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山椒の実

子どもは「この場所」で襲われる (小宮信夫)

犯罪機会論の本。犯罪者自身や犯罪者の生育環境に原因を求める犯罪原因論に対して、犯罪機会論は危険な場所を知り、そういった場所を減らしたり近づかないようにすることで犯罪を抑止する理論。判断基準は入りやすさと見えやすさにフォーカスしている。

入りやすく見えにくいのが❌で、入りにくく見えやすいのが⭕️。たとえば樹木よりも網のフェンスが勝つ。シンプルだ。ただ群集心理とかもあって、多くの人が行き交う場所であれば「見えやすい」の条件に合うので良いかというとそういうわけでもなかったり、そういった応用編はある。なるほど。

子どもを育てる前に読みたかった本だなあ。特にうちの子供なんて、おそらく世界一だったと確信を持つくらい、とんでもなく可愛いクソガキだったわけだから。クソ大人に危害を加えられても不思議でないほどに。書かれたのは10年前か。知らなかった。知っていればこの本はバイブル的な扱いになっていたろう。

あとは、家を建てる前にも読んでおけばよかったとも思った。見ず知らずのクソガキであっても、自宅前で子どもが襲われるような犯罪が起きるなんて思ったら気分が悪い。幸いにして、自分の建てた家は犯罪抑止にとって悪い構造ではないことが分かった。知らずにやったことだから、偶然に過ぎないが。知っていれば、もうちょっと良いものにできたかもしれないよ。過去の環境についても、あそこは危険だったよなとか安全だったよなと思い出している。

こういうのって判断基準を知っていれば容易なことで、この手の本を読むのは防犯的な手段としては良いことなんだろうな。生きている限りずっとそうだが、学習は大事だ。人に犯罪の機会を与えない状態を保てれば、犯罪者を生み出さないで済むから、そっちから考えても良いことだ。知るのが遅かったのは確かだけど、遅すぎるなんてことはない。知れてよかった。