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山椒の実

サッカーの見方は1日で変えられる (木崎伸也)

観戦のプロを目指しているわけでもないが、技術が上がるなら悪い話ではない。そう思って読み始めたこの本。

図表も分かりやすく、いい本なんじゃないかな。今からは10年前の内容だが、競技の骨格は全く変わってないからね。観戦者としては充分な量の知識だろう。

サッカーやってる子供に読ませたら効果はどうか、なんてことを考えながら読んでいた。手っ取り早く解答を欲しがる子供の特性を考慮すると、悪影響もあるかもしれないねえ。だけど、少しは知識が増えるんじゃないかな。

南西の風やや強く (吉野万理子)

鎌倉の青少年の小説。ふむふむ。こういうのに感動する年齢を過ぎてしまったのが惜しい。楽しめたけどね。様々な主観が入り乱れながら、成長して見えるものが増えていく様子がいい味を出している。

…と思ったけど、読んだ後で寝る前に色々考えてしまったから、感動したってことなんだろうな。いろんなものを諦めることが成長ではないんだ、と思ったよ。大人側視点だが。成長ってのはもっとこう、アレなんだ。つまりさ。

つまり、成長っていうのは、洗濯物を出すときにポケットを空にすることなんだよ。

時を歩く 書き下ろし時間SFアンソロジー (東京創元社編集部)

SFの短編集。割と優秀なやつだった。巡礼の話とか、あと昔のお話を織り交ぜた話とかも良かったな。飴のやつのほうね。江戸時代の怪談話をこねくり回すやつはあまり好きになれなかった。

全体的に、長さもちょうどいいし、出来もよかった。いいんじゃないかな、うん。

残穢 (小野不由美)

ホラーってこんな感じなんすか。怖いじゃないですか。どうしてくれる。

怪異が怪異を呼び、著者がそれを丁寧に逆向きに辿っていく。ドキュメンタリーの詳細な調査報告のような。こんなリアリティくっつけて、果たして許されるのか。後味がすごい。

殺人者の空 (山野浩一)

SFの短編集。タイトルに反して、ミステリではない。短編といってもかなりしっかり書き込まれていて、ねっとりじっくり読むことができる。少し古い時代で、みんなタバコを吸っている。現代なら、登場人物は理由なくタバコは吸わない。本作では登場人物のほぼ全員が喫煙者だ。

全体的には、道具立てを不条理SFにしただけで、内容自体はすごく内向きというか、登場人物の心理に偏った内容になる。そこは引っかかってしまうよね。独白多すぎでしょ、という。カフカっぽいというか。状況を説明しているようでいて説明していない、現実感の希薄な文章が続く。この作家も相当に孤独なんだろうな、なんて思ったりして。

林修の仕事原論 (林修)

なんて日だ。こんな本を読む人生になるとは思わなかった。

そう言うためだけに読み始めたような本。仕事についての含蓄のある言葉が連ねられている。だけどね、私はこういうのを読んで喜ぶタイプではないんだよね。読む前から知ってたけど。

内容としては、プレゼントがどうのとか、いい店がどうのとか、私には縁のない話が続いた。こういう話が刺さる人もいるんだろうな、世の中には。まあ、悪いことは言ってなさそうだったのと、高度な現代文のエース講師だけあって文章は明瞭なんじゃないかな。

カムパネルラ (山田正紀)

宮沢賢治のアレを下敷きにしたSF長編。ジョバンニが最強の格闘家となって巨悪と戦う。鬼神・カムパネルラの運命はいかに? 果たしてラスボス・宮沢賢治を倒せるのか、それとも??

又三郎の登場エフェクトはあたかもキングエンジンの様相。彼もまた、強者なのだった。ブルカニロ博士…あんた一体!?

そんなわけあるか。そう言いたくなる展開が続いた。

阪急電車 (有川浩)

栄光に向かって走るあの阪急電車に乗って行こう。ちょっと土地勘がないのでどういう路線か分からない。これは…こっちで言うと井の頭線みたいなもんかな? 描写から考えるに、江ノ電ってことはないと思う。

最初の図書館のやつが良かった。で、ラストもこの人たちが締めて爽やかに終わるんでしょ、と思いながら読んでいく。

読み進めると、最後どころか。序盤・中盤・終盤と全てにおいて主人公級の活躍で、敵を次々にバッタバッタなぎ倒して、ついに地球滅亡の危機を救うとは(スペクタクル!)。