アナザーファイト (草花由)
闇キックの物語。何だそのまとめ方は…これは格闘技による男たちの救済の物語。しかし展開の都合が良すぎるぜ。普通はこうは行かない。ただ現実は小説よりキックなり、ということわざもあるくらいで。
メインイベントでの下段蹴り主体の戦術は妥当なところだろう。両者ハンデ戦でしたが、主人公側のブランクとトラウマイップスと完全アウェイと…は過剰だったかな。セイジもキャラクターの造形やバックグラウンドの深さと、セリフの浅さのギャップがあり、強制的な違和感が支配していたわけだが、それだけにラストのアレは何なんだと。
そんなこんなで、なかなかドキドキしながら読めた。いい出来だったな。まさか現実に闇の支配者たる神奈川県知事がカメオ出演してくれるなんて。
それにしてもセイジって名前だと、どうしてもニンジャスレイヤーのセイジを思ってしまう。(ニンジャの方の)彼が救われるルートはあったのかどうか。そんなことを思う。つまりこの主人公の名前はケンジで、子供はトチノキか。そう読めばいいのか。
あとは、ダヴィンチコードのシラスを思ったな。その幼さと、頑固さと、特異体質。
やりてのヤクザがかわいそうなことになったのは残念だ。有能なやつが上に行ける社会でありたい。