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山椒の実

凶暴老人 認知科学が解明する「老い」の正体 (川合伸幸)

キレッキレの老人が戦う話ではなく、瞬間湯沸かし器と化した老人の脳どうなってんのよ、という話。アンガーマネージメントやろうぜ。この本はちゃんとした学者の本なので安心して読める。

冒頭で、それほど凶暴なわけではないですよ、という数字が示される。そこから、怒涛の実験から導き出される怒りの衝動の科学。なるほどヤバい。誰しも自制心を失った人間にはなりたくないだろうが、私はとりわけそうなんだ。だってオレがひとたび激怒すれば天は落ち、地は割れ、海は干上がり、世界は闇に包まれる可能性があるからだ。わかったか? わからせてほしいのか??

結論としては、高齢者は凶暴ではない。怒りやすくなる反応はあるが、それは脳の働きの衰えによるもので説明できる。そしてトレーニングでは回復できない。というものだ。自説のためにちょっと意図が不明瞭な部分はあった。スウェーデンのところ。暴力を受けても暴力という扱いにしないのを賞賛しているふうに読めるけど、それは現役世代が我慢してるだけなんでは? 被害を隠しているだけで、良いこととは思えない。行動の責任は負うべきと思う。被害があるなら、隠すんじゃなくて、防ぐ必要がある。ウッキー(怒)!

タイトルと内容の不一致についてはあとがきに事情が記されている。

自分は将来加害者になることを恐れてこういう本を読むわけだけど、安心できたような、できなかったような。何に気をつければいいのか、どうしていれば避けられるのか、さっぱりわからんまま読み終わってしまった。世の中の仕組みは、得てしてそういうものか。ウッキー(怒)!