卒業のための犯罪プラン (浅瀬明)
いやー面白かったね。大学を舞台にしたことで半閉鎖系の世界を作れる。教授という少し浅ましい権威があり、実家があり、先輩後輩があり、他学部/学科があり…それを利用して作った仮想通貨のポイント経済圏で行われるビジネス。ありそうな通り名。それぞれ、魅力的な人物設計。
こういうのが読みたかったんだよな。そう思った。犯罪プランと言いつつ、犯罪らしい犯罪ではないんだよな。そこも良かった。なんせ学生だしね。
最初の章のフックもいいし、最後の結末も良くて読後感も良い。というわけで全体的にドキドキさせつつもかなり綺麗な出来に仕上がっている。結局これ最初のプラン通りに行ってもハッピーな結末じゃないわけだしね。2年で卒業して働いたところでその先にハッピーはない。