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山椒の実

約束してくれないか、父さん (ジョー・バイデン)

現在の米国大統領が、苦難を受けた経験と出馬を断念した(ヒラリーが民主党の候補になって、本戦でトランプに負けた)経緯を記した本。かなり良く書けている。まあ自分の実績自慢もあり、家族自慢もある普通の政治家の本という面もあるわけだが、悲劇の人だから山場はすごいことになっている。

それで、序盤から、えー、こいつが死ぬのかよ、と思って気が重かったが、最後まで読んだ。

エルトン・ジョンのくだりと、ウェイ・タン・リューのあたりはとりわけヤバかったな。泣ける。あとは、オバマ(大統領)の熱さ。なかなかできない。

街への鍵 (ルース・レンデル)

最初の公園のやたらにねちっこい描写を読んでってゲンナリしそうになり、多様な登場人物を覚えるのに苦労しつつ、群像劇のような形で物語が進む。だんだん視点となる主要人物が分かってストーリーが動き出すと、楽しく読めていく。

なかなかこういうのもいいですね。ただ序盤で心が折れて読めなくなる恐れはある。恐れたものの、前の悲劇がなかなか良かったので、私は信頼して読み進めた。

ともかく、殺人犯が捕まってよかったな。死体の発見状況はそれぞれ巧妙なトリックかと思ったけど、最終系としては筋肉トリック(?)か。力づくか。

お天気ハンター、異常気象を追う (森さやか)

アルゼンチン生まれにより外交官になれずに気象予報士になった人物…というだけでお腹いっぱいだけど、かなりの才人が異常気象を解説する本。

博識のご隠居様が書いたかのような文章が並ぶ。次から次へと。なかなか凄かった。豊富な知識量を感じさせる、流れるようなエピソードフロー。基本的な数字も豊富で、内容もわかりやすい。

こりゃー人類は滅ぶね。だいたい、人類は傲慢なんだよ。謙虚に行こうぜ。

ロウフィールド館の惨劇 (ルース・レンデル)

洋物小説。モダンホラーに近いのかな、これは。結論から始まって、狂気が場を支配していく。ゾクゾクするね。なかなか最高だったよ。気づいたら読み終わっていた明け方。翌日仕事ある中年がやることじゃなかったな。

あんだけの闇を抱えた人間と設定しても、とんでもない狂人と組まなければ成し遂げられない蛮行だったか…という感想を持った。シンプルに、暴走した狂人に反応しただけじゃん、と。反応の仕方が怖かったわけだけれど、比較で言えば、狂人の方が怖いよね。

美しい日本の歴史 (吉川英治)

歴史漫談みたいなエッセイ集。著者自体がすでに歴史の中にある。なかなか楽しく読めたな。

しかし吉川英治の作品が無限に無料で読めちゃう時代。なかなかすげーよな。三国志あたり、行きたいところよ。ただあんまり長いのは時間の溶け方がやばすぎるかもなあ。まあ適度な分量のやつから行こうかな。

孤島の鬼 (江戸川乱歩)

子供の頃に読んでかなり強烈な印象を受けた怪奇的な小説。青空文庫であったので改めて読んでみた。

子供に読ませていい内容じゃないな。印象に残るのも頷けるくらいには、面白かったけどさ。まー当時、子供向けに少し改変があったのかも。

あとどうでもいいけど、先祖から受け継いだような、結婚前からの資産は共有財産にはならないんじゃないかな。戦前の制度は知らないが。まー妾腹の子の扱いは違ったんだろうな。

もし現代の話だったなら、どう書くだろうか。障碍者の描きかたからして、無理だけど。

おっさんの掟 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」 (谷口真由美)

ラグビー協会の理事に担ぎ出され、プロリーグ創設に尽力した挙げ句に追放された著者による暴露本?

普通に面白かった。ヤバいねラグビー。私がラグビーの試合を見に行ったのは1度か2度か…とにかくその程度だが、そんな私の偏見によれば、ラグビー人というのは選民意識が高いというか、横浜市民のマリサポだけしかいないみたいな世界? という印象だ。

競技としては実力が試合結果に現れやすく、偶発性が少ないというのが一般的な評価か。それが影響しているのか、どうなのか。

法医学者の使命 「人の死を生かす」ために (吉田謙一)

以前に読んだ本だと画像診断を増やしたらどうか、という感じだった。この本は解剖してきた人の著書だけに、ひたすら解剖。

死因をちゃんと調べましょうよ、という方向は共通か。

しかし、医療事故に関するものが多いね。医療事故は基本的に免責した方が幸福な社会を築けるんじゃないのかな。そのかわり、ちゃんとポストモーテムやって原因を分析、共有して再発を防ぐ。責任追及してなくなる事故は多くない。

と、いうのが現代科学技術の常識だ。

だからしっかり死因を明らかにするべし、という方向に関しては非常に納得感がある。犯罪性を持たせるにしてもそうでないにしても、まずはそこからだよね。