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山椒の実

アニータの夫 (坂本泰紀)

アニータって珍しい名前なのか分からんけど、アニータ呼びで日本全国通じる該当者は一人しかいない。日本で最も有名なチリ人。あの騒動からだいぶ時間が過ぎたが、本が出た。彼の伝記だ。彼のほう、夫の伝記。

この本は朝日新聞での連載を書籍化したもの。単著なんだな…チームでは対応しなかったということか? 取材期間がやたらに長い。

事件自体は組織構造に不満を持ち、夜の遊びを覚えた男が公金を横領した挙げ句、女に全部巻き上げられたというもの。長年発覚しなかった事実が示すように、横領されたのは公社が無意味に留保していた、ただただ無害なカネ。いわゆる裏金だよね。儲けを出さずにやる建前なのに、プラスを出して隠すっていう。なんて悪だろう。

しょーじき、何に使われても文句を言えるとは思えないな。そもそも予算を振り向けるべきではなかった、あるいは価格設定がおかしい。逆にね、それを明るみに出して組織を壊滅させた功績が大きいと思う。偉いぞアニータとその夫。公社の天下り無能上級職は些少の責任しか問われなかった、しかも被害者ポジション確保しようと匿名で逆ギレしてるというのも芸術の趣がある。何というワルだ。責任者の地位にいて仕事もせず責任も逃れるとは。何食ってたらそんなことできるんだ? 外国語と商習慣の違いに不自由してた独身野球選手の個人口座ならともかく、これだけの公金が消失して上司が何年も気づきませんでしたは無理があるだろう。何して給料もらってんだよ、て話。

実際、公社は解散したんだけど、儲けを出さないという建前のあるこの公社には解散時に大量の資産があって、扱いに困った県は出資していた市町村に配ったらしい。それでもらった市町村は財政的にはクソ助かったとか言ってんのw 著者も、どういう気持ちで書いてんだろうコレ。

裁判上は青森県に金を返すという話にまとまったらしいけど、これは価格設定の話だから返金先は青森県ではないべきだろうと思う。いったん青森県が消費者側に差額を返金したのなら、それもあり得るが。本人は長い懲役と悪名があり就職もうまくいかず現在は生活保護。金額の問題もあり返すつもりもないようだが、青森県に返すくらいなら返さなくていいと私は思った。

夫の方は当然そうであるようにかなりハードモードな後半生になっている。自然を愛し将棋が強く、頭も良くて何かと器用な奴らしいが、どこか抜けていて悪名のデバフがある。残念なことだ。例えばシステム作って自動化させるとか、そういう職種は得意そうじゃないか? かなりしっかりシステムを作らないと、このスケールに達することはできないだろうし。

アニータ自身はチリで元気に有名人やってるらしい。何に散財したのかそこまで大金持ちじゃないみたいで、働いて稼いでいる。賛否両論の、戦うシングル(?)マザー。子供8人だか9人は全部夫以外との子らしい。中絶しなければ14人産めたとか凄いこと言ってた。

別々の人生を歩む両人に幸いあれ。