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山椒の実

辞書になった男 ケンボー先生と山田先生 (佐々木健一)

新明解国語辞典と三省堂国語辞典。両巨頭はかつて同じ辞書を作った仲の同僚だった。二人の男が袂を分かつ時、奇跡は起きる。お前が辞書になるんだよ!?

NHKの番組を本にしたシリーズ。毎度のNHKっぽさがあるが、まあ読みやすいし取材もNHKらしくやってるから、そんなに嫌いじゃないですね。お金と人が潤沢だからなあ。

しかし数々の辞書の著者というか編者、監修者として有名な金田一さんが名前貸ししてただけなんて、ちょっとしたショックですよね。良くない商習慣だと思う。欺瞞だ。もっとこう、顧客を騙す行為に慎重にならなければ。私も金田一京助と春彦はとんでもない偉大な(イカレ)辞書マニアの学者親子だと思っていたんだ。その実態がこれか。このザマか。

あとは後半部分の暮しの手帖事件ね。パクり、堂々巡りと言った問題。切り込んでいるのは良いですね。堂々とパクリをやってたなんて、信じられないな。著作の一種だと思うと、業界追放ものではないか。

ソフトウェアデベロッパの自分から見ると、言葉の説明は用例あったほうがいいですね。簡素な基本説明と、意図が伝わるサンプルコード。説明だけだと理解が自分のものになりにくく、使ってもらえない。学者は違う意見を持つかもしれない。そういう意味では山田さんの新明解の方に肩入れしたくなる。自分が若かりし頃使っていたのは三省堂国語辞典の方なんですが。今は山田さんも世を去られて、新明解も記述の過激さはなくなっているらしい。