイトルに堂々と「おっぱい」ってついてたら、人前では読めないよね。文庫にした時に改題したらしいが、正解だろう。

ジェイソン・ボーン

これで完結編なのかな。ボーンが出てきてアクションしていった。相変わらずの空気感。小道具も順調に進化している。

雑踏徒歩アクションにカーチェイス。追う側というのも珍しかったが、SWATの車両が強すぎでは? と思った。

新たに父親の話も出てきて、まあそれはストーリー上はぼんやりした回想シーンでなおかつ即死なのだけど、そういう新しい要素も入れつつ。あのしぶとかった不死身のニッキーも冒頭であっさり退場とは…主要人物が死にすぎな傾向も相変わらずだった。