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山椒の実

社史の図書館と司書の物語 (高田高史)

川崎にある県立図書館で社史を集めている。その話。どこで読んだんだったかな。まあ、場所は知ってるんだけど、県立図書館は収蔵する本が自分向けとは思えないラインナップなので貸出カードも作っていない。社史ねえ。これは面白くも役に立つ活動だと思った。こういうのが公立の施設のあるべき姿なんだよ。

社史編纂室なんて、左遷の代名詞? みたいな勝手な印象も受ける文字列ではある…んだけど、会社のことを歴史に残す活動には重要性もある。

息が詰まるようなこの場所で (外山薫)

おーし、みんな、息詰めてこーぜ!!

あの英傑・窓際三等兵さんが別名義で物理本だ。それがこの本、タワマン文学の金字塔。これはもう、事件ですよ。「この部屋から東京タワーは永遠に見えない」と同時期に発売されて話題になったような気もする。

とある湾岸のタワマンを舞台に繰り広げられる群像劇。どこかコミカルで、どこか物悲しくて、というやつね。普通に生きる難易度が高くて。全員がそれぞれの地獄を生きながら、希望を見つける。子育てという正解のない作業の連続があり、格差社会を生きる大人にも心情がある。

私も普段はちょっとタワマンをバカにしているところはあるんだけど、土地代が異常に高くなって空間効率を求めると、ああなるんだよなぁ。地下掘ったら生活には向かないし工事も難しくなる。したがってスペースを上に求めることになる。狭小住宅か、タワマンか、長時間移動の不便か。いずれも天国ではない。

刑事何森 孤高の相貌 (丸山正樹)

これはスピンオフなんですね。ワケアリげな背景が語られながら、ハードボイルドな刑事が事件を解決する。それぞれの事件では障碍を得た人が大きな役割を担う。

キャラクターの魅力とプロットがちゃんとしているから安心して読める推理小説になっている。質は高いし、空気感がいいよね。この人のシリーズ、これから読んでいこうかな。そう思った。

臨床探偵と消えた脳病変 (浅ノ宮遼)

医療ミステリ? という区分でいいのかな。診断をつけて事件を解決していく。主人公の視点がなくて、周囲の医師が謎を解こうとしていい線いくんだけど、最終的には主人公が解決してしまうという。

専門用語は分からないながらも、練られている感がしっかりあって、論理も理解できる。だから読む楽しさがある。かなりの良作だった。

ハンガー・ゲーム FINAL レジスタンス/レボリューション (映画)

ついに完結。けっこう長かったな。そして、けっこう死んだな。でかいネコが死ななくて良かった、とすら言えないほどに死んだ。人口減少社会で、ちょっと命が軽すぎないか?

1作目からそうだけど、超自然のゾンビみたいなのが出てきてキルしていくのはちょっと萎えるなあ。あれがありなら兵士なんていらないじゃん。

あと、割と不自然に感じる描写も多い。映画だからかな。まあいいけど。

ファミコンの驚くべき発想力 (松浦健一郎, 司ゆき)

ファミコンについて語る本。ハードの特徴から始まって、そのハードで戦うためのソフトの作り。当然だが、今考えると凄い世界だよね。計算機の技術が進んで、いい世の中になったものだよ。開発者にとっても、利用者にとっても。

内容は昔の計算機に明るくない人でもわかるように書いてある。実際に対象読者に理解できるかどうかは不明だが、変なことは書いてないように思えた。

自分のことを言えば、小学生時代にFamilyBasicに触れたことが今の仕事(ソフトウェアの開発者)に進む最初のきっかけになった。そのため、この本の内容にはいろいろと懐かしく思う部分が多かった。

台湾生まれ日本語育ち (温又柔)

日本で育った台湾人の作家が、自分を取り巻く言語について経験と思索を綴っていく。自身の日本語、親世代の台湾語と中国語のちゃんぽん。中国語も、北京語と台湾で違いがある。複雑でないところまで複雑になってしまう歴史と政治事情。台湾ならでは、この時代ならでは、みたいなところ。世代によっても事情が異なる。稀有なことでもあり、ありふれたことでもある。

話す言語は属する文化とつながっていて、書類上の国籍よりも拘束が強い。そして言葉の使い手が、自分のアイデンティティを母語に求めていく。

ハンガー・ゲーム2 (映画)

やはり見てしまった。このラストはいいのか…映画として? 後味とは。

今回のフィールドは対人戦よりも環境が相手という側面がより強くなった。死にゲーじゃん。どういうフィールドデザインだ。そのフィールドを破壊する主人公の機転が光る。

そして虐げられた民衆の蜂起の描写が強まっている。これは起きるな、革命が。そして革命後も新たな支配者による格差社会が続く、みたいな結末なのかな。

うーん、次も見なきゃダメか。

ハンガー・ゲーム (映画)

バトルロイヤルのサバイバルだ。割と重厚な作りになっていたと思う。暗めの映像、貧困と富裕のコントラストが印象的。ルール変更が無慈悲だった。

いろいろと入り乱れていてバトルは終わったが、解決してない。続きがありそうで、実際にある。まあ、時間があったら見ようかな。かなり楽しめたからね。

ウクライナのサイバー戦争 (松原実穂子)

ロシアのウクライナ侵攻に伴って行われたサイバー攻撃。クリミア侵攻の時ほどの被害を受けなかったが、その理由を分析し、到来が予測される台湾有事に備えて日本がどのように準備をすべきか。そういう本。

自分も少しだけ関わりのある仕事をしているわけなので、いろいろ考えさせられたよ。すぐそこに準備されている、現実的な脅威。サイバー方面でも、中国はロシアよりもだいぶ手強いんじゃないかと思いますね。いやだなー。