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山椒の実

ガリレオの苦悩 (東野圭吾)

また短編集に戻った。まあ実際は中編くらいの長さだけど、このくらいが安定すると思いました。こないだの長編は妙に趣向が変わりすぎて。

志向としては不可思議現象と人間心理戦の間の、ちょうどいいところを模索する感じ? この中では第4章の「指標す」が良かったかな。ダウジングのやつね。結末もキレイ。いろんな方面で、ちょっと可哀想なところはあったものの。

私たちは生きているのか? (森博嗣)

とりあえず「顳顬」が読めなかった。読めます? 通信装置の一種だそうですが。

ウォーカロンという人造人間のような存在がいて、日本の研究者が飛び回り、人間は生殖機能を失い、永遠の生を生きる…という舞台設定で村を訪れた研究者御一行。そこで出会った偽黄門様の出現に視聴者もビックリ。その印籠、タイポってますよ?(途中から嘘ですスミマセン)

やってしまったよ。多才多作の著者による、複数のシリーズに渡る長大な世界があって、そのうちの終盤のシリーズの、第5作目をいきなり読んでしまった。なんという迂闊。まあ嫌いじゃない内容ではあるので、これ最初から読もうか、どうなのか…最初ってどの最初? シリーズの最初か、インターシリーズの最初の最初?

飛騨高山からくり人形殺人事件 (和久峻三)

赤かぶ検事シリーズ。懐かしいなあ。中学生の頃にいくつか読んだ記憶がある。

今読むと、アクションシーンもないのに、ちょっと人が死にすぎるよね。トリックも無理があるのでは? と思った。さすがにねえ、柳の枝のトリックは、やりすぎだろうよと。

この作品自体は、時間関係が分かりづらい。辻褄合ってんのかなこれ。ちょっと不安になる。

小道具が古い(携帯電話がない)のはそれほど気にならなかった。オレも昭和の人間だからね。

キリングフィールド 極限戦線

2008年の南オセチア紛争を描いた映画。なかなかすごい話ではある。

Wikipediaを見ても事情がよく分からんのだけど、割と入り組んだ関係だということだけは分かった。死んだ兵士の携帯に残っていたという映像も使ってたりして、ある程度政治的な意図を持った映像作品、ということなんだろうけど。

それにしても主人公の一人である、あの太った村人はなんで死んだんだろう…

おっぱいマンション改修争議 (原田ひ香)

某カプセルタワーみたいなイメージのマンションがあって、その建て替え計画に関する小説。面白かったなー。

特にというなら、女優の話が凄かったな。この、非現実的な現実感というか。しかも意外にもかなり重要な役だった。結末もなかなか淡々と、すごい後味に。小説ってのはこうではなくては。まあ、素直なハッピーエンドでも、素直なバッドエンドでもいいんだけど、余韻という意味では秀逸な展開になった。

ただタイトルで損してる感はあるね。タイトルに堂々と「おっぱい」ってついてたら、人前では読めないよね。文庫にした時に改題したらしいが、正解だろう。

ジェイソン・ボーン

これで完結編なのかな。ボーンが出てきてアクションしていった。相変わらずの空気感。小道具も順調に進化している。

雑踏徒歩アクションにカーチェイス。追う側というのも珍しかったが、SWATの車両が強すぎでは? と思った。

新たに父親の話も出てきて、まあそれはストーリー上はぼんやりした回想シーンでなおかつ即死なのだけど、そういう新しい要素も入れつつ。あのしぶとかった不死身のニッキーも冒頭であっさり退場とは…主要人物が死にすぎな傾向も相変わらずだった。

容疑者xの献身 (東野圭吾)

容疑者が健診? それで、どんな生活習慣病が見つかったの?? 再検査の結果は???

という話ではない。物理学者探偵シリーズの長編。これまでとは打って変わってオカルト要素なし、本物のサスペンス劇場。

数学者と物理学者。怪獣同士の、とんでもない決戦。好敵手とのミラーゲームみたいな? 一歩、若かりし頃の偶然の選択を間違えば湯川と石神の立場は逆だったかもしれず、そこに悲しさがある。

しっかし、オカルトないのかー。残念だなあ。まー、長編をオカルトのみで押し通すのは無理だと思うけどね。

予知夢 (東野圭吾)

物理学者のシリーズの2作目。オカルトに科学で対応する、短編集。仮面ライダーゴーストの不可思議現象研究所みたいな感じ?? ではないが。

割と好きだよ、こういうの。まあ物理よりも心理寄りになってしまっているのが玉に瑕? とも言えるが。でも、最初の森崎レミの話はちょっと無理があるんじゃなかろうか。いかに無理でも、ありそうと思わせるだけの筆力は、あったと思うが。続く4編はとても良かった。

オーバーロードの街 (神林長平)

著者らしさを前面に出してくる話だった。今回の小道具はパワーローダー。それを使った、世界的親子喧嘩。

主人公、早死にするんじゃないかとヒヤヒヤしたけど、なかなかしぶとかった。すごすぎる名前のせいで、フルネーム呼びが続いた。面白がってるのか? 挙げ句の景太とは。

しかし、これってどこで世界が変わったんだろう。最初からか? 自分にとっては、いつの間にか変わっていた。

世界で一番すばらしい俺 (工藤吉生)

短歌集。割と話題になっていた(宣伝?)ので買ってしまった。まあじっくり読んだほうがいいんだろうけど、サラサラっと読んでいき。

自分としては仙スタを描いたと思われる「スタジアムを漏れる光の…」と、続く「傘を振り落ちないしずくと…」の2首が良かった。むろん表題作も良いのだが。あと「キスをする距離のふたりが…」の歌も良かったな。

でもこれ、長文本人解説みたいなの、ないんすかね。あとがきだけ? なんか長文早口で語りたそうな歌が多いんだけどな〜