中年男性タイムスリッパー物語だ。高校生じゃないけど、高校時代の同級生が絡むのでギリセーフ? そんな計算のありやなしや。それを名手・佐藤正午がどう描く。まさに真骨頂だ。ジャンル的にはSFだよね? SFというもの自体の、他のジャンルと混ざりやすい特色が云々…
かなり面白かった。なぜピンボイントで行き先に確信を抱くに至ったのかには興味があったが、思えば叶う? そういうものなのかもしれない。あとは予兆のショートスリップの時もsrc側の身体は死んでんのかな、という疑問も。ロングだから死、ロングならでは死、というのも違うような気がするんで。そしたらタバコつけたまま突然死すのかと。退社ドア死も事件でしょうよ。そしてdstは入れ替わる元の人格はどうなるんだ。仮にsrc側に移行するならsrc側は死なないんじゃないの、いや死んでたし、ショートの時も移行してないよな…つまり消滅? うーん、タイムスリップの原理も、こうなると悩ましいものだ。
設定の時期とは少しズレるが、昔の井の頭線の車両移動については少しは知識があったりする。車両間の連結のところが広めに作ってあって、よほど混雑してなければ移動する人が多かった。神泉駅とか車両によっては開かない駅もあるし。ただ井の頭線って高架化されてるイメージしかないんだけどな。普段遣いじゃなかったから事故の実現性については分からないところ。
主要登場人物の総まとめができたところでキレイなラスト。まさかこいつがこうだったとはなー。途中で主人公による状況整理が親切だった。登場人物としてもかなり混乱したことだろう。
ただねえ、ビジネスというものは、未来を知っているからと言って成功するとは限らないんだよな。遅すぎてもダメ、早すぎてもダメなんだ。この不確実性の時代に生きる我々は…