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山椒の実

城のなかの人 (星新一)

星新一と言えばエヌ氏たちが彗星のごとく活躍するショートショートSFだが、普通の短編や長編も悪くないことは知っていた。若かりし頃の思い出。この本は短編時代小説集だ。読んだあと、なんか若かりし頃読んだような気もするのよね。そういうところも星新一の魅力ではあると思う。ショートショートめいた独特のリズムで語られる歴史物語。短距離でズバッと進んでいく。

表題作は豊臣秀頼の生涯を描いたもの。つまりこの人がいる城とはキン肉星宮殿と瓜二つのあの城。現代に残っている大阪城公園のあの城とはだいぶ違うんだそうですが、当時の遺構も発掘されていたはず。

フワフワしながらも現実を理解しようと奮闘する。環境が悪すぎたわけだが、いい小説だ。小説の中では生まれる時期が悪かったね、という話になるのだが、歴史を考えればどうか。もしピンチを凌いで生き残っていれば、家康の方が先に寿命を迎えるわけだから、むしろ有利になるという側面がある。誰もがそれを知って行動した結果が歴史になっている。

他には藩政関連のやつや、小栗上野介の話があった。それぞれ、良かった。妾腹の話や飢饉の話はオチも綺麗で著者の技術が冴えた。