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山椒の実

逆境を味方につける 日本一嫌われたサッカー審判が大切にしてきた15のこと (家本政明)

あのなあ。昔はワルだったけど改心したからエライね、という枠の人。Jリーグの名物審判ですな。古参サポには被害を受けた人も多いだろう。オレも目の前で佐原のファインゴールが取り消されたetc…(きりがないほど多い)が起きた埼スタの何か事件を筆頭に、いろいろ体験してますからね。とにかく試合が安定しなかったので信頼感の低い審判だった。家本事件と言ってもどの試合か特定できないほどに。

しかも自著で、自分は能力が高くて見えすぎているから普通の人が見えないようなファウルが見えてしまうんだみたいなことをゆってただろ。クソが。起きてねー見えてねーのに雰囲気だけで重大な判定するからだろーが。なんて本だったかな。当時の。インタビュー記事だったかもしれん。それ読んだオレの気持ちが分かるのか、それ見えてるってのか、ああん? まー特等席でサッカー見れるから審判やってるみたいなのはいい表現だと思ったよ当時。あと自転車のトレーニングのこととかも参考にはなった当時。時之栖のことも知ることができたし。

後年は落ち着いて試合をさばくようになって持ち直したが、技術が特別高かったとは思っていない。クソオブクソが中の上レベルになった感じよ。なーにがギャップ売りだよ。ったく。

そいつがなぜまた本を出すのか。なぜオレはそれを読むのか。ファンなのかまさか。んなわけねーだろが! まあ、あれだけ批判にさらされても仕事を続けた鋼のハートは立派と言えよう。そこはオレですら認めるところ。むしろ見習いたい! DAZNの審判番組でご意見番ポジションに収まったときは上り詰めた感があったね。だいぶ前に終わっちゃったが残念だった。番組自体は、偉い人に変な結論に誘導される回もあってクオリティが落ちたのがいけなかったんじゃないかな。家本が上位存在として仕切ってた時期は悪くなかった。

で、この本だ。スピリチュアル的な要素も感じさせるその筆致は押し付けがましさを含んでいる。俺が会得したものの一部をお前らに教えてやろう、という。そもそもこういうビジネス書というものは常にそういうものだが。あーなんで俺はビジネス書なんて読む人間に堕したのか…人生が悔やまれるぜ。

まー考えすぎだなコイツは。一定以上の時間を考えることに充てなければよい仕事ができないタイプの人間なんじゃないか。最初から何も考えない脳筋だったら良かったのに。そんな印象を持った。だから考察時間が飽和したあとの終盤の審判人生が好転したんじゃないのかな。それ以前は休むに似たりってとこだろ。論理に寄りすぎというか。だから現場での修正が効かずにパニックになる。

そーゆうタイプの人間にとっては、参考になるんじゃないかな。絶望しなくて済む。結局この本でも論理を大量に重ねるという同じ考え方で解決している。野生のカンと経験だけで仕事をしてきたオレの役に立つ本なのかは疑問。実際この本はいろんなくだらねービジネス書から自分の経験に合うものを引っ張ってきて本にしました、みたいなやつだった。

…って感じに書けば、嫌われてたってのがJリーグサポ以外にもわかるかな。まー悩みの果てに自身の技術レベルを上げて良い審判になって、その状態で引退できてよかったなあ。多大な犠牲の果てに光るサクセスストーリーだ。まるで映画やドラマのような。脳筋が何も考えずに直感だけで正しい判定とスムーズな試合進行をズバズバやって最高の試合を作っちゃう話よりゃ、再現性がある成長だ。

活動期間に関しては、安定期に入ったんだから、もうちょっと長くやっても良かったんじゃないか。時間はかかったがJリーグによくアジャストできて最終形になれたと思うからさ。