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山椒の実

片手袋研究入門 (石井公二)

日本の片手袋研究の第一人者で、今もトップランナーとして走りつづけ、片手袋界の巨人とも言える名高い著者が、研究家としての心得を説きながら片手袋に関するアレコレを熱く述べてくれた本。真夏の暑さよりなおアツい。

基本となる分類法の説明から、理論体系を丁寧に説明しており、片手袋学の入門に最適な書と言えるだろう。

中盤の片手袋ファンとの交流や、文学・アート作品の情報も興味深かった。小川未明の作品「赤い手袋」は青空文庫にあるのを読んでみたが、確かに…なんとも言えない読後感。唐突な悲劇がショッキングで、物語として成立してるのかこれ? と疑問が生まれる。大正時代の小学生はこんなの読んでたのか。彼らの将来が心配になる。他にも青空文庫には手袋に関する作品がいくつもあるので、検索して読んでみるといいだろう。

終盤も劇的だ。目の前に広がる同じ景色が見る人の心理によってここまで変化するとは。

このように構成も見事だし、写真も豊富で楽しく読めた。読んで良かった。

(追記)

あー書き忘れた、読んでいる時に自分の頭の中を支配していたのは「てぶくろって逆から言ってみて?」「ろくぶて」→6回ぶたれる…という小学生時代の記憶。それが「かたてぶくろ」になると「ろくぶてたか?」になる。6回ぶてたか? という疑問か、6部って高っ! という値段への驚きか。そんなことを考えながら読んでいた。

バカバカしいですね。わざわざ追記してすみません。