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山椒の実

フィッツジェラルド短編集 (新潮文庫)

名前と「グレート・ギャツビー」の題名だけ知ってる、昔の有名な作家。

短編集だけど、中ではすごく短い、少年時代の初恋? の相手といい感じにやり取りをした挙句、人違いが分かって拒絶されるやつ(「乗継ぎのための三時間」)が良かったかな。そう来るかー。って。

他のやつはかなりゴニョゴニョ、ナヨナヨしていてイマイチだと思った。しかし、揃いも揃って、誰も幸せにならないのね。そういう作風なんだろうか。

ボマーマフィアと東京大空襲 (マルコム・グラッドウェル)

東京大空襲 戦災資料センターね。行きたいと思ったけど、交通の便が悪いんだな。さほど気軽には行けなさそうだが、いずれ行ってみよう。

この本は太平洋戦争末期に日本各地の都市に焼夷弾を落として市街地を焼き尽くすという稀に見る非道な作戦についての物語。理想を追った/現実の問題を解決した、それぞれの指揮官2人を軸にしている。ナパームの開発の話も入っている。それはそれはひどい話。

まーこのひどすぎるやつに勲章送った日本政府もたいがいだが。

優等生は探偵に向かない (ホリー・ジャクソン)

ピップの話の続き。連続性には苦心していたけど、あんまりそこはいいんじゃないかな、と思ったな。

900ポンド返すとこまでが結末だと思ったが、そこは省略された。今のレートなら日本円で16万てとこか。そんなもんか。高校生でも、このくらいのネット上のスター選手ならスポンサー案でなんとかなる範囲だろう。

そしてこの後味の悪さよね。現代社会の闇か。関わった人のほとんどが不幸になる。前作もそうだったっけ。作者、ずいぶんやらかしたな~と思ってしまったくらい。推理小説ってどうしてもそうなるけど、ハッピーエンドを志向しても、いいんじゃないかなあと思った。特にこういう青少年向けのやつはさ。

中の人などいない (NHK_PR1号)

元々は吉田戦車のかわうそのあいつだけど、着ぐるみ界の共通言語として使われるようになって久しいこの言葉。関係ないけど私は吉田戦車を輩出した小学校の隣の小学校に通っていたことがあります。名門! 久しぶりに懐かしくgoogle mapで周辺の様子を見たりしてました。4kmくらいあったと思っていた通学路も、マップで測定したら2.4kmでした。小学生には遠いけどね。いやー懐かしいな。この一面の田んぼ。遠くに見える山並み。

動乱星系 (アン・レッキー)

ラドチ世界の別物語。前三部作の後くらいの時系列で、かなり遠方という設定で起きた出来事について。この世界ってどこも血族のつながりを大事にするという設定なんだな。

殺人事件は起きるけど、推理小説成分は少なかったな。まあ、ブレクの物語とはだいぶ離れていて、設定だけそのまま使った別の物語だ。これはこういうものだと思えば、十分楽しめる内容ではある。

共通する登場人物の一人や二人、出て来てもいいと思ったんだけどなー。前作で旅の人みたいな扱いの人物がいなかったから、無理か。

残念な職場 (河合薫)

クソコンサルがダメな客をこき下ろすだけの趣味の悪い本だと思って、そういう趣味の悪さも実は嫌いじゃないんだよな、と思って借りたんだけど、意外と悪くない内容だったのでは。

まあでもフワフワしてる感じはしたなあ。あんまり内容が頭に入ってこなかった。SOC(Sense of Coherence)ってのが最近のメンタル系の流行り? なんですかねえ。

昨日と同じ今日がある。今日と同じ明日がある。

それじゃ向上心がないじゃないか! 毎日成長しろよ!! という考えがダメなのか。安心を感じないといかんのか。

叛逆航路/亡霊星域/星群艦隊 (アン・レッキー)

三部作。設定が生きる独特な描写。秩序から混沌へ。人称もそうだし、複数の視点がスムーズにつながっていく。最初のうちは読んでいてかなり混乱したけど、慣れてくると癖になる?

かなり広範囲にまたがり、文化的にも多種多様な人間という設定だけども、細かい仕草や礼節の扱い方、声色の違いで感情を伝えたり推測することができるという点は自然ではないんだよな。自然ではないんだけど、自然に感じるように文章が構成されている。そのへんも上手いんだろうな。

脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか (紺野大地・池谷裕二)

脳とAI。1+1は2ではなく、200。つまり10倍だな。

通信方法もいろいろあるみたいだし、ブレイクスルーはいくつか必要だとしても、これは確実にあるな。脳AIの未来が。かなりやばい。こういう分野もあるんだなぁ。

しかし必要なブレイクスルーが多すぎなんじゃないか、という気がしなくもない。自分の生きているうちに間に合うんだろうか。AIだけで突っ走ってシンギュラリティを突き抜けてしまい、人間の脳なんて必要ないよーん、というオチがすぐに思いついてしまう。

巨神計画/巨神覚醒/巨神降臨 (シルヴァン・ヌーヴェル)

いいSF。逆関節ロボ。ロマンの塊のような存在。その逆関節の問題を物理で解決するやつがいるとは思わなかったな。構造上は、つま先立ちの長さ調節で解決できると思うんだけどな。人類の適応能力は凄まじい。SFだけど。

衝撃の展開が続き、続編への期待を持たせる部ごとのラスト、適切な分量の3部作。

インタビュー記録という構成も凝っていて、謎も作り込まれている感じ。退場すべきでない人が思いがけず退場していき、しかし物語は動いていく。一気に読めて、良い週末を過ごせた。

普通の若者がなぜテロリストになったのか (カーラ・パワー)

なかなか、示唆に富んだ本だった。主観強めだが、読み取れることは多い。急進化って言うんですね。分断が悪い。奴らと俺たち。いろいろなものを分ければ分けるほど、危険が増える。悪者の多くは生粋の悪者ではないというわけか。あのジハーディ・ジョンもそうだったのだろう。

教育と希望が大事なんだろうな。若者が、自分の人生のロールモデルをどこに置くか。みたいな。