ザリガニの鳴くところ (ディーリア・オーエンズ)
いいですか皆さん、ザリガニは…鳴く!
とても惹き込まれる文章とストーリー。もしさかなクンの実家がとんでもなく貧乏で、家族が次々に逃げ出してしまったら? みたいな話。
湿地で一人で生き抜く少女、近づく男たち。その観察力と執念深い収集癖。そして頭が良すぎるんだよな。小学校にすら通わず、他人との交流も限定的で、独学でそこまで行くものなのか。なんかすごい話を読んだ。なんて物語なんだ。結末がやばい、という謳い文句の通りではあったが、この物語の魅力はやはり途中までの展開だろう。全体的には、過去と現在が順番に描かれて最後は追いついて統合されていくわけだが、過去側の展開がすごいわけよ。
ザリガニだって哭きたくなる時がある。
(追記) 2024-09-15
推理小説的には、やっぱこの事件には無理があるんじゃないかと思った。まあ保安官が無能でバスの帰りを調べていない、というのはあるとしても、人生で初めて乗る乗り物の時刻表を見て犯行を考えたり、チケット買うのも大変でしょう。月の出ていない暗闇で証拠を消すのも無理がある。