Skip to main content

山椒の実

SIGNAL (山田宗樹)

不確かなまま始まる今日は…なんだと言うのか? 宇宙レベルのいつも通りの日々。三体で学んだ暗黒森林仮説が冴え渡る。これジャンルをSFを呼んでいいのかどうか…

奇人の先輩との交流からの宇宙人艦隊との音声通話が映像になって最終的には…どうなんだろうな。このくらいのラストがちょうどいいのかな。中高一貫教育の果てにしては銀河を股にかけたスケールの大きな話になるんだが、スケールが大きすぎて最後はバグってしまう感じか。距離が遠すぎて無理がある。三体を受けて語られはじめた物語としては少しティーンズ向けに寄りすぎだよなあ。

現代語訳 徒然草 (吉田兼好/訳:佐藤春夫)

鬱屈のあまり一日中スマホに向かってキチガイじみた呪詛を撒きつける。そんな人生を送るワタクシが青空文庫にあるやつを読んだ。ケンコー! いいぞ、奥ゆかしい!! ト・ゼン・ソー! ト・ゼン・ソー!!

その実態は700年前のオッサンの上から目線人生訓ブログ。と表現すると途端にクソ文章に思えるから不思議だ。書いてるのが現代人だったらマジでクソもクソ、大グソだよ。SNSだったら誰も顧みないだろう。良くてプチ炎上か。それが古代人というだけで尊ばれるのは…なんかオレたち騙されてないか? 何が書いてあるかより、誰が書いているかが重要。オレはそういう価値観では生きていないはずなのに。

男はなぜ孤独死するのか (トーマス・ジョイナー)

孤独を愛するこのオレが。死に場所を選べるとしたらやはり生者のいない、象の墓場のような場所だろうな。先人の白骨に囲まれて力尽きるやつね。

実際はどうなるか。いまだ分からぬ。ありふれた事故であっさり死すかもしれないし、悪運を駆使してボケてなお生き続けてしまうかもしれん。体育会で脳筋やってた若者時代があり、無駄に体力だけ残ってる可能性あるしな。

この本は男性の自殺について分析している。特に白人の長男が危険だが、それに限らず女性に比べて男性の自殺は多い。それも、孤独にさいなまれた自殺。なぜそうなるのか。なぜ男性なのか。

受難 (帚木蓬生)

テーマ自体は韓国の船舶事故にまつわるあれこれ、だが、素材は医療系SF。実在の事件や事象からのシームレスな虚構に移る。油断して読んでいたら、途中でさすがにこれは、となって、どこからが…と。そういう技だな。IPS細胞時代のフランケンシュタイン。そんな感じの物語。この技術があれば、余裕で不老不死達成できるじゃないか。革命的だ。頑張れ人類。

途中で気づいたけど、これ何か他の作品の続編ですよね。いきなりこれを読んでしまった。間違ったかな。執拗な食べ物シーンと女子高生乳首描写は何の意味があったんだろう。それ以外のシーンがあっさりしすぎているので対比がすごいんだ。そしてラストまで読んでも無意味だとしか思えなかった。

だから捨ててと言ったのに (講談社編)

冒頭の一文がこのタイトル縛りで、ホラーテイストが多めな、若手作家の競作集。それぞれかなり短い短編で、人数増やせばいいってもんじゃねーぞ、と言いたくなる。クローズがあっさりし過ぎなんじゃよ。余韻がムリヤリ作られてるっていうか。

中では、ぷにょぽんの話が良かったかな。頭一つ抜けていた。良かったっつっても、どうかと思うけどさ。多才すぎるぷにょぽんがすごかったからさ。歴代最強野球部キャプテン設定が活きる。推薦てことは成績も割と良かったんでしょう? 行け、ぷにょぽん。ぽんぽん王国を背負って!

棘の街 (堂場瞬一)

と街だったら街の方が規模が大きいだろうと。つまりトゲゾー甲羅だ。

家からは打って変わってハードボイルド刑事ドラマだ。誘拐事件でヘマをした刑事が、故郷の寂れた地方都市に帰ってきて捜査を続ける。地元のヤクザが暴力を振り回し、薬の売人軍団が野放図に暴れる。

救いのないクライマックス。極限まで傷つきながらもそれを受け止めてなお動じない主人公。そこまでハードボイルドしなくても…やりすぎでは? と思ってしまった。

あとは主人公を含めた主要登場人物、ほとんど全員が身勝手で、誰にも共感できない。マトモなのはひったくりのオッサンとかくらいじゃねーの? まあ他にも周辺の人物にはマトモなやつもいたか。だけど大してフィーチャーされてないから共感というレベルまで来ないんだよな。

棘の家 (中山七里)

教師の子の学校での転落。いじめを苦にした自殺未遂という構図なのだが、学校、警察、下衆なマスコミや鬼女(特定班)を巻き込んで家族を翻弄する。

不穏さを小出しにしながらの進行で、なかなかな展開だったな。最後はうまくまとめた。なんだかんだで、それぞれ立派に行動したな。元通りにはならないけど、事件が解決して良かった。

相手の家族を思う。何がそうさせたのか。悲劇しか持たない家。まあノンフィクションではなく、小説なんだけど。

私はこうしてストーカーに殺されずにすんだ (遙洋子)

現代サバイバル術。生き残った者が知識を伝える。バリツの次に学習すべきと思って読んでみた。さてどう戦おうか?

かなり壮絶な戦いを生き抜いた人物なんですね。歴戦の猛者だ。芸能人は大変だな、という月並みな感想を持ったが、今や被害に遭うのは芸能人とも限らんからな。

自分はそこまでの執着心を持ったことがないので犯人の心理が良く分からないというのが実際のところ。どうなんだろう。いろいろな例で考えてみる。私は例えば、結婚していたり子供がいたりするけど、それらを取り上げられたところで? 第三者からの理不尽な扱い(誘拐とか)なら必死に取り戻そうとなるだろうが、本人がマジで嫌がって離れていくなら、まあ。幼少の頃から興味を持ち四半世紀に渡って従事する職種があるが、うーん、これに関しては生きていくのに有利だから、今の会社辞めても似たような仕事をするんだろうけどねえ。でも無理になったら別のことをやると思うなあ。20年以上フロンターレを応援しているが、なんか不祥事を起こして出入り禁止になったりしたら、どうしようかな。巨人の二軍かブレイブサンダースでも見にいくか。PythonとGolangを多用しているけど、使用禁止されたら? うーん、どうしようかな。なんかの言語を見つけるか。vscode禁止されたら? 俺たちにはvimがある。いっそemacsに戻ってもどうにかなる。

三体3 死神永生 (劉慈欣)

人類は滅亡する? しない? どっち!?

2の主人公は超人的だったが、3の主人公のダメさ加減はどうだ。ひどすぎる。タナボタで絶大な権力をもらいながらの無力…しかもひたすら2択を外し続けるという。それでも主人公かよ。どうした人類。シンプルに選んだやつが悪い、としか言いようがない? いやいや主人公でしょ? 無力すぎると逆に擁護が湧くんだよな不思議と。でも、こいつに任せると滅亡する、と学習しなきゃ。こいつが死なせた人数、軽く毛沢東超えてんじゃん。与えてくれた親切なヒントをすべて無にして、何度太陽系を絶滅させてんのよ、って話。しかも全部成り行き任せ、他力本願だもんな。強運を持ちながら生かせない罪は重いぞ。英雄に敬意を持ってもらえた時間旅行者…権力だけは与えちゃダメ。ゼッタイ。最後は自分だけ逃げ出すという(しかも、それすら他力本願)。