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山椒の実

ビーグル号航海記 (チャールズ・ダーウィン)

自然科学者の冒険記。まあ、あのダーウィンだ。誰もが知っている。今から約200年前の話。地図を見ながら読むといいと思う。フエゴ島とか、マゼラン海峡とか、知っているようで全然知らなかったからな。

自然物に対する観察は当然あるし、奴隷制に関する記述もあり、人や国や制度に関する観察もしていたことがわかる。この全てに、後の大研究につながる発見や考察が多くあるんだな。何度か体調を崩しながらの旅になった。大地震と津波も経験している。そこでも、観察と考察。学識の高さを感じさせるが、これ当時20とかそこそこの若者だったらしい。すごい。傑物だ。

世界失敗製品図鑑 (荒木博行)

多くの金と労力をかけて失敗していった製品たちを振り返って小賢しく分析を加えた本。懐かしいものもあり、実際に私が買った製品もある。あったなあ、と。そうすると、一概に失敗したとも言い切れないんじゃないか。

私は今までクソ製品も買ってきたけど、そういうマイナーな、スケールの小さいクソ製品はこの本には出てこない。でかい話を選んで、大企業のやつばかり。しかも反省をもとに後継機が大成功していたりするし、悲壮感はない。

ネット右翼になった父 (鈴木大介)

今まで私が読んだ中でも、脳梗塞の話振り込め詐欺グループの話など、自分の経験や社会問題についてノンフィクションの良い本を残しているライターが、父を看取った話。タイトル通りだ。彼の父は、晩年にネット右翼になってしまったのだ。本当にそうか? 私も当時読んだが、週刊誌に寄稿した文章はかなり話題になっていた。

しかしですね、読み終わって思うに、タイトル詐欺? 「ネット右翼になっていなかった父」じゃないですか。あるいは、「息子にネット右翼ってことにされたまま死んだ父」? そのほうが売れたんじゃないのかな。一見ネトウヨのようでいて、実はそうじゃないケース。「誰が父をネット右翼にしたのか?」でもいいか。タイトルしか読まない読者もいるんだよ、と逆ギレしたくもなるよ。実態と、ほとんど真逆ではないか。

大規模言語モデルは新たな知能か ChatGPTが変えた世界 (岡野原大輔)

PFNの人によるLLMの解説。あのすごいやつは実際どうなってんの、というね。

わかりやすくて良かったですよ。分かったところで何ができるかっていうと、アレなんだけれども。

PFNみたいな会社の人だとどういう感情を持つんだろうな。主役級の頭の良さを持つ集団だと思われているけど、LLMの最近のビッグウェーブから見ると、割と蚊帳の外? みたいな感じになっている。やられた感を持っているんだろうか。その辺の感情はこの本の文章からは、見られなかったな。そういう本ではないのかもしれないね。実際この本の文章の中でPFNが登場することはなくて、著者プロフィールまで待たされるんだ。

三流シェフ (三國清三)

エース級…というかエースそのものの、フランス料理の料理人の自伝。偶然と必然に導かれてその道を歩む。増毛出身か。留萌本線の終着駅だが、最近縮まってもう電車通ってないらしい。そこの貧しい漁師の子だった。なかにし礼と同郷(世代は少しズレている)という奇妙な?縁。ニシンが来なくなって廃れた町か。

米屋の住み込み配達を振り出しに、持ち前の性格と技術で頂点を目指して修行を重ね、たどり着いた料理の真髄が語られる。面白かった。破天荒というわけでもなく、無知からの必死からの…

わたしの日本語修行 (ドナルド・キーン/河路由佳)

言わずとしれたキーン氏に当時の日本語学習について尋ねて、そのインタビューを本にしたもの。海軍の日本語学校があって、それがでかかった。それ以前にもいろいろな言語を学習していたらしいが、当時日本語は教える人も乏しく教材も少なかったらしい。中国に関する研究が日本で進んでいたから、中国の研究のために日本語の論文を読む、という需要はあったらしく、そのための教材みたいなのくらいしかなかったらしい。その中でまともだった教科書が長沼さんのやつだったとか。その当時の教科書を見ながらあーだこーだ。

はつ恋 (イワン・ツルゲーネフ)

謎めいた女への初恋を述懐したもの。イキイキしてんなー。しかしこれはティーンエイジャーの目で見た光景を記述したものであって、実際はここまでのものではなかったんじゃなかろうか。本人は本気で大きなものであっても、、、というのはよくある話で。

まあ最後まで覚えきれなかったけど、無意味と思われる登場人物がいて人数がかさ増しされているし、見え見えの伏線もありつつ、まあ楽しい記述ではあったことだ。

おれも普通に詩を朗読するようになっとかないとなー。こういうのは普段からの心がけが大事なんだよ。

こんな人いるよねぇ〜 本を読んでつぶやいた (つぶやきシロー)

著名な芸人さんによる書評? キャラクター通りの独白スタイルで、本自体はテーマを取ってくるだけで、ネタバレ的な書き方は控えめ。まあ、読み物としてはいいんじゃないかな。ただ、書いてる側が感じているほど楽しくはない。自虐ネタだったり、どうしても自分語りになるんだよ。本が主体にないというか。

関心の範囲が私とあまり重ならないこともあって、読んでみたい本はあんまり見つからない。逆に安心感? がある。

まあ、読んだことのある本ない本ありましたが、最後までそんな感じ。一冊くらいは紹介されていた本を読むかもしれない。ギリギリのところ。

世界一流エンジニアの思考法 (牛尾剛)

マイクロソフトのAzureのチームにいるエンジニアが、同僚のすごい奴らの仕事の進め方を語った本。ナデラの本を思い出しながら読むことに。マインドセットマインドセットうるさいんじゃー

この人のところでは2週間スプリントか。私のとこだと1週間ですね。2週間でやってた頃もあったけど、1週間に慣れると2wは考えづらくなる。1wを5dと決めた奴が凄いな。正確に言えば7dで2d休か。

最後の方は人生訓みたいな話になったが、まあそうだよね、というレベルの話が多かった。自分の職場を考えると、そんなに悪くないんだよな。前のところはかなり当てはまったが。あそこは今はどうなってるんだろうな。職場を移って10年くらい経つけど、あんまり変わってないんじゃないかな。

雨月物語 (上田秋成)

江戸時代の文才のある侍が、昔の怪談話を集めて物語にしたもの。怪談というか、本格的な物の怪の話か。いわゆる短編集に当たるものだが、それぞれ、なかなか読ませる話。

今回読んだのは青空文庫にある現代語版ですが、興味深い業な話が多かった。時代とテーマの必然で、僧侶や神官がかなり活躍する。