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山椒の実

愛を乞うひと (下田治美)

記憶をもとに、自分のファミリーヒストリーを追う。暗すぎる過去と、明るすぎる現在を対比させながら、時間がつながっていく。

過去の話は、凄惨なシーンも多くてショックを受けた。よく生き延びたよ。サバイバーで、暴力を再生産せずに生きたのは立派なものだ。なんという強さ。真の勝者の物語だ。

台湾編からのクライマックスには疾走感があったな。運命に導かれたかのようでいて、自分で切り開いている、その道。愛がある。

ラストも切なさがある。そうなるか。そうなるよなあ。克服することの難しさがある。

分かるぜ。

そう言いたくなる。余韻に浸る。