三國さんの本に出てきたニシンの去った街、増毛に関わる、自伝的小説。出だしが凄い。兄の死の知らせを受けて、万歳と。
読み進めると、果たして想像以上にハチャメチャだった。これはたまったものではないだろう。巻き込まずに一人でやれなかったのか兄。増毛のニシンのバクチも早速出てくる。倍プッシュに失敗…それも序章に過ぎない。
兄だけじゃなくて、本人も割とハチャメチャな人生ですね。戦後すぐの時代に特有のやつかな? 子供ができた途端に奥さんをポイ捨て、しかも兄をダシに使う場面はドン引きするしかない。クズじゃん。自伝でヤバいこと書く人いるんだよねえ。と思ってしまう。
その後、作詞家として大成してヒットを飛ばしまくり大金を稼ぐが、ほとんど兄の借金の返済に充てられるという。最後は死後に戦友会まで出向いて兄の真実を知る。なんというか、ものすごい話だった。2人目の奥さんもすごい根性だな。大作詞家・大小説家だけあって文才もすごい。まったり読むつもりが、一気読みさせられた。