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山椒の実

ファミコンの驚くべき発想力 (松浦健一郎, 司ゆき)

ファミコンについて語る本。ハードの特徴から始まって、そのハードで戦うためのソフトの作り。当然だが、今考えると凄い世界だよね。計算機の技術が進んで、いい世の中になったものだよ。開発者にとっても、利用者にとっても。

内容は昔の計算機に明るくない人でもわかるように書いてある。実際に対象読者に理解できるかどうかは不明だが、変なことは書いてないように思えた。

自分のことを言えば、小学生時代にFamilyBasicに触れたことが今の仕事(ソフトウェアの開発者)に進む最初のきっかけになった。そのため、この本の内容にはいろいろと懐かしく思う部分が多かった。

台湾生まれ日本語育ち (温又柔)

日本で育った台湾人の作家が、自分を取り巻く言語について経験と思索を綴っていく。自身の日本語、親世代の台湾語と中国語のちゃんぽん。中国語も、北京語と台湾で違いがある。複雑でないところまで複雑になってしまう歴史と政治事情。台湾ならでは、この時代ならでは、みたいなところ。世代によっても事情が異なる。稀有なことでもあり、ありふれたことでもある。

話す言語は属する文化とつながっていて、書類上の国籍よりも拘束が強い。そして言葉の使い手が、自分のアイデンティティを母語に求めていく。

ハンガー・ゲーム2 (映画)

やはり見てしまった。このラストはいいのか…映画として? 後味とは。

今回のフィールドは対人戦よりも環境が相手という側面がより強くなった。死にゲーじゃん。どういうフィールドデザインだ。そのフィールドを破壊する主人公の機転が光る。

そして虐げられた民衆の蜂起の描写が強まっている。これは起きるな、革命が。そして革命後も新たな支配者による格差社会が続く、みたいな結末なのかな。

うーん、次も見なきゃダメか。

ハンガー・ゲーム (映画)

バトルロイヤルのサバイバルだ。割と重厚な作りになっていたと思う。暗めの映像、貧困と富裕のコントラストが印象的。ルール変更が無慈悲だった。

いろいろと入り乱れていてバトルは終わったが、解決してない。続きがありそうで、実際にある。まあ、時間があったら見ようかな。かなり楽しめたからね。

ウクライナのサイバー戦争 (松原実穂子)

ロシアのウクライナ侵攻に伴って行われたサイバー攻撃。クリミア侵攻の時ほどの被害を受けなかったが、その理由を分析し、到来が予測される台湾有事に備えて日本がどのように準備をすべきか。そういう本。

自分も少しだけ関わりのある仕事をしているわけなので、いろいろ考えさせられたよ。すぐそこに準備されている、現実的な脅威。サイバー方面でも、中国はロシアよりもだいぶ手強いんじゃないかと思いますね。いやだなー。

サッカーの見方は1日で変えられる (木崎伸也)

観戦のプロを目指しているわけでもないが、技術が上がるなら悪い話ではない。そう思って読み始めたこの本。

図表も分かりやすく、いい本なんじゃないかな。今からは10年前の内容だが、競技の骨格は全く変わってないからね。観戦者としては充分な量の知識だろう。

サッカーやってる子供に読ませたら効果はどうか、なんてことを考えながら読んでいた。手っ取り早く解答を欲しがる子供の特性を考慮すると、悪影響もあるかもしれないねえ。だけど、少しは知識が増えるんじゃないかな。

南西の風やや強く (吉野万理子)

鎌倉の青少年の小説。ふむふむ。こういうのに感動する年齢を過ぎてしまったのが惜しい。楽しめたけどね。様々な主観が入り乱れながら、成長して見えるものが増えていく様子がいい味を出している。

…と思ったけど、読んだ後で寝る前に色々考えてしまったから、感動したってことなんだろうな。いろんなものを諦めることが成長ではないんだ、と思ったよ。大人側視点だが。成長ってのはもっとこう、アレなんだ。つまりさ。

つまり、成長っていうのは、洗濯物を出すときにポケットを空にすることなんだよ。

時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー (東京創元社編集部)

SFの短編集。割と優秀なやつだった。巡礼の話とか、あと昔のお話を織り交ぜた話とかも良かったな。飴のやつのほうね。江戸時代の怪談話をこねくり回すやつはあまり好きになれなかった。

全体的に、長さもちょうどいいし、出来もよかった。いいんじゃないかな、うん。

残穢 (小野不由美)

ホラーってこんな感じなんすか。怖いじゃないですか。どうしてくれる。

怪異が怪異を呼び、著者がそれを丁寧に逆向きに辿っていく。ドキュメンタリーの詳細な調査報告のような。こんなリアリティくっつけて、果たして許されるのか。後味がすごい。