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山椒の実

法医学者の使命 「人の死を生かす」ために (吉田謙一)

以前に読んだ本だと画像診断を増やしたらどうか、という感じだった。この本は解剖してきた人の著書だけに、ひたすら解剖。

死因をちゃんと調べましょうよ、という方向は共通か。

しかし、医療事故に関するものが多いね。医療事故は基本的に免責した方が幸福な社会を築けるんじゃないのかな。そのかわり、ちゃんとポストモーテムやって原因を分析、共有して再発を防ぐ。責任追及してなくなる事故は多くない。

と、いうのが現代科学技術の常識だ。

だからしっかり死因を明らかにするべし、という方向に関しては非常に納得感がある。犯罪性を持たせるにしてもそうでないにしても、まずはそこからだよね。

ワニと龍 (青木良輔)

龍は実はワニのことだった、という歴史考察をフックにして、ワニについてとんでもない知識量を持ったワニマニアが語り続ける。絶え間なく。恐竜との関係とその考察とか、かなり深いものがある。なかなかすごい本だった。学術的な面をしっかり出しつつも、テンポも良い。

わーにの、おとうさん、わーにの、おとうさん、おっくちっをあっけってー♪

ドレスデン・ファイル 魔を呼ぶ嵐 (ジム・ブッチャー)

現代シカゴのハードボイルドで、アクションで、ファンタジー。家賃に悩まされ、警察に睨まれ、ヤクザに殴られながら謎を解く。これはいい話だなあと思って。

いきなりの魔法使いを自称してそのように振る舞う主人公だが、途中までなかなか魔法を使わない。これはラストで一発魔法を決めるだけで、その過程は普通に推理小説なんだと早合点していたんだけど、途中からバンバン魔術を決めるようになっていった。そうでしたか。

シリーズになって、続編も出ているらしいな。割と良かったけど、謎解き要素が薄れて魔法対決になってしまったのでちょっと趣向が変わったかなと思ったので、続きを読むかどうかは分からない。気が向いたら。

寄生虫館物語 (亀谷了)

目黒の寄生虫館の創始者が平易な文章で語りかける。

寄生虫館、こないだ行ったんだよね。もう1年くらい経つか。なかなかユニークでそそられる施設。実際、かなり面白かった。コロナもあってあんまり人はいなかったし、私設の博物館で研究所だから、こじんまりしていた。ただ面白さはあった。そういえば、来日したビル・ゲイツもここを訪れて楽しんだらしいというニュースも見たな。

この本はそんな寄生虫館がどうやってできたのか、寄生虫とはどんな存在なのかを示してくれる、いい本だった。読んでよかった。とりあえず今後できることは…野菜は洗うし肉は加熱して食べよう。そしてキタキツネには触らない。

相続税が払えない 父・奥村土牛の素描を燃やしたわけ (奥村勝之)

画家の家族が相続税で大変な思いをする話。評価額のある絵画のようなものを相続すると大変だな、という話。住居になる土地についてはまあまあ常識の範囲内であれば減免されるんだけど、絵画は…この本が書かれたのは1990年代だけど、今は制度的には変化があるんだろうか。

それにしても、出てくるのはとんでもない金額。実際自分の人生に当てはめてみても、この額はきつい。

やっぱ現金に限るね。減免は期待できないにしろ、処理がしやすいよ。自分もこないだ相続の処理したけど、現金が一番面倒がないって分かったよ。分けやすいしね。

「ふつうの家族」にさようなら (山口真由)

家族の法律に詳しい個人が語る。ふんふん、なるほど…と思うところも多かった。アメリカと日本の親へのなり方の違いのくだりが一番面白かったかなー。

なんか装丁から小説だと思って読み始めたんだけど、違った。むしろ小説じゃなくて良かった。

自分は家族について深く考えることもなく深層心理だけしかない状態だったかな、結婚したのは。それから適当に流されて今に至る。それができたのは「普通」の枠を外れなかったからなんだろうな。まーとにかく、この方向の問題については何も考えない人生だったな。それは認識できたよ。

その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱 (高橋久美子)

愛媛の農家から東京に出ている文筆家/音楽家が、実家の農地が太陽光パネルで埋められると聞いて奮闘する話。コロナもあってなかなか帰れないという状況もあり。「高橋さん家の次女」と言いつつ、ググってみると割と著名な人ですね。

小規模農家だけど、農地の売買の制約などもあり、難しさはある。収穫にこぎつけるまでに、猿や猪、カメムシとも戦う必要がある。農薬に関する考え方もある。使用にあたって作り手への健康被害があるとすれば、確かに見過ごせない。