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山椒の実

「年収6割でも週休4日」という生き方 (ビル・トッテン)

んなこと言ったってなあ。今の6割じゃ子供を大学にやれないんだよ。

と言いたくなるタイトルだが、会社帰りに通りがかるところにビルがある会社の、名物社長さんが15年前くらいに書いた本。

個人の小規模農業はいいなと思った。ド素人の私から見て、人糞肥料はぎょう虫との関連からやめたほうがいい気がしたが、まあそんなに大きな害でもないのかもしれない。肉に対しては味的な好意を持っているので、自分が肉食をやめるシーンは想像できない。クリーンミートには期待している。

フランケンシュタイン (メアリー・シェリー)

これ青空文庫にあるんすね。それもそうか。派生物も多く、その後の人類に多大な影響を与えたホラーSF長編。

物語のスジはもともとは知らなかったのだが、そしてSF超入門を読んであらすじを知ったのだが、なかなかの良さがあった。鳥山明が同じ物語を書けばそれは人造人間とドクター・ゲロになったんだろうし、仮面ライダーとかもその系譜かな。

創造主と創造物。それぞれの苦悩、というテーマは十分に深いから、その大きな流れを伝える一作、という評価になるんだろうねえ。後世の作品はそれなりに縒れるけど、このフランケンシュタインと怪物はどうか。

普通に出来が良くて、現代人が読んでも充分に楽しめる内容だった。読んで良かった。身勝手な天才にふりまさわれた犠牲者と、犠牲者の犠牲者を思うと、悲しくてしょうがなかった。つまりこれ、主人公だけが群を抜いてクソ。

ブラッドベリは歌う (レイ・ブラッドベリ)

SF系の文章家、ブラッドベリの短編集。中村保男訳の版。

フワッとした、結末にインパクトを置かないものがほとんどだが、中ではリンカーンを暗殺するやつが良かったかなー。SFらしさもあり、SFらしくなさもある。

ディケンズのやつもそうだけど、なんか狂った人が出てくる話ばかりだな。小説は少なからず、みなそうか。

ヘリコプターが頻繁に出てくる。当時はもっと一般人が使う乗り物になると思われていたんだろうか。

あとは、ディケンズをなにか読まなければならなくなった。なんという誤算。そういうことするから信用できないんだよ、昔の作家ってのは。ブラッドベリにとっては別に誰だって良かったんだろうけど、ディケンズかー

川崎怪談 (黒史郎)

川崎市に伝わる怪談を集めた本。統一感はないし小粒なものが多いけど、それだけにリアリティがある。いろいろ集めて回った成果が見える。なかなか楽しめた。

地元だけに、自分が見知った土地でそういう謂れがあったのかという。まあそういう、地元民向けの本だよねえ。住んでいたあたりで言うと家内橋や金井観音というのがあって、割と血生臭い伝説が伝わっていた。幽霊は出ないが。別の場所で、墓地の近くで幽霊が出るとかいう話は、聞いたことがある。夜間墓地の近くを通りがかることは幾度もあるが、実際に幽霊に出会ったことは、ない。

SF超入門 (冬木糸一)

基本読書の人が書いた、SFを使って現代や将来を見ていく本。書評だけど、テーマが良くて面白かった。文章も読みやすく、次々に興味をかきたててくれる。すでに現代は総SF時代。現実になったものも多いし、これから現実になるものも多い。横浜駅SF(全国版も)なんかももう、ほぼほぼ現実だからな。

なんて思いながら読み進めた。この分野は全く、飽きることがない。あとがきを見ると、私の読書の傾向は著者とだいぶ似てるなあ。質と量はだいぶ違うけど、傾向が。時代小説、古代中国、ミステリ、SF…私も流れはほぼ同じだ。神林長平、ハマるとヤバいっすよね。わかります。

こうして彼は屋上を燃やすことにした (カミツキレイニー)

ティーンズ向けの本をオッサンが読む。共感できる可能性はいかに? あのオズがベースになっているということで、読んだわけだが。

まあ本家でMoM級の活躍を見せたカカシは派手さはないものの、要所を締めて物語を進めた。今作のMoMはライオンだね。ほんとにほんとにほんとにほんとにライオンだー! ブリキは木こり要素が少なくて物足りない。最後は刃物を出して木こりとしての誇りを取り戻したのは良かった。ヘタレのオズの出番をなくしたのは著者の英断とも言える。出てきたところで、って感じだもんなアイツ。

身の回りにあるノーベル賞がよくわかる本 (かきもち)

ノーベル賞を受賞した科学技術の研究をサラッと解説して紹介する本。解説も分かりやすいし、どんな内容かの他に、どう役立ったかの説明が多い。軽く読むにはいいんじゃなかろうか。

紹介されているのは有名どころなので、全く聞いたことがない、というようなものはない。なので、あんなこともあった、こんなこともあったと回想する感じ。

暗黒星雲のかなたに (アイザック・アシモフ)

駄作と言われているらしいが、どんなものか。

まあ普通に楽しく読めたよ。昔のSFベースの推理小説としてはいい方と言えるのではないか。大作家は水準が高すぎるんじゃないのかな。絶賛すべき傑作かと問われるとちょっと推しにくいものはあるが。深みとか凄みとかは、ないからなー。

ヤバい決算書 (長谷川正人)

不祥事や社会情勢の変化など、大きなイベントが起きたとき、会社の財務諸表ではどのような影響が見られるのか、分析を加える本。財務諸表をちゃんと読めば、表に出る前にヤバい会社が分かることもある。

割と面白かったかな。キャッシュフロー計算書って重要とは言うけど、あんまり見てなかったんだよねーこれまで。今後の株式投資の参考にできるかな。まー勤めてる会社がヤバいかどうかの判定は、できるようになるのかもね。

仕事休んでうつ地獄に行ってきた (丸岡いずみ)

ハイパフォーマーの強者が鬱を患った、そして夫への惚気を交えた記録。文章の勢いがいい。ここまで勢いのいいやつでもなるんだな、鬱って。なるほど、そういうものなのか。トム・ハンクスの小説のMダッシュシリーズに出てきた女友達がそうなったようなものか。

かく言う自分も、精神的な不安定さはあるんですが、とりたてて不安定でなくても、なるもんなんですねえ。人体の不思議よ。まるで宇宙だ。

それを薬で軽減することができる、というのも割とすごい話ではあるよね。人類、どこまで行ってしまうのか? 置いてかないで〜