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山椒の実

私は英雄じゃない ジェシカのイラク戦争 (リック・ブラッグ)

イラク戦争で捕虜になり救出されたジェシカ・リンチの話。いろんな思惑もあって虚実がないまぜになっていた。そこで、このような本を出して事実を整理する。

実際に捕虜になった経緯があり、謎があって、事実がある。正直あんまり深い話ではない。ただデタラメは正さないといけない、という思いがあるんだろうなー。連絡ミスによって、補給部隊が敵の拠点に突入してしまう。部隊の悲劇が始まる。一部は戦死、一部は退却成功、一部は捕虜になる。ジェシカ・リンチは重傷を負って捕虜に。医師は捕虜をどうにか生かして、返そうとする。米軍はその救急車に発砲して追い払う…その後、救出作戦が実行される。

紙魚家崩壊 九つの謎 (北村薫)

ちょっとひねって不気味な風味をつけている推理小説の短編集。

何らかの後味が残る感じではなかったし、全体的には、まあまあかな。中ではおにぎりのやつと「俺の席」の2つが良かったか。良かったってほどでもないか。

表題だけど、家で崩壊となるとアッシャー家とか芦屋家だろうと思ってしまう。で、紙魚なんて苗字あるのかな、と思って検索したけど…以下略

自分はバカかもしれないと思った時に読む本 (竹内薫)

うーん、読んだはいいけど、何とコメントすればいいのか…

学問的な裏付けは皆無で、老人が若ぶって軽いトーンで印象論と精神論で押し切る、みたいな文章がひたすら続くという…これ読まされんのは苦痛よな。しかもテーマがバカにならないにはどうしたらいいか、みたいな。小賢しいというか、くだらなさすぎる。しかしこれをよく本にしようと思ったよな。まあタイトル見た時に悪い予感はあったんだよ? 図書館で予約してしまった自分の判断が責められるべき。

なぜ、わが子を棄てるのか 「赤ちゃんポスト」10年の真実 (NHK取材班)

熊本の「こうのとりのゆりかご」(いわゆる赤ちゃんポスト)に関する取材を重ねた本。NHKらしく読みやすく書かれている。

全国に広まるかと思っていたけど、なかなかどうして最初の1ヶ所にとどまっている。需要はあると思うんだけどな。私としては子供の権利というものを考えてしまう。親となる側が深く悩んだり、無茶して育てて不幸を再生産したり、といったことなくそれぞれの子供が健やかに育てば、それでいいんじゃないのかと。親と一緒にいるってのはそこまで重要な要件じゃないんじゃないか。

結局、ウナギは食べていいのか問題 (海部健三)

表題に関わることについて、Q&A形式で記述していく。食用ウナギの扱いについては多くの未解決問題があり、解決はまだまだ先であろう、ということが分かった。

著者は結論を書いていないが、私はおそらく食べないだろう。安全で適法なウナギを食べたいが、それを選ぶ手段がないらしい。高級店でもチェーン牛丼屋の鰻でも、ルールに従って生産されたかどうかという点では変わらないみたい。

これでは食べる選択ができない。

空飛ぶ馬 (北村薫)

北村薫のデビュー作…らしい。若い頃に名前はよく見ていたが、読んだことなかったな。最近オムニバスのものを読んで、いい出来だったので他の作品も見てみよう…となったわけだ。

優れた小説家に特有の描写力がすごい。のどかで、リアル。適切なスピード感とのバランス。圧倒されつつ、どんどん続きを読みたくなっていく。昭和末期〜平成初期の風景。まあこういうのが苦手な人もいるんだろうなー。

終末のフール (伊坂幸太郎)

滅亡間際の仙台のとあるマンションの住民が、どう生きるか? という物語。ジャンルで言えばSFだよね。シンプルに面白かった。過酷な世界ではあるが、のどかな面もあるという。仙台の丘という土地の感じもいかにもありそうで。

共感できない人物も出てくるけど、あーこれはいてもおかしくないよな、と妙な納得感もある。

ポストコロナのSF (日本SF作家クラブ編)

COVID-19の存在を前提にしたSF短編集。現代以降の数十年まで、短編という制約がありながら、名品が集まっている。

全体的なできの良し悪しはあったが、中では柴田勝家の「オンライン福男」が良かったな。世界設定もオチも良くできていて、さすがの実力を感じさせてくれる。

1日1話で読む6つの深き謎

かなりバラエティに富んだミステリ選。選んだ時代が幅広いからかな。ちょっと無理がありすぎるやつもあるし、現代的観点から言うと問題が発生するようなものもあった。句読点の関係で文章が読みにくいやつも。元の短編は古いものも選ばれているものの、この本自体は最近出た本。ただ全体的には現代の人が読むレベルにはないものを選んじゃってるんじゃないかなあ。

この中では俳句のやつが飛び抜けてよかったな。これが事件ですらないけれども、なんとも綺麗な謎、そして綺麗な謎解き。こういうのがいいんだよな。

テロリストのパラソル (藤原伊織)

割と傑作寄り? 良い出来のハードボイルド長編。このくらい文章が上手い人がしっかり書いてくれると、締まるね。かなり引き込まれて一気に読んでしまった。これなら今季のマイベストを狙える。

まー気になる点といえば、ちょっと偶然が過ぎる面があるのと、主要登場人物が全員頭がキレすぎるところくらいかな。あーでも凡人もいるのか。