時代の流れにあらがう英国ワーキングクラスの初老男性たちを描いたエッセイ集。解説つき。アマゾン/ウーバー本でも読んだ英国労働者階級の苦境ね。

緊縮財政やNHSの話とか、ブレグジットとか。ある見方だと壊れていく世界だし、逆から見ると正常化しているわけだ。類型はどこにでもある。そんなことを思いつつ、軽妙な文章で楽しく読めた。

英国の状況はなんとなく伝わってきた。NHSというのは、無料化されていた医療体制。で、財政が悪化して無料のままサービスを低下させてコストダウンしたと。予約を入れるために朝病院の前で行列させるとか、無料のままで、あの手この手で使わせないようにするという、バカバカしい話が。

そして、こうなると回復は難しいね。日本も他人事ではない。文章を読む限り、英国はかなり末期の状態になっている。安心して暮らせる社会というもの、なかなか永続できないのだろうか。お金が足りない時に、医療体制の維持の優先度が下の方に持って行かれてしまう。

日本だと保険医療は自己負担の割合と月の最大が決まっていて、子供は無料だったりする。そんな感じで、経済的な理由で病院に行かない選択をすることは少ない。実際は仕事を休むと給料が出ない職場だったりして、苦しくはなるだろうけど。

解説は分かりやすくまとまっていた。世代や階級間の分断と対立、排外主義とかそういう。