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山椒の実

美貌格差 生まれつき不平等の経済学 (ダニエル・S・ ハマーメッシュ)

何気なく書いたと思われる、「差別が社会に利益をもたらすことはない」という言葉が印象に残った。これはブサイクを差別することは許されんよなあ。

美しい人とブサイクな人に関して収入の差があるということを調べ上げて、その上でどうするのか、という本。いろんな要素を排除して、見た目の美しさの要素だけで結構な収入の差が出ているらしい。それで、障碍者を守る制度があるように、いずれブサイクも保護の対象になるのでは、と。

なかなか面白い本だった。文章はやたらに長い。もっと簡潔に伝えられると思う。さっきから何度も同じこと言ってない? って。

まとまらない言葉を生きる (荒井裕樹)

障害者の運動家に詳しい文学者が言葉の刃を語る? 悪いがウチではチクチク言葉は禁止されているんだ。

誰しも基本的人権は持つべき。でも実際は金次第という面はあるね。23区内に庭付き一戸建てが基本的人権だとすると、だとするなよ、という声が聞こえそうだが、その環境はまさに金次第なんだよね。人権をどのラインに設定するか。そこの齟齬があるから対立が起きるんだと思う。世の中のラインは低すぎる。私はハイプレスハイラインを志向する。我々の社会ではそれが許されるはず。

自由研究には向かない殺人 (ホリー・ジャクソン)

女子高生探偵が颯爽と殺人事件を解決だ。と書くとふざけた内容だと思ってしまうのだけど、真面目に若者向けミステリだった。しっかり書かれていて、かなり面白かった。若い頃に読みたかったな。

色々と悲しいことが起きるのはちょっときつい部分もあるな。犬が死ぬのは受け入れられない。死ななくても物語は成立したはずだ。

パンドラの匣 (太宰治)

病棟の文通物語。結核で隔離かー。元は新聞小説だったのかな。長い在宅が明けて通勤生活が始まったから、電車でこういうものも読んでいる。

いろいろすったもんだがありつつ、まとめた感じ。分量もちょうどいいし、普通に悪くないのではと。終盤の高速展開は小説っぽい。まあ、小説そのものなんだけどね。人の心の動き。

文通相手の友人が聖人でしたな。

約束してくれないか、父さん (ジョー・バイデン)

現在の米国大統領が、苦難を受けた経験と出馬を断念した(ヒラリーが民主党の候補になって、本戦でトランプに負けた)経緯を記した本。かなり良く書けている。まあ自分の実績自慢もあり、家族自慢もある普通の政治家の本という面もあるわけだが、悲劇の人だから山場はすごいことになっている。

それで、序盤から、えー、こいつが死ぬのかよ、と思って気が重かったが、最後まで読んだ。

エルトン・ジョンのくだりと、ウェイ・タン・リューのあたりはとりわけヤバかったな。泣ける。あとは、オバマ(大統領)の熱さ。なかなかできない。

街への鍵 (ルース・レンデル)

最初の公園のやたらにねちっこい描写を読んでってゲンナリしそうになり、多様な登場人物を覚えるのに苦労しつつ、群像劇のような形で物語が進む。だんだん視点となる主要人物が分かってストーリーが動き出すと、楽しく読めていく。

なかなかこういうのもいいですね。ただ序盤で心が折れて読めなくなる恐れはある。恐れたものの、前の悲劇がなかなか良かったので、私は信頼して読み進めた。

ともかく、殺人犯が捕まってよかったな。死体の発見状況はそれぞれ巧妙なトリックかと思ったけど、最終系としては筋肉トリック(?)か。力づくか。

お天気ハンター、異常気象を追う (森さやか)

アルゼンチン生まれにより外交官になれずに気象予報士になった人物…というだけでお腹いっぱいだけど、かなりの才人が異常気象を解説する本。

博識のご隠居様が書いたかのような文章が並ぶ。次から次へと。なかなか凄かった。豊富な知識量を感じさせる、流れるようなエピソードフロー。基本的な数字も豊富で、内容もわかりやすい。

こりゃー人類は滅ぶね。だいたい、人類は傲慢なんだよ。謙虚に行こうぜ。

ロウフィールド館の惨劇 (ルース・レンデル)

洋物小説。モダンホラーに近いのかな、これは。結論から始まって、狂気が場を支配していく。ゾクゾクするね。なかなか最高だったよ。気づいたら読み終わっていた明け方。翌日仕事ある中年がやることじゃなかったな。

あんだけの闇を抱えた人間と設定しても、とんでもない狂人と組まなければ成し遂げられない蛮行だったか…という感想を持った。シンプルに、暴走した狂人に反応しただけじゃん、と。反応の仕方が怖かったわけだけれど、比較で言えば、狂人の方が怖いよね。

美しい日本の歴史 (吉川英治)

歴史漫談みたいなエッセイ集。著者自体がすでに歴史の中にある。なかなか楽しく読めたな。

しかし吉川英治の作品が無限に無料で読めちゃう時代。なかなかすげーよな。三国志あたり、行きたいところよ。ただあんまり長いのは時間の溶け方がやばすぎるかもなあ。まあ適度な分量のやつから行こうかな。